提案『妊娠中にこそ実践すべきこと』
これまで多くのお母様が出産後子育てをする上で多くのことを悩み考え、時に育て方を修正する姿を見てきました。その度に感じてきたことは私が子育て中に経験した戸惑う姿は何一つ社会的に改善されていないのだということです。極論かもしれませんが中高校生の教育の中に自分自身の体を守ることや命を繋ぐことを深く学ぶ教科があってもいいのではないかと思うのです。その中に父親や母親になるための学びを入れ、軽くでも学んでおけば愛着形成の重要性に気付くことができ、社会的に目を背けたくなるような虐待や命に関わるような事件事故を防ぐ一助になるのではないかと考えています。日本ではやっと性教育が少しずつ取り入れられてきたので私の考えが導入されるか否かはまだまだ議論にさえ至らないところですが、少子高齢化の日本の未来を考えた時にこそ子供たちの教育の中に組み込むべきものではないかと考えています。
さて教室では母親になることがわかった時点で妊婦のお母様には学ぶべきことを3つ学んでもらっています。
1つ目は妊娠中の母親の過ごし方です。
母親が食したものが胎児の体を作ることは理解できていますが、それ以外に心や思考も母親の影響を受けることをお伝えしています。妊娠中にどのような環境で過ごし、物事をどのように捉え思考し行動しているのかが子胎児にダイレクトに作用していると実感しています。母親が不安の中で妊娠期を過ごせば出産後の子供の中にもその不安が見え隠れし、心豊かに日々を過ごしていると情緒が安定している子供の様子を間近に見ています。
私がことの他に重要視しているのが母親が妊娠中にどれだけ多くの書物に触れ、豊かな言葉に触れ、豊かな音を耳にしていたのかということです。母親が思考をしっかりと促す本を読んでいれば子供の思考力や言語力に影響を与えていると日々確信し、言語の大本である良質の音を母親が心地良いと思って聴くことにより言葉を捉える力を胎児の頃から磨いていることになっていると感じています。この事はこれまでの関わりの中でご縁のあった親子さんを通しての分析によるものですが、まさしく妊娠中から子供の能力を鍛えているのが母親の生活であり過ごし方であることは間違いないと確信しています。よって穏やかに言語性と音楽性をもって豊かに妊娠中を過ごすことが何よりも重要であると考えています。
実は2歳児のイヤイヤ期の程度さは前頭葉の発達に関係していますが、言葉を理解し傾聴ができる子供はイヤイヤ期に手こずることは限りなく少ないものです。私がこれまでに先の事を実践していただいたお母様のお子さんはこの前頭葉の発達が促されて情緒が豊かで安定しています。このことからも母親の妊娠期の過ごし方は重要なのです。
2つ目は乳児の原始反射について学んでほしいと考えます。
そして誕生後はその原始反射が消失するまでに最大限の刺激を与えることです。
妊娠中の母親の豊かな過ごし方の次に重要になるのが生後間もない乳児に出現する原始反射です。原始反射は胎児の頃に出現した幾つもの反射が出産後の数ヶ月で全て消失してしまいますが、その反射の意味の重要性を多くのお母様はあまり知りません。胎児の頃に現れた反射が誕生後の能力や身体発達に大きく関わっていることを認識している私にとっては、この原始反射を間髪入れずに捉え、刺激を促すことで乳児の能力が格段に伸びることを知っています。
そして一人でも多くのお母様がその原始反射の重要性に気付くべきだと考えています。宝の山に入りてみすみすその宝を手に入れずに消えゆくのをただ見ているでけや或いはその宝である原始反射の存在自体に気付いていない事は勿体無いものです。
生後2ヶ月からの通室により母親学を通して原始反射について学び実践していただいていますが、いずれは妊婦さん対象に講座を開くことができればと考えています。
3つ目は親子の愛着形成の重要性を認知しておくことです。
母親になると幸せホルモンのオキシトシンが分泌されますが、実はその分泌量はお母様方が乳児だった頃にほぼ決定しています。よって子供が誕生してから愛情が溢れる母親もいれば子供を可愛いとさえ思えない母親も存在するのです。この事実が実はネグレクトや虐待につながる世代継承の原因になっているのも事実です。とはいえ母親になって子供と関わる環境を努力し積めば人間の本能的部分に働きかけられオキシトシンが増える可能性もあります。
ですから我が子が親になる時のために子供をしっかりと胸に抱き、愛情をかけ育てて幸せホルモンを分泌させる土台をしっかりと形成させてあげることが重要であることを何よりも認識して誕生後のその思いを実践してほしいと考えます。
よくお母様方にお話をする時に使う言葉が『出産後も見えない臍の緒で親子は繋がっている』というものです。誕生後に母親が忙しい時や心乱れる時にこそ子供に手がかかることが起きたりしますが、これは母親の思いが子供に影響している状況です。胎児の頃から臍の緒を通して強く結びついているからこそ出現するものだと感じると同時に、私たちが考えている以上に親の心の作用が子供に影響を及ぼします。妊娠期から心穏やかに不安を抱えず生活することが胎児育てであり、出産後に基本的知識を持ち子育ての意義を考え穏やかに過ごせるようにすることで子育ての見通しが付き楽しく過ごせるのです。
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