提案『言語の獲得時期』
子供の発達にはそれぞれの分野で最善のタイミング(時期)があり、そのタイミングは限られたものであるのが殆どです。そしてその時期に働きかけることにより効果的に獲得することができます。
先週の『運動の発達期』に続き今回は『言語獲得期』を取上げていきます。
言葉の発達には大きく分けて5段階あります。そしてその発達は人種や言語の違い、視聴覚の障害に関係なくどの子供にも基本的な発達の道筋があるのです。子共の言語発達を伸ばすためにはこの5つの段階を的確に捉え実践する他ありません。
1、コミュニケーション形成時期(0歳児)
誕生から生後1ヶ月は発声活動が開始され、5、6ケ月頃迄 アー、エーと諵語を話し、8~11ヶ月迄 に母親との間に愛情と信頼を獲得し母親の話かけを喜び言葉の吸収を図ります。子供からは言語としての発語はありませんが、この親子関係を構築することで将来の人と関わるための力と言葉のやり取りの土台を築きます。
2、言葉の意味が分かりだすコミュニケーション形成期(1歳)
言葉の意味が分かり出すようになり大人の言葉の真似をするようになり、いよいよ話し言葉の始まりをむかえます。人やものには名前があることが分かり、4本足の動物に対して全てがワンワンと言うのもこの時期です。自分の発する音声を外界を表現する手段として獲得していきます。
また歩行前後から指差し行動が始ります。この発達が出てくる頃には対象になるものに対しての観察眼が育ち始めるため、対象になるものの認識もどんどん加速して発達する時期になります。このタイミングで多くのものを認知させるための取組みを推し進めることが言語数を増やすことになり、対象物に注目する観察力・比較力・集中力の獲得にも繋がります。
3、生活言語の獲得時期(1歳半~2歳)
言語が急激に増え2語文がが多く出始めます。興味を惹かれたたものに対しては「これなあに?」という質問が増えだし言葉と物との対応関係が生まれます。特に目の前で起きている事柄や行動、感情に対して理解が進み言葉としての表現が豊かになる時期です。よって外に連れ出して多くの経験をさせることがより言葉を理解するための着火剤になるのです。
2歳近くなると動詞や形容詞の使用も少しずつ増え始め、助詞を操る子供もでてきます。また目の前に無い事柄についても話し始める様になり言語の爆発時期を迎えます。2歳後半になると生活経験も増えはじめるため友達との関係性を少しずつ形成し、主文と従属文からなる文章を使えるようになります。
4、生涯で一番の語彙獲得期(3歳~4歳)
日常生活に必要な会話は十分に話せるようになり、友達との会話も増え対話量と対話する相手も増える時期です。さらに文構築が複雑になり語尾の変化や見せて、食べられない、遊びたいなどの助動詞の使用ができるようになります。
4歳頃になると今目の前で起こっていることの他に、過去の話や未来の話もできるようになり、それに加えて知識としてインプットされたこともかなり話せるようになります。このことに関してはご家庭での働きかけが大きく左右するため徐々に環境下での差が出てきてしまう時期でもあります。
また経験した出来事の一連の流れを時系列で順序立てて話すことができ、また同時にその経験を通して感じたことや思いなどの感情や印象を表現できる年齢でもあります。この時期までに話し言葉がある程度の完成期を迎えるため、4歳までに言語環境を豊かにしなければなりません。
言葉の種類的の中でも反対語の概念のみならず、対概念や上位概念の抽象化も見られるようになり、「なぜ?どうして?」などの質問も頻繁にするようになります。
5、言語獲得が伸びる最終時期(5歳~6歳)
この時期はかなり複雑な言語表現が可能になり発音に関してもほぼ完成の域に入ります。言葉についての意識が高くなり言葉遊びができ、同頭音や同尾音や複雑なしりとりができるようになります。
接続詞や接続助詞も使用できるようになり言葉の意味を状況だけではなく文脈からも理解できるようになり、言葉による言葉の説明ができるようになります。言語を用いて情報処理し思考も深めていきます。
乳児期からお預かりし言語の発達段階で確実に指導内容を実践している場合と幼児期の後半で入室をし言語発達時期を知らずにいた場合とでは明らかに違いが出てきてしまいます。
また幼児期の言葉の発達を見ているとそこには様々な要因が絡み合っています。同じご家庭であっても違いが見られます。これらの違いには大きく分けて3つの要素が関係しています。1つめは子ども自身の個人的要因、2つめは保育環境の要因、3つめは教育的要因です。これら3つの柱は子供の言語にダイレクトに関わってきます。是非とも言語獲得時期を最良のものとするために日々実践をお願いしています。
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