絵本『ゴッホとひまわりの少年』
衝撃的な人生の結末を迎えるフィンセント・ヴァン・ゴッホですが、この絵本はその悲劇的な人生の終焉や激情的な性格のゴッホを描いてはいません。彼の作品に登場する郵便夫の息子カミーユの視点で物語が展開し、読み手の子供がゴッホを知るきっかけになる絵本です。
この絵本の素晴らしいのは先ずゴッホの筆致により近付けた絵になっていること、そして人物関係が簡略されて作品とリンクさせながら知識を整理できること、子供に道徳的観点から考えることを促せることです。またゴッホの怪奇的行動を言葉ではなく絵としてさり気なく画かれていることに絵本であっても美化せず事実に即していることも評価してよいと考えています。
浮世絵に刺激を受け日本に行きたいと願いながらもその夢は叶えられない。ならば少しでも日本の気候に似たアルル地方に移り住んだゴッホを支えたのが郵便夫ジョゼフ・ルーラン。その息子のカミーユもゴッホと交流を持ちます。
下記はゴッホが実際に描いた作品でこの絵本を通してこの作品を探すきっかけになり、ゴッホの作品を鑑賞してみてはどうでしょうか。
どんなに変わり者であったとしても、人と違うところがあっても一度は歩み寄ろうとすることや相手を理解しようとすることをこの絵本から学ぶことができます。子供の純粋な視線で新しい価値観を受け入れる重要さを大人も再認識できるのではないでしょうか。
作品の中に散りばめられている作品は本の一部です。この絵本を通してゴッホ作品の歴史を紐解いてみてはどうでしょう。彼の作品は『ひまわり』だけではありません。またひまわりも1枚だけではないので見比べてもたのしいものです。
2021年6月11日の偉人『フィンセント・ヴァン・ゴッホ』も併せてお読みください。
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