絵本『七ふくじんとおしょうがつ』
今日から始りました『シオの読まなきゃ絵本』。毎週土曜日にお勧め絵本を皆様にご紹介してまいります。
心揺さぶられること、じんわりと心に届くもの、切なく悲しくなる、勇気や元気をもらえる、考えを深めてくれる、知識を深める、発想を豊かにする・・・読んでおくべき作品にはいろいろな視点の切り口があります。なので私なりの視点で解説してまいります。
当教室は行事育という聞き慣れない言葉の育児を実践しています。
子供達に継承すべきアイデンティティを大切にすること、親子や家族の絆を深めること、子供達の心を育てること、更に知恵をつけ逞しく育つことを願い日本や沖縄に関係する行事を大切に取組んでいます。
今回取上げるのはお正月行事を意識した作品『七ふくじんとおしょうがつ』。内容については明かさず写真だけをメインに掲載しています。
行事に関する絵本は行事を身近なものとして経験をしていなければ興味を持てません。
行事育とは毎年経験を積重ねて少しずつ理解を深めていくものですから、同じ絵本を繰返し毎年読んでいく一冊としてこの作品を取上げました。
元日特有の日常と違う空気間の違いを捉えた新鮮味がある書き出しから始ります。
行事絵本は絵本が好きな子でも行事を体験していない場合は親しむことが難しい絵本の種類です。
子供達は行事体験を通して行事言葉を覚えていきます。ご家庭ではその意味をお子さんに伝えることで体験と知識がリンクしていきます。生活の中で行われる文化として理解し、やがてその経験が世代を超えて伝承されてていくわけです。
我が家の床の間に小さな子が上がってしまった場合、「床の間はお正月に年神様が座る場所ですよ。だからそこから下りましょう」と声を掛けますし、行事育を実践しておられるお母様方もそのように言葉掛けをします。1歳の子供は何を言われているか分かりませんが、どうもまずい事をしているようだと察知するようになります。
2、3歳になると鏡餅に年神様がのるということを行事育を通し理解するようになり、床の間とお正月の鏡餅と年神様の意味を知るようになります。
行事育を行う側の大切さとは・・・毎年伝え続けるということ、そして受ける側は・・・毎年の見聞きと経験です。
そして4、5歳になるとお正月に関する別の知識をインプットしていきます。それが七福神やおせちの意味、神社参拝の方法などが理解できるようになっていきます。
行事に関係する言葉は絵本を初めて読むときに確りと教え、その意味に関しては年齢に合わせ理解を深めていけるようにすることが望ましく、教え込む行事は学習となり楽しさを見出すことができません。
行事育は楽しさありを最優先すべき文化なのです。
この絵本は大人の視点で見ると元旦から鏡開きをする松の内までの話ということになりますが、子供にとっては元日のことと思う子が殆どです。
教養的学習と受取るご意見もありますが、お正月はこんなことがあるんだね、するんだねという経験値をおさらいする絵本として読んで欲しいと思います。
読んであげて子供が「ふ~ん」と終わってしまうのであれば、それは行事がまだ身近なものになっていないんだなと判断していいと思います。親子でお正月という新鮮な時間や空間を存分に実感し過ごしましょう。
また経験と絵本が結びつかない場合は擬音を入れて楽しんだり、ご挨拶の真似をする、エアー凧揚げをしてみる、御節を作るままごとをしたり、宝船に乗る空想を広げたりと絵本を身近なものに引き寄せることを試みましょう。
知識の理解はそれからゆっくりと数年掛けて行うことでもよろしいと思います。
今回はお正月の概要を知るという視点からこの絵本を選択しました。松の内までお正月気分を味わってみてください。
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