絵本『お正月さん ありがとう』

田んぼにかかった雪一面の光景を沖縄の子供達は知りません。晴れた雪の日のピーんと張った空気感を感じることもおじいちゃんの着ている半纏も、孫がしている耳当てやストーブの上にやかんを置く意味もわからないでしょう。雪降る土地に住む子は当たり前なのでその意味を尋ねてくることも説明する事も必要ありませんが、沖縄では子供からの気づきだけではなく情報を伝える事も必要です。身近にない光景だからこそ想像力を持って読んで欲しいと思います。

「来年の事を言えば鬼が笑う」・・・本当なの?と子供たちが必ず聞いてくることもこの絵本の魅力なのかと思います。将来のことは分からないからあれこれと話をしても意味がないし、予測できない未来について語っても始まらない、だから鬼が馬鹿にして笑う。

そんなシーンである鬼の声が聞こえて怖さを感じつつも、おじいちゃんの「お正月さんが来てくださった」という力強い言葉に励まされ、孫がおじいちゃんとの願いを叫ぶシーンでは孫の成長を感じます。

昨今は合理性や結果だけを良しとする風潮がありますが、日本人らしさの中かに存在する自分を律することができるような教えを今一度見直したいとも感じています。「お天道様が見ている、ご先祖様が守ってくれている、だから人の道に逸れないように正直に生きよう」というような思いに立ち返る絵本も必要だと思うのです。

この絵本はとてもあっさりとしている絵本ですから新年の清々しい気持ちの一年の始まりに読んでみてはいかがでしょうか。

Baby教室シオ

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