提案『キャラクターとの付き合い方』

子育てに於いてとても悩ましいのがキャラクターの存在です。キャラクターは愛らしいものから暴力的要素を含むものまで、また内容は創造性を膨らますことができるものから視野の狭い一方向へ先導するものまでと、それぞれのキャラクターを一括りするには難しい一面があります。ではどのように付き合っていいけばいいのか、どう子育てに取り入れればいいのかをキャラクターの特徴とともに考えてみましょう。

記事には私が専門家として子育て中にキャラクターとどう向き合ってきたのかも記しますので、キャラクター導入の参考になさって下さい。またこの紙面上に書けないことも情報として持っていますのでお尋ねいただけたらと思います。


1、色鮮やかすぎる

視覚重視の子供たちの目も心を惹きつけるのは鮮やか過ぎる刺激的『色』です。これは私が子供と接して実感した事ですが、キャラクターのおもちゃや絵本で育った子供は良質で素朴な色を持つ木のおもちゃや絵本には興味が薄くなるという傾向があります。分かり易く食事に置き替えて説明すると、マヨネーズやケチャップといった濃い味を先に覚えてしますので素材のもつ味やお出汁、塩、醤油といったやさしい味を味わえないのと似ています。視覚発達を促す1歳未満の乳児には鮮やかな色認知で目の発達を促し、1歳以降は少しずつ色のトーンを抑えたおもちゃや絵本を取り入れるようにしましょう。

私自身の子育てでは色の刺激に溢れるキャラクターとは一線を画して育てました。これは色刺激の強いものが及ぼす影響がわかっていたということもありますが、私の趣味である絵画鑑賞を子供と共にという希望や自然からの色彩感覚を大事にしたいという思いがあったことも関係しています。

毎週金曜日のブログ記事・偉人『シオの勝手に幼少期シリーズ』で取り上げた名を残す多くの偉人の共通点として、人工物からの刺激よりも自然環境からの影響を多大に受けて育っていることが共通しています。またこれまでにご縁のあった生徒さんの中で優秀な子供たちもキャラクターへの関心よりも自然界からの影響を多分に受けている子供たちばかりで、人工物では推し量ることの出来ない能力を引き出す力が自然界にはあるのだと実感しています。よってやはりベタ塗りの色刺激のあるものではなく、自然界に存在する色やそれに近い色の濃淡やくすみ、陰り様々な色のバリエーションを持つおもちゃや絵本を子供たちには与えてほしいと考えます。


2、インパクトがあり過ぎる

色彩もさることながらキャラクター物語には強烈な印象付けがなされている内容の作品もあり、与える年齢に注意が必要な作品もあります。例えば思考力を育てていく過程にある幼児期に正義感ばかりを煽る作品を取り入れていると、善悪ばかりに拘り相手の気持ちや立場を考えたり察する思考が育つ機会を失ってしまいます。とはいえ4、5歳になると発達上大きなもの、強いものやヒーロー的存在に憧れお友達との遊びの中にも介在してくるので、子供自身が見たいというのならば見せつつ、思考が一方通行にならないように選択肢の幅を広げる工夫が必要にります。


また2歳以下の子供向けにに多用される多ことが多いパンに関係するキャラクターを私は見せないように育てました。2歳以下の子供はことの良し悪しがわかりません。よってまだまだ自分中心の発達段階にある子供が、そのキャラクターの映像や絵本を見聞きし学んだ感情的場面でパンチを繰り出したり、顔を噛み千切り新しい顔に交換するといった強烈過ぎる場面が好ましいとはどうしても思えません。

実際にこの作品を見て育った子供が思い通りにいかないと相手にパンチをしたり、焼きもちを焼き兄弟や友達の頭にかじりついたり、友達をバイ菌的扱いしたりする言動の相談を受けた事があります。一方このキャラクター内容と接したことのない子供はこのような行動は見られないことが実感としてあります。しかし取り入れずとも自ずと目にすることはあり、予防接種の絆創膏に看護師さんのご好意でそのキャラクターが描かれていたり、小児科や小児歯科、図書館や子供が集まる施設にはそのキャラクターを見ることが多くありました。愛らしいというキャラクターには問題はないのでキャラクターの名前を覚える、種類を知ることは受け入れていました。全てを排除するのではなく受け入れても差し支えがない分野に関しては容認してもいいとは思いますが、私は色の刺激も強いので程々の塩梅で対応をしていました。

しかし内容という点では未だに注意が必要であると考えています。なぜなら乳幼児には友達を受け入るという人格形成の土台になる教えを行わなければならない年齢ですが、バイ菌的キャラクターを登場させることにより自分と考え方の異なるものを排除する考え方を教え込んでいるように見えます。子供だからそこまで考えてはいないのではとの意見も以前いただきましたが、私なりに何度も子供たちの言動やその後の成長を分析してもこの作品は3歳以下の子には不向きだという結論に至りました。とても愛らしいキャラクターなのですが、人格形成に敏感な欧米諸国での受け入れが進まないのもこれらの理由が関係しているのではないかと思います。ある外国のご両親は乳児に見せるR指定作品との意見もいただいた事もありますが、この作品に於けるメリットはないのか新たな見方や発見ができないかも含めて、これからも分析を続けていこうと考えます。


3、感情的や暴力的表現を含む

先出の内容と重複しますが感情を相手にぶつけてしまう表現があるキャラクターや善悪を二分するだけの戦隊モノなどの内容はやはり偏りがあると考えます。しかし人間には負の感情もあり、その感情をどう受け入れ理解し収めるかが子育てに於いては必要なことです。またこの社会には白か黒かと明白な線引きができない事もたくさんあり、どこにも属さない曖昧さもあるのです。よってあらゆる事柄を子供自身が等身大で考え、感情や暴力的行動とどう向き合うのかを考えられるように、そして対応できるように教育することが親の役目であり大人のすべき事だと考えます。ただ番組を見せているだけでは何れどこで歪みが生まれる可能性があるのです。これからの時代には自分と違う意見や立場をどう受け入れ理解し、ともに共存していくかを身につける必要があるため、感情的に人にその思いをぶつけることはしてはなりません。そのような視点から作品を捉えることが望まし意図言えますが、そのことを理解するにはある程度の年齢に達していなければならず、その種まきは1歳以降に少しずつ行い、3歳以降にしっかりと教えていく関わり方が親に求められることだと考えます。


4、遊びの幅が広がらない

キャラクターのストーリー展開の多くが起承転結で決まりきっている傾向にあります。女の子が好きなディズニー作品のプリンセス系や悪者が現れヒーローの力によって日常に戻るという戦隊モノなど子供たちは見聞きした内容のレールの上を走る傾向が強いです。時に脱線してもいいよと伝えてもそのストーリーになぞって遊ぶ姿が変えられず、物語通りの型に嵌まった遊びとなり臨機応変に遊ぶことが余程のことがない限り難しいと感じています。おままごとや家族ごっこなどの遊びでは自由闊達に遊ぶことができるのに、キャラクターを取り入れるだけで遊びの幅が広がらないとなるのはやはりキャラクターを通して子供に与える印象が強いからだと考えます。


5、子供同士の共通会話の元となりやすい

年中児以上の子供同士の会話に耳を澄ましているとキャラクターについて話していることがあります。男女問わず楽しそうにキャラクターについて話をする姿も子供らしいといえます。多くのお母様方が気にするのが、キャラクターを知らないと子供同士の会話に入れず我が子が孤立するのではないかという懸念です。確かにキャラクターを知らないとその場での会話を楽しめない事実もあるでしょう。しかし幼児の世界はキャラクター一色ではありません。子供が興味を示せばそのお友達の会話に耳をかしどこからともなくキャラクターを覚えてきます。そうすると親子でそのキャラクターを取り入れるかどうかを検討すればよいでしょう。


6、多くのキャラクターで暗記力を鍛える

1つの物語に多くのキャラクターが登場する作品があります。そのキャラクターを覚えるだけでも暗記力の強化や記憶の引き出しの鍛錬になります。記憶力の強さはあらゆる場面において大きな武器になりますから、楽しくキャラクターを覚えるという点では1つの方法だと思います。

記憶力の芽は1歳のお誕生を迎えた頃から土台を作り始めるトレーニングを行うことができ、親子で同じものを見聞きし思考しながら覚えることの鍛錬を行うことになります。わずかな時間であっという間にいろいろなことを覚えてしまうこと子もいれば、なかなか覚えることができない子や時間や労力を使い覚える子のその力の差は、乳幼児期からの聞く力に端を発し記憶との向き合い方にあります。その点に於いてはキャラクターのみならず好きなことに夢中になりとことん覚えることが記憶力発達の鍵となります。


7、非認知力を伸ばす可能性のある作品の存在

一部の発達障害児の非認知能力を伸ばす作品として世界的に注目されているのが『きかんしゃトーマス』です。この作品には非認知能力の物事のに集中する力や困難に立ち向かう姿勢だけではなく、正しさの価値や友情的感覚の促し、規則正しく運行する時刻性認を育み受け入れやすいばかりではなく、認知能力としての数や言葉、色の理解音楽に対する関心も獲得する事ができるなど研究発表がなされています。


8、時代の変遷を考慮した作品の存在と吟味すべきこと

私自身の最初のディズニー作品との出会いは『子鹿バンビ』に『くまのプーさん』『ダンボ』です。今から半世紀以上も前のことですが、その当時は『愛とは何か』を解いていた作品が多くを占めていたように思います。それが時代の変遷とともに親子の愛情、プリンセス系の愛情作品から家族間の関わり方に移行し、今ではあらゆる多様性に焦点を当てた文化的作品のみならず、社会の歪みや様々な差別について学ぶことができる作品が多くなり、その主題も多種多様性化したように思います。その一方でディズニー作品の中でも強烈な印象を与えかねないデフォルメ的作品や暴力的なもの、怖いと感じる場面が存在します。そのため一概に全てを高評価できませんが、大人が吟味して見せるに値する作品が多いのもディズニーアニメの特徴かもしれません。私自身が子供にディズニー映画を見せたのも小学生になる堺の年だったと記憶しています。その理由は勿論様々な角度からその作品を見ることができるようになったからです。



9、ジブリで育てたい心の育み

ジブリのキャラクターといえばトトロでしょうか。古き良き時代の風景描写や子供の想像力を掻き立てるトトロの愛らしさとちゃんとの交流が何度も見たくなるのでしょう。私がジブリを認識したのは当時大好きだった安田成美さんの歌う「風の谷のナウシカ」がきっかけとなり映画館が好きではない私が友達に誘われるまま見た作品です。社会に訴えかけるような作品も多いジブリ作品ですが、小学校の高学年から中高と成長するにあたって要所要所で子供と鑑賞しました。その理由は子供自身が自分自身を特別な存在として認めてくれるきっかけとなればと考えてのことです。

またジブリ作品の人気は子供のみならず実は大人のファンが多いのも特徴で、また日本国内のみならず海外での人気が高いことはその映像の美しさとその世界観を壊さない音楽的センスのみならず、現代の人間が抱えている問題に切り込んでいるからだと考えます。またこれまでのアニメ映画に登場する強いキャラクターが主人公ではなく、人が抱える弱い部分や問題点、誰の中にも存在する迷いや不安に焦点を当てていたり、個人の尊厳を描いている素晴らしさが世界でも評価される一因だと思います。


キャラクターにはメリットとデメリットがあり、その特徴を子育てに取り入れるにはそのメリットとデメリットを理解した上で、年齢と子供の発達をしっかりと考えながら行わなければならないと考えています。特に感情コントロールや言葉が未熟で理性の概念も発達途中の2歳以下の子供には、与えるキャラクターを吟味しなければならいと強く思います。また就学期以降はアニメを通して学ぶことを親子で行うことが視野を広げることになるのだと考え、思春期においては子供の心に訴えかける作品を鑑賞することをお勧めします。




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