提案『童話から親が学ぶこと』

童話を読むと心豊かに成長することは子供に読み聞かせを行っている方々なら実感されておられるでしょう。しかし昨今はこの童話を読むことに対して「メリットトデメリットを教えて下さい。」との質問受けることがあり残念だと感じています。

また童話の残虐的なストーリーについて避ける傾向があることも気掛かりな点で今回はそのことについても私なりの見解を記していきます。

童話はもともと親から子へ、子から孫へと語り伝えられたものと、旅人により村から村へと伝えられた口承伝達の方法で広まったものです。やがて時間の流れと共にその土地土地の風土や慣習、文化を取り入れながら話が少しずつ変化した物語を現代の私たちが読んでいるのです。口頭伝承で伝えられたものから文学的紙面化した時点で挿絵が付き、作家や画家、挿絵家によって印象も大きく変化してきたことでしょう。現代においては映像先行で物語を知り、紙面での物語を読むことに移行しています。また原作の悲劇的、残酷的、恐怖を感じさせる表現の賛否も論争され、世論の流れに左右される作品展開になってもいます。

しかし童話というものはもともと『人としてどう生きるのか』という道徳心を親から子へ子から孫へと伝えるものでした。私の考えではある程度原作に添った作品であることが望ましいと考えています。と同時に時代の変化によっていろいろな解釈があってもいいと考え、我が子や孫にはその作品の主となるものを踏まえた上で『多角的な視点から童話を捉え、生きるためのヒントを獲得してほしい』、その童話を自分の解釈で自らを成長させるために活用できる知恵を身に付けてほしいと考えています。

私の経験を申し上げると、ある程度の衝撃のある内容の作品を幾つかの同じタイトル作品で読み聞かせてきました。

例えば挿絵の美しい絵本でその物語が持つ世界観をイメージできるようなもので悲劇的・残虐的・恐怖的な表現を文章で確りあらわされているものを先ず読んであげました。その理由は子供は視覚重視で物事を捉えるからです。

そして次に与える同じタイトルの作品はより思考を深めるために子供にとり難解な言葉が使用されている作品です。これは先出の作品でストーリーを理解しているために前後の文章からその難解な言葉の意味を予測し理解します。

最後にリアルな挿絵や原作に近い作品で教訓や処世訓を学び取れるようにしました。このようなリアルな作品を遠ざけることなく読むことには賛否両論意見がありますが、残念ながら私たちの生きている時代にはいろいろな事件や事故が起こります。実際に起こることは童話や絵本以上に衝撃が大きく、空想と現実が乖離せずに受け止められ社会秩序や道徳心を学ぶようにと考えてのことでした。しかし実際の映像は大人でも耐えられないような衝撃があるので童話の世界でイメージさせておくことが重要だと考えます。

さて童話の魅力は感情の豊かさを味わうことができるバラエティーに富んだ文学であることです。逆境を乗越える七匹のこやぎなどの作品もあれば、おめでたい内容のシンデレラや白雪姫、悲しい内容の幸福の王子、マッチ売りの少女、人魚姫、イソップ物語に見るたとえ話(寓話)で教訓を子供が理解しやすいように動物登場で学ぶことで子供の想像の世界の幅を広げることができます。

これらの童話の世界を堪能した後に内容の主となることを押さえて、自分なりの視点で物語を読み込んでいくことが、これから先の時代に子供達が生きる力を強くもてるのではないかと考えています。

例えば『うさぎとかめ』の物語では、能力のあるものは自信過剰にならずに油断をせず行動し、たとえ能力が劣るものであっても諦めずに着実にコツコツと努力するこで成功を修めることができるという教訓を認知し、改めて物語を多角的視点から考えてみることを行うようにします。

ではどのような考え方が子供の中に生まれてきたのか、私の思い出せる範囲内で記します。

そもそも競争って必要なのか?ということ。勝ち負けに拘ることよりももっと自分自身を高めるための思考が必要ではないのかという意見。

また誰かに勝って喜んで、誰かに負けて悲しんで悔しんでということから何が生まれるのであろうか?その点に心を向けてしまうと自信過剰や自己肯定感が育たないのではないだろうか・・・競争することに意義があるとすれば、それは結果というよりもお互いの頑張りにエールを送ることや切磋琢磨し互いに成長を促すものではないだろうか?と様々な考え方があることにも気づくことができます。

自分の能力を理解した上で無謀な挑発に挑むかめは感情のまま挑発に乗ってしまって良かったのか、理性で判断して行動を起こすべきではなかったのか。

周りでその競争をただ傍観する立場にいた動物たちから学ぶことは何があるだろうかなど多角的にこの物語を見ることが、複数冊の同じタイトルの内容を繰り返し読むことで考え方や感じ方が変化します。このような視点を変化させることで子供達に多くの選択肢を持たせることになり、生きる力に繋がるのだと考えます。

だからこそ1方向からのものの考え方を誘導するような大人からの発信があってはならないと考えます。子供の語ることを受け止めて考えや意見を討論することがあってはじめて、子供の心や思考が豊かになるそう感じています。

童話のメリットやデメリットという結果主義的発想ではなく、人としてどう生きていくのかを確りと子供が読み解くことができるように、そして育んだことを子供が実践できるようにすることを心から願い信じ、共鳴しあう貴重な読み聞かせや読書の時間を大切にすることだけを考えることが重要だと考えます。

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