偉人『ニール・アームストロング』

かなり前であるが人類が初めて月面着陸したアポロ計画は、実はアメリカが世界の主導権を握るための仕組んだ策略だったのかという疑惑と真相を検証するという報道番組を見たことがある。詰まる所それが事実であったかということは分からずじまいであったが、私にとって1969年人類で初めて月に降り立ったアメリカ人宇宙飛行士ニール・アームストロングという人物に興味を覚えたのが大きな収穫であった。


1930年8月5日オハイオ州ワパコネタで役所勤めの父スティーヴンと母ヴィオーラの長男として誕生。誕生時に母は病院に搬送され、子は生まれる前にすでに生命の危機を迎えていたのである。無事に誕生したその男乳児は『空に浮かぶ雲』という意味のニールという名を名付けられたのである。幼少期のニールは極度の人見知りで家に知らない人が来るとクローゼットに隠れてしまったり、犬が吠えるだけで泣く繊細な子供であった。母はそのあまりにも繊細すぎる息子に与えられるものは何かを考え、母としての結論で安心感を与え常に温もりを感じさせる結論に至った。母ヴィオーラは我が子を膝に乗せて絵本の読み聞かせを行いニールの繊細さに寄り添ったのである。

その母の決断は彼を無類の本好きにし、成長すると共に小説、歴史、科学の専門書を読み漁り小学校1年生では5、6年生向けの本を読みこなしその冊数は1年間で100冊を超えていたという。その優秀さを評価され4年生に飛び級したくらいである。その飛び級によって自信をつけたニールは、次第に自信をつけ周りの友人との関係も育みながら成長する。


彼が無類の本好きであることは先に記したが、本を通して彼は2つの大きな人生の指針を得たのである。その2つの指針とは『人は平等に死が訪れる』ということである。先人たちはたった一度の人生を生き切り、生きるということは全てが初めての経験であるからこそ初めてのチャレンジを恐れることなく実行すればいいと理解し、初めてのことで上手くいくことは奇跡に近く失敗することなど意識することは必要無いということにも気づけたのである。


そしてもう1つは『深く考えこみ、ものを言わずに思考する』ことの重要さに気付いたのである。これは本で学んどというよりも父や祖父からの反面教師的学びでが深く関係している。彼の人生に関する文献を読んでいると癇癪持ちの血筋という家柄の表記があるが、実はそれは血筋というよりも育ちである。父は即行動をし上手くいかないとすぐに激昂し、感情的になり家族に当たっていたという。その矛先は読書ばかりするニールに向けられた。父のこのような対応がニールを黙らせ内向的にさせるには十分であった。父がニールに投げかける理不尽な言葉に返すこともできず、体が強張り震えていたという。そのような父を傍観し俯瞰しニールは「自分は不器用で人が怖い分、行動に出るのが遅い。だから深く考えて行動に移るときには自分自身が納得し、たとえ結果が得られずとも後悔はない」と語っている。

ニールは瞬発的な行動をとることよりも自分自身には熟考という選択肢が備わり、冷静に物事を判断する力を獲得していたのである。


ニールと父の関係性は残念ながら父の不理解さによって生涯溝が埋まることはなかった。父は「全く、お前は何を考えているのか分からない!」と言われ続け、ニールは父に甘えた記憶もなければ誉められた記憶もない。父は弟ばかりを可愛がりことの他ニールには厳しかったという。想像するしかないのであるが、父は弱々しい息子を理解できず自分自身が思い描く息子により近い弟を可愛がったのであろう。今も昔も親は自分自身の価値観を子供に投影しがちである。しかし自分自身の価値観と遠い位置にある場合には矯正や強要を強いることもあり、それが正しい考え方かどうかを判断する余裕もないのである。ニールの父スティーヴンもまた祖父から男児とは、息子とは、子供とはこうあるべきだと育てられたのであろう。

ニール・アームストロングは父のこのような思考的支配から沈黙や熟考という手段で距離を置くことができたからこそ、人類が立ち入ることがなかった宇宙に惹かれたのだろう。これまでに読んだ書物の中にも記されていない宇宙という世界に飛び込み、初めてのことに臆することなく経験したいという思いが強くなったと考える。

人類初の月面着陸はニール・アームストロングの冷静沈着で熟考した行動力あってのことだ。そして彼をそのように育てたのは母から譲り受けた読書と学ぶことの貪欲さが彼を内向的な強さに導き、父の不理解な言動が客観的に物事を判断する冷静沈着な行動の重要性に気付かせたのであろう。これまでに取り上げた偉人の中にも親から心無い言動を受けた人物がいたが、その後の人生の精神性や心の葛藤を抱え苦しみ抜いた彼らと今回のニール・アームストロングには決定的違いがある。苦しみの中にいてもその状況を客観視できる違いはどこから来るのか。それは書物であり、読書であると断言しておこう。

本はその人の人生観をガラッと変えてしまうほどの力があるいろいろな視点で物事を考える選択肢を増やすということは冷静に物事を思考することもできる。このことを念頭に置いて偉人の幼少期を記事を読んでくださることで納得できることが多いのではないかと考える。

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