偉人『オードリー・ヘップバーン』

永遠の妖精と称された大女優オードリー・ヘップバーン。第二次世界大戦では食糧難から命の危険にさらされ、父に捨てられ、心の支えにしていたバレリーナの夢さえも断たれた。彼女は生きていくために女優の道に進む。そして人生では2度の結婚と離婚、数度の流産、夫の浮気に悩む経験もした。

華やかな表舞台の活躍とは真逆の多くの困難や挫折、悲しみに苦しみを経験した波乱に満ちた人生であった。しかし晩年の彼女のバイタリティ溢れる慈善活動を考えると、波乱の経験をした者だけが勝ち取った強さがあり、人間としての深みを感じずにはいられない。

大戦中の食糧難から餓死寸前の彼女を救ったのがユニセフの前身であるアンラという組織だ。自らの壮絶な経験を振り返りあのときの恩返しをするべきだと決意し、1989年にユニセフの親善大使となり亡くなる直前まで慈善活動に身を捧げた。慈善活動を見返り無しで行った女優の先駆者である。

彼女はこの言葉を残している。「人生で大切なもの、それは信念を持つことです。私は少なくともそれを持とうとして努力してきました。」

彼女の言う所の信念とはなんであるのかを今回は私なりの見方で語ってみる。


彼女の人生は華々しく見えて実はそうではない。子供の頃の餓死寸前の栄養失調で黄疸、大腸炎、貧血、喘息など多くの病に罹り、生涯その後遺症と闘った人生である。スクリーンに映る眩い彼女の天真爛漫な笑顔、幸福感漂う煌めきが彼女の味わってきた人生の艱難辛苦を全て包み、その愛らしく可憐な彼女にしかない最大の強みをもって世界の多くの人の視線を弱き者へ誘ったと感じる。

「私のできることはほんのわずかなことしかありません」「声を上げることのできない子供達のために私は彼らの声となります。」そう言って飢えや病気に苦しむ子供達を救うためにアフリカや南米をはじめとする世界各国を50回以上も訪問した。


彼女が慈善活動に身を投じたのは冒頭で記したとおり自身の命を救ってくれたことへの恩返しと母エラの毅然とした教えがあったからだ。オランダ貴族の血筋を持つ母の教えについても語っている。

「母から1つの人生観を与えられました。他者を優先しないのは恥ずべきことでした。自制心を保てないのも恥ずべきことでした。」

そしてこうも語っている。「愛は行動なのよ。言葉だけでは駄目なの。言葉だけですんだことは一度も無かったわ。私達は生まれたときから愛する力が備わっているの。それでも筋肉と同じでその力は鍛えなければ衰えてしまうの。」

彼女の語る言葉は単に自身の経験から生まれたものばかりではなく、彼女の行動を突き動かしたのは母の尊い教えがあってこそだ。

「いつも母の声が聞こえるような気がするよ。『まずは親切でいなさい。親切は最も良いマナーです。』『時間を徹底して守りなさい。他の人の大切な時間であることを先ずは考えなさい。』『人の話しに傾聴しなさい。自分のことばかり話してはなりません。大切なのは周りの人達です。』『周囲のことを最優先にし自分のことは後回しにしなさい。』『あなたよりも周りの人たちの方が大切です。だから駄々をこねてもだめよ。我慢しなさい。』と」

彼女の言葉を目にすると母エラの価値観や人生観が大きく影響していることが分かる。また母の教えは他者への尊厳を教えているが実はそれは全て我が娘の豊かさに繋がることであるのは明らかである。

おそらく母エラ自身が自分の人生と本気で向かい合っていたからこそ、子供に伝えるべき大切なものを明確にできたのだろう。

オードリーはこうも語っている。「過去へ遡りましょう。小さいときに何に幸せを感じていたのかを探すの。私達はみんな成長した子供。本当に・・・。だから人は回想し、愛したものや気付いた現実を捜し求めるべきなの。」

この言葉からも分かるように母からの愛情が想像以上に彼女を満たしていたことは明らかである。そうでなければ壮絶な幼き頃を回想しようという言葉は出てこない。

彼女は家族を第一に考え子供を愛した。「子供より大切な存在ってあるかしら?」この言葉でその愛の深さが分かるだろう。そして彼女の子供に向ける愛情は我が子だけではなく、戦争や飢餓、病気で苦しむ多くの国の弱き子供達に目を向いた。


そして母の教えの中にはこうもある。『あなたが最も大切なものを発見しなさい。自分の視線を内面に向けなさい。他の人の注目を得ることに執着してはいけません。』

この言葉の中に『オードリーの信念』の意味が集約されているように感じる。

自分らしく生きるための考えや意見を持ち、その言葉には一貫性があり、行動力や決断力、粘り強さやぶれない精神と深い愛情をもって病を押して活動できたのは、母の教えの中に自身の信念を見つけたからであろう。


「私は人生について深刻に考えたりはしないけれど、私の人生で何をするのかは真剣に考えているわ。」

彼女の語る言葉には自身の人生としっかりと向き合い、自分の意見を持ち有言実行し、失敗や困難を恐れず、筋の通った一貫性のある行動をしていると感じる。

大女優オードリー・ヘップバーン。彼女の人生は母の尊厳ある教えにより導かれ、自分自身の行動を持って信念を貫いた人である。

私達母親が今の困難の時期に子供達に教えられることとはなんであろう。

子供が自分らしく生きるために、人との調和で助け助け合い、自分の大切なものを明確にしそれを見つけ歩むことができるように、どのような言葉を子供の心に留め置くことができるか。これは親となったものにしか与えられない大きな課題である。

私達は生まれた環境を選ぶことはできず、結婚した相手の環境や価値観を変えたり、影響を及ぼすことは無いとは言わないが限りなく難しい。しかし親となり子供達にどのような生き方をするのか、物事をどう捉えるのか、人とどう接するのかなど親の教えが子供の人生に多大な影響を及ぼすのは疑う余地が無い。

あなたなら・・・今、子供に何を伝えますか。

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