提案『読むことの敏感期』

読むことの敏感期について記す前に『言語の敏感期』について補足しておきます。

言語の役割は大きく分けて3つあります。1つめは子供自身が自らの意思を伝えることができるようにすること、2つめは周りの人々とコミュニケーションをとること、3つめは自分自身の気持ちを整理することです。この3つを身に付けさせることで社会性も育っていきます。そのためにも言語の敏感期を逃さずそれぞれの学びをおさえる事が必要となります。

では今回は言語の敏感期の『読むこと』について記します。


言語の敏感期は4つの方向性で最良のタイミングがやってきます。聞くことや話すことの敏感期は無意識的吸収期と言いもともと備わっている無意識の働きで楽に母国語の土台を築いていき、書くことや読むことは覚えよう、身につけよう、学ぼうとする意識的吸収期といわれる努力が求められます。


聞くこと(胎児~0歳)・・・母親の話す声を聞き、たくさん話し掛けてもらい母国語の土台を育てます。母親の口元をよく見ながら自らの口や舌を動かして無意識に真似をし発語行います。


話すこと(2歳)・・・乳児期から母の口元を見聞きした経験を元に真似をし言葉を発する経験の上に、覚えた言葉を用いておしゃべりをたくさんし話しの爆発期を迎えます。特に自ら覚えたばかりの言葉を何度もこれはなんだろう?パトカーだよねというような反復の確認を何度も行うようになるのもこの頃です。その想いを汲み取ることで言葉を増やすことができます。


書くこと(3歳)・・・2歳頃より文字に触れさせ無意識的吸収を行えるように環境を整え、自らの名前や好きなものの名前を文字化し興味を育て、砂文字などの取組みを行います。文字に触れる環境が整えばかなりの確率でひらがなに興味を持ち始めます。興味が早く育つ場合は2歳から一音一文字、言葉作り、同頭音や同尾音、しりとりなどの言葉遊びもスタートさせていきます。


読むこと(3歳~5歳半)・・・記号的な文字に興味を持ち始め、その文字に音が付いていることに強い関心を持ち一文字ずつ読み、ひらがなをあっという間に覚えてしまう場合もあります。但し幼児期には文字が記号化することで些細な違いに気付くことができず、似通っている文字の混同も見受けられます。その場合には注視させ文字の習得の働きかけを行う必要があります。

やがていろいろな場面で文字を拾い読みします。そして幾つかの文字を組み合わせた単語、次に文章を読み意味を理解する読見に繋がります。個人差はありますが3歳頃に文字に興味を示し、4歳で読む楽しさがピークに達し一人で物語に没頭し読みこなすようになります。5歳半でその敏感期は終わりを迎えるため本好きになるためにはこのタイミングを逃さないようにしなければなりません。

小学校に入学してからひらがなを覚え読み書きするのに時間がかかったり、興味が湧かず習得させるのに四苦八苦するのはこの敏感期を逃した可能性があります。

読む敏感期に必要なことは子供の発達が深く関係しています。

敏感期が訪れないということはありませんが、文字を目にする環境がなければその敏感期が希薄で表面化しづらく気付かないという可能性が出てきます。そうならないためにも先ず文字を目にする環境を整えることが重要でそれは絵本の読み聞かせであることが望ましいといえます。

読むということには幅広い語彙力が必要になります。先ず語彙の土台となる名詞をたくさんインプットすること、そして触覚感覚に働きかける語彙も必要になります。例えば暑い寒い、熱い冷たい、つるつる・さらさら・ごわごわ・ちくちく・ふわふわなど。そしてどう感じたのかという感情(喜怒哀楽など)を言語化できるようにします。

この3つが結びつくことにより言葉として表現しやすくなります。実体験と言葉との調和が言葉から具体的なものを思い浮かべる力や抽象化する力が付き想像力を強化することになります。自ら感じたことを相手に伝えたり、伝えたいことを言葉で考え整理してたり、相手の言葉から想像し感じたことをまた相手に自らの言葉で伝えるというコミュニケーションの練習を幼い頃から行うことで社会性をは育んでいくことができます。

また読んでいる本の書き手の言わんとしている事や登場人物の気持ちを解釈したり、想像したりと言う読解力も身に付けることができるようになります。所謂国語力といわれるものの土台作りは乳児期から幼児期にかけての言語の敏感期で決まるといっても過言ではありません。生きていくために必要なコミュニケーションという社会性のみならず、学習の土台である国語力もこの敏感期と言う感受性がとても高まる時期に最良の働きかけを行うことが、子ども自身にとっては楽に楽しく学ぶことができる最良のタイミングなのです。

子供が本に親しむことができるか否かはその子の読む敏感期の到来を先ず重視します。またそのことにはタイムリミットがあることを認識し、環境を整え読書スペースを作ることを実践することで本に目が行くようにもなります。また子供に読み聞かせだけを行うよりも親が読んでいる姿を見せることも重要です。

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