提案『雨の日の楽しみ方』
2020年7月のブログ記事立ち上げから5年を迎え、やっと雨の日を謳歌する記事を書く事ができます。毎年優先記事を上げる必要にかられ後回しになっていた案件ですが、今回は我が家で実践していた雨の過ごし方と生徒さん宅のお知恵を拝借した提案を記して参ります。
その前に雨を五感で楽しむ事について軽く記していきますのでこれを念頭に入れて提案をご覧ください。
視覚・・・雨の振り方などの強弱、水溜りに映るものや波紋、雨粒がものを伝い滴る様子、昆虫や動物が姿を隠し見えないこと、雲の形や色、
聴覚・・・雨音に耳を傾ける、雨が物に当たる音を拾う
嗅覚・・・雨が降り出したタイミングでの匂い
触覚・・・雨を全身で受ける、雨水でチャプチャプ遊ぶ、土壌の湿り気
1ヶ月余りの梅雨の時期は主婦にとっては悩ましい事がたくさんありますが、お子さんにとっては楽しい遊び満載な時期です。どのような遊びがあるのかを記して参りますので参考になさってじめっとした日々を快適に乗り切ってください。
さて梅雨の時期に取組めることを2つの場所に分けて考えていきます。1つ目は間接的に雨をイメージしながら家の中で取り組むこと、2つ目は屋外で思いっきり直接的に雨を楽しむことです。先ずは家の中でできることを考えてみましょう。
1、家などの室内で間接的に雨を楽しむ
雨の時期や雨が降る日に家で何をしているかとのアンケートに昨今は YouTube を見ているとの意見が目立ってきているそうです。これは時代なのかもしれませんが、子供の感性を育てようという点では実体験化しなければ子供の脳に良質な刺激も送れませんし、日本人が培ってきた遊びも廃れて心育てにも少なからず影響が出てくるのではないかと危惧してしまいます。では早速見ていきましょう。
① 雨に関するお絵描きや工作などを楽しむ
雨の日に描きたいものを描いたり、作りたい造形に取り組むなど自由な制作活動をすればいいとは思いますが、我が家では『てるてる坊主』をリビングの窓全体に作って吊るすことを行いました。初年度は簡単にティッシュパーパーでしたが、次年度はビニールや通称プチプチと呼ばれる気泡緩衝材になり、3年目は贈答品の中の和紙や包装紙をくしゃくしゃにして作ってみたりと毎年「今年は何で作る?」という材料を決めることから後年は行いました。家にあるもので工夫して去年とは違うものを作るという更新型のてるてる坊主はたくさんのバージョンがありましたが、最後は布のてるてる坊主で手芸に至り、その手芸力を活かす事ができていると話しています。材料を買って行うこともそれなりに美しいものができますが、家にあるもので創意工夫をするということはひらめきを生み出してくれますし、モータースキルの構築ができ職業に活かすことができています。是非材質の学びやひらめき、そしてモータースキルの磨きのために試してみて下さい。
② 雨に関する芸術の鑑賞
これは私が好きで子供達に特に取組ませていたものです。絵画なら雨に関する作品を図録や絵本、絵画集で探し出して真似をして描いてみたり、色塗り名画集から探し当てて色鉛筆・絵の具・パステル・墨汁などで画家になりきって自分だけの作品にしてみたり、もし画家の作品の色を変えるとしたら何色に塗り直すかと楽しんでいました。昨今では『大人の塗り絵』という西洋絵画を使用した作品も販売されているので、容易に有名な絵画の塗り絵が行えるようになっており生徒さんたちも使用しているようにです。17、8年前の生徒さんたちはルノワールの『雨傘』の傘色を色を変えて塗り絵をレッスンで楽しんでいましたが、そのようなグループレッスンも行っていないのでご家庭でお楽しみいただけると絵画に親しむ機会になるかもしれません。
絵画だけではなく私はブラームスをこよなく愛すので彼のヴァイオリン・ソナタ第1番『雨の歌』を聴き、梅雨の鬱陶しさを吹き飛ばすようなエネルギーに溢れているこの曲を流し家事をします。またドビュッシーの『版画』より『雨の庭』を聴きながら雨の庭を眺めながら休息するのも想像を掻き立てられるので好きです。雨をより情感的なものとして味わえる感覚は心と時間にyぴゅうがないとできない事ですが、自分自身の安定のためや子供とゆったりと過ごすことができる音楽とセットにする楽しみ方があっても良いと思います。クラシックに限らず童謡の『あめふり』『あめふりくまのこ』『にじ』などもありお子さんと一緒に歌うのも素敵ですが、小さな子供の寝かしつけに優しく歌って聞かせることもしてほしいと思います。また邦楽だとaikoさん好きなお母様は『4月の雨』を聴くそうです。また福山雅治好きのお母様は『Squall』だそうです。お若いのに私たち同年齢の福山雅治を??と不思議に思っているとご結婚がお決まりになった際にお母様からプレゼントされたCDだそうで雨の曲だったかと聞き直してみると冒頭に出てくる通り雨・・・人それぞれ思い出があるようです。親子感で紡ぎ出される曲を持てる幸せを噛み締めて子育てに生かしてほしいと願います。ジャンルを問わず雨に関する曲を親子で楽しむのも良いでしょう。この機会にポップス系をもう一度見直してみましょうと考えています。
③ 雨に関する曲を演奏する、歌う
ピアノ・ヴァイオリン・チェロ・フルート・ギターを演奏される生徒さん御一家は、お子さんたちの英語の勉強としてカーペンターズの『雨の日と日曜日』、ザ・カスケーズの『悲しき雨音』を演奏しながら歌われている画像を拝見しました。6歳の男の子が失恋を意味する『悲しき雨音』を上手に笑顔で歌っていて、その横でその子の御祖父が寂しそうにギターを弾かれているのが対照的できっとこの曲に想い入れがあるのだろうなと想像してしまいました。この曲は失恋ソングではありますが、詩の描写の擬人化が素敵でもあり、失恋の衝撃を表現した雷鳴の轟音や失恋した男性の涙をイメージさせる雨音もあり、何より軽やかなメロディに次の展望があるさと励まし曲調が60年以上経ってもイキイキしてします。また先日はレッスンに向かう車中で『レイニーブルー』を聴いてきたのだと鼻歌まじりで入室してきた生徒さんもおられました。我が家では恋愛ソングの「はじまりはいつも雨」を親目線で子供達に歌え伝えた懐かしい曲があったことをふと思い出しました。雨の日を印象付ける親世代や祖父母世代の名曲を共に新世代の子供達と歌い演奏するのもまた粋な音楽の交流なのだと感じます。
④ 雨の絵本や文学を楽しむ
雨の日には雨の日の作品を読むと現在進行形で絵本の中と現実を行き来しながら作品を楽しむ事ができます。例えば雨の音を楽しむ『あめ ぽぽぽ』、一日の天気の移ろいとてるてる坊主の表情を読み解く『てるてるぼうず』、水溜りを楽しむ『おさんぽ おさんぽ』、土砂降りの雨を全身で楽しむ『どしゃぶり』、ユーモラスな内容の『かさどろぼう』『ぞうくんのあめふりさんぽ』、雨の細かな様子を視覚だけで楽しむ文字が一切ない絵本『雨、あめ』、自然科学を教えてくれる多くの作品など年齢に合わせてこの時期に読むと子供達の感受性により良い刺激を与える事ができるでしょう。是非とも親子で雨を楽しむ多くの作品に出会ってほしいと思います。
また昨今はご両親の読書不足も感じているので親御さん自身が作品に触れる時間を持ってほしいと思います。そこで2冊ほど軽くご紹介します。
1冊目は世界文学の最高峰として取り上げられることの多いサマセット・モームの『雨』です。この作品は私に物事を深く考えることを促した作品です。宣教師が降り立ったサモア諸島のじめっとする雨描写を入り口にして人間とは?を痛切に見出させてくれます。宗教というものにがんじがらめになった宣教師が自分自身の物差しで全てを計り、そして自分自身を追い込んでいくという作品です。そこから何を学ぶかということをこの作品は読み解く事ができそれは子育てに十分活かす事ができると考えています。
私がこの作品から得たものは、自分自身の意見はしっかり伝えるがその確たるものや価値観を相手に押し付けづにその人に進むべき道を選んでもらうこと、相手の価値観を否定し良かれと思って伝えても相手には響かないし劇的変化は望めない、何も変わらないことの方が多い=人間の根原はそう易々と変わるものではないということ、そして相手が自分自身の思うところの道を進まず失敗してもその代替えになる道の提示だけはしよう、するべきだと読み解いた作品です。子供達には大変難しく理解ができないものですが高校生になると読んでほしい作品でもあり、子供がいつの日か手にするかもしれないと自分自身の書架に建てていた作品です。
そして2冊目は6月23日慰霊の日ですが沖縄戦に関する作品を読まれているご父母は多いと思うので、今回は井伏鱒二の『黒い雨』を取り上げました。8月に読むには辛過ぎる作品ですが日本人としては必ず読んでおかなくてはならない原爆投下に翻弄された人々の姿が描かれています。沖縄戦とはまた違う道筋の戦 IKUSA ですが遺伝子レベルでその影響を受ける恐ろしいものでもあります。あまりにも酷い経験をしてきた広島・長崎・沖縄の負の歴史を知らない日本人の愚かさに口惜しく感じます。子育てをしているときに観光で出かける土地にどのような歴史が存在するかをまず親が語る事ができなければ、それは厚みのある豊かな人間に子供を育てることはできないと私は考えています。知ろうとすることの豊かさをバランスよくというのもまたこの梅雨時に考えてほしいと思います。
2、屋外で雨を楽しむ
雨の日にこそ思う存分体験してもらおうと思い立つお母様は多いと思います。私自身の子育ての時にもレインコートを着て雨降り頻る中を散歩やお買い物に出かけたり、レインブーツやサンダルを履いて水たまりを堪能させたりもしてきましたが、この屋外で雨降り体験は子供たちの子心を掴んで離さない刺激の強い遊びです。思う存分雨の日を楽しむことは良質な刺激ですが、降る度に出かけないと気が済まないようになり困り果てるお母様おられました。よって屋外の遊びは毎回ではなく1日雨を堪能したら数日または一週間時間をおくなどする事が望ましいと言えます。
① 雨を全身で浴びる
この梅雨の時期を迎えると生徒さんの数人は新しいレインブーツを買ってもらったんだと嬉しそうに見せてくれます。今年もすでに3人が買いたてのレインブーツを履いて、我が家の地下水槽から溢れる水溜りで遊ぶんだと駆け降りていきました。子供達にとって水はものすごい魅力のあるもので、雨の中全身ずぶ濡れで遊びたいという衝動を持っている子供も少なくはありません。特に活発な性格の子供たちの中には全身ずぶ濡れで遊ぶことに喜びを感じているようです。顔を上に向けて雨を顔に当てたり、口を大きく広げて雨を味わおうとしたり、手を大きく広げて回転や踊り出すなど全身で雨を楽しもうとします。
我が子も今日は全身ずぶ濡れになりたいと雨の中をくるくると回転し楽しそうな時期もありました。そんな日はレインコートやレインブーツの提案を持ち掛けても全却下になり、親としては服の選択後始末や入浴時も大暴れになることを覚悟しなければなりません。特に夏の日の夕立が降りそうな日は来るぞ来るぞと要求回避する理由を考えたものです。
私の経験から言うとその雨のずぶ濡れ体験の虜になると刺激が強過ぎて、他の楽しみを味わうことが希薄になり苦労した覚えがあります。雨の日は屋外で過ごすことも屋内で楽しみを見つけることもバランスよく行うことが望ましいと考えます。
② 雨の日の散歩
雨の日の散歩というと雨が降り出してからのことを思い浮かべる方もおられるでしょう。しかし雨が降り出しそうな時から雨を楽しむ事が始まっています。
雨の日の散歩は既に雨が降っている状態でお出かけになるのでどこに行ってもしんみりとしています。雨の音や雨が降る様子をひたすら五感で感じる事が主となります。しかし今にも雨が降り出しそうな時に出掛けると、てんとう虫が葉の上にいたり、蝶やトンボ、鳥が飛んでいたり蜂が蜜を集めに飛び交う様子が見受けられますし、地面を見ると蟻なども見受ける事ができるでしょう。曇りや晴れた日の賑やかな風景を確認する事ができ、今にも雨が降り出しそうな時には空の色が変わり、雲の色もグレーや黒々としたものになることを確認できます。そしてどこからか雨の匂いが漂ってくることで雨が降り出すぞと予知する事ができるでしょう。その後雨が降る環境になるとさっきまで見られた生き物たちが、一斉に姿を消しどこへか隠れてしまい見る事ができなくなります。曇りや晴れの日と雨が降り出した時の違いに子供達が気づく事ができれば、「あれ?どこに行ったの?」「不思議だな?」などと思考が生まれます。すると子供達は不思議な会話をします。「かくれんぼしてるのかもね」「雨の神様がつれていっちゃったのかも」「お母さんのとこに帰っちゃったよ」「おうちに帰ったんじゃない?それとも公民館に避難しちゃった?」「太陽さんが怠けてるから注意しに行ったんだよきっと」など我が子が発した言葉だけでも十分に楽しめます。話が脱線しますが、子供の発した言葉を私が自由にブログに書けるのはノートに記しているからです。月毎やジャンルごとに分けると読み返すと大変面白いものができます。太陽が怠けているという発想は思いもよらないもので、その後に空に向かって「昼寝してないで働いてぇ〜(大声で叫ぶ)そうしないと月さんと入れ替わりになっちゃうぞ」という続きがあります。そんな面白い場面に遭遇するのも雨の日の楽しさかもしれません。
③ 雨上がりの散歩
雨上がりは水溜り大好きな子供達にとっては宝の山。その宝の山に入ってみすみす何もしないなどということは親の顔色を窺う子供以外は、即水たまりへ直行し最初は恐る恐る入る子もいれば、最初から両足でジャンブし水の飛び散りを本当に楽しんでいる子など子供の数通りの遊び方があります。遊び方も違えば感じ方も違う、そして思考や発言さえも違うことに気付かされます。あまりにも水溜まり遊びを続ける子供に帰ろうと促すと、「この水たまりは明日には無くなっちゃうでしょ。今しか一緒に遊べないんだよ」と言われ「確かに・・・」そして水たまりと一緒に遊ぶという考え方も母の考えが固定観念だらけだったことにハッとさせられました。そして絵本の力や子供達がそこで得たものをしっかりと取り入れている柔軟性に気付かされたこともありました。雨上がりに幼稚園にお迎えに行くと、お預かりの子供たちがレインブーツを履いて園庭のここかしこにできている水たまりを梯子遊びをしているのです。後で分かったことですが園の読み聞かせで宇宙や宇宙飛行士の絵本を読んでもらった子供たちだったようで「あっちの大きな宇宙に行こうよ」「でも僕は小さな宇宙に行きたいから」と水溜まりを宇宙に見立てて会話をしていたのです。また先生との会話も素敵である子が水溜まりに映るものが場所によって違うことに気づき、「Mせんせい、みて。こことあそこの水溜り、違うものがうつっているよ」というと全部の水たまりに何が映っているのか見てきてごらんと促し、確認した子供達がやいのやいのと報告し始めると、「こんなに違うものが写っていたの?まるで万華鏡の中にいるみたいだわ」と子供達のキラキラする目の輝きを万華鏡の世界と表現された洗礼された表現に心震えたのを今でも覚えています。子供の喜びを自分のものにする大人でありたい、親でありたいと実感できるような遊びができるのも雨上がりの魅力です。
梅雨の晴れ間の水たまり散策も実行してもらいたいと思います。
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