提案『子供の秘密基地作り』

みなさんは子供の頃秘密基地で楽しんだ経験はありますか?  秘密基地で時間を過ごした経験のある方はそのワクワク感が忘れられないと思いますが、実はその秘密基地で時間を過ごすということは子供の発達に重要な役割があるのです。今回は秘密基地が子供の成長とどの様に関わっているのかを考えてみようと思います。


子供の成長がぐんと大人寄りになるのは9歳前後といわれています。その直前に出現するのが自立心と子供だけの世界を存分に味わいたい感情や現実と距離を置き自分自身を見つめる時間です。その時間を得るために必要なのが秘密基地ということになります。

よって子供の発達時に出現するものは国も民族も時代の変化を受けても脈々と続くものであり、秘密基地での遊びは国や地域、民族をもこえた伝承遊びなのです。しかし時代や生活スタイルの変化で秘密基地を作る場所もなければ、一緒に遊んでその発達を楽しむ子供同士の繋がりも大変希薄になっています。子供が自力で秘密基地でその発達を促すということは難しいので親が関わらなければこの発達を促すことは難しいのです。

一昔前は父親というものは外で働き母が家を守り、子供は自由に遊ぶという良き時代でしたが、我が父は本当に子煩悩で多忙な仕事にも拘らずいろいろな経験をさせてくれました。その経験の中に秘密基地もあり海辺の岩や砂浜で、木の上で、古タイヤを並べて、古い雨戸をどこからか貰ってきてと秘密基地作りを存分にさせてくれました。今思えば父も沖縄戦時下できなかった子供らしい遊びを子供たちに体験させつつ見守りながら追体験していたのかも知れません。父に与えてもらった経験は我が子供達にも機会を与えようと努めてきましたが、私の子育て時代でもそう簡単にできることではありませんでした。よってなるべく緑のある場所へ旅行しツリーハウスがある場所や木登りができる場所、秘密基地作りの子供向けワークショップに参加させました。やはり自然が乏しく子供達が自由に何かができる場所を見つけることが難しい時代には親が意識して働きかけをしないと難しいのです。

一方家の中の一角やベランダを活用してミニ秘密基地作りをするなどで家で手軽にできることもさせていました。段ボールだと子供も簡単に扱えて工作の延長線上で一から作る楽しさがあり創造したものを自分たちの力で形にする力は表現する喜びや達成感を味わうことができます。。簡単に買い与えるテントタイプの秘密基地にするのか、作る楽しみを取るのかはご家庭次第ですが子供の発達を受け入れてその波にしっかりと乗るということはすべきことだと考えます。以下は秘密基地遊びのメリットを記して参ります。



1、自立心を促す

子供は親から自立し生きていかねばならないという時期が遅かれ早かれやってきます。自分の力でやるんだという小さな自立の芽は1歳のお誕生前から出現します。しかし本当の意味で自分の力だけで何かをしたいという自立がやってくるのは小学2〜4年生になってからですが、既に幼稚園の年中長児の親の保育や保護を受けている時期からも自立に向けての片鱗が見え始めます。

幼稚園児の秘密基地ごっこは何かを作り出すというよりも園庭の片隅で気ご心の知れた友達同士で遊ぶことやいつも遊んでいる場所の滑り台や遊具を秘密基地に見立てて大人を介在しない遊びを主張して行ったりします。

一方本格的な自立を育てる小学生は自分たちの考えや発想を形にするという溢れ出る好奇心を止められないというようなイキイキとした輝きを発しながら、親や大人を必要としない自分たちだけの居場所を秘密りに作り上げる喜びに邁進していきます。この時には明らかに大人には「来ないで、入らないで、見ないで。ここは僕たちだけの場所だから。」などという発言をします。私がこっそり覗いた時には烈火の如く怒り出された経験がありますが「これが秘密基地発進の自立なのね」と喜んだ経験があります。皆さんにもこの自立を見てほしい実感してほしいと思います。



2、想像力と創造力に磨きをかける

子供が秘密基地を作るというのは綿密な計画の上に成り立つことは少なく、みんなで意見を出し合って「あーだこうだ」と作り上げていくものです。自分の想像したことを形にし失敗したら何度も修正し作り直したり、新たなものを生み出すための発想やひらめきのもと創造性に磨きをかけることができます。

秘密基地の醍醐味は完成形がないということに尽きます。自分で、自分たちで、友達と共に考え作り出すことでいろいろな発見が生まれます。そのアイディアの中から今必要なものだと思われるものをピックアップして協力し作り、そして友達同士遊びまた新たな発想で行動することを繰り返します。実はこの様な行動は小学校受験で行動観察として行われますが、昔は子供同士で自然と実行されていたものなのです。試験を受けるためにこの様な学びをしなければならない時代は大変口惜しい状況と言わざる得ません。しかし見方を変えると子供の普遍的発達を見極めるということが重視されているから行われると言っても過言ではないのです。それほど重要なものなのです。



3、実行力が育つ

子供自身がイメージしたものを形にするために頭を使い、自分でどうするかを決めて、実際に手指や全身で事を成し遂げるために実行し、その出来具合で創意工夫をし新たな発見や失敗から学び直しをする。すると自ずと実行力がつくようになり生きる力がつくのです。子供達に獲得してほしいことは、この秘密基地作りが楽しいから、好きだから、これをやり続けられるんだと実感することです。根本にこれらの思いがあれば必ず満足いくものになり良き思い出になるはずです。



4、自然体験の原点に至る

秘密基地はできれば屋外で行う方が望ましいといえます。日の光を浴びて、木陰の心地よさを感じ、風を受けて、木々の揺れる音や木漏れ日を感じて、季節ごとの空の変化を目にし、水辺の音や動物昆虫の鳴き声を耳にしと非日常を味わい冒険や探検心に火をつけて大いに満足いく遊びにしてほしいと考えます。子供の頃にこの様な自然体験的秘密基地で遊んだ記憶は何ものにも代え難い良質な体験です。目を閉じればその情景が蘇るという経験を私たち親が意識をして与えなければ、簡単に手中に入るものではないと認識して経験をさせるべきなのです。

我が子供たちに「どんな原風景が目に浮かぶ?」と質問を投げかけたことがありますが、「何があったっけな?」と言いながら次々と思い出が蘇るようで話に花が咲きました。皆さんにも私子育てを頑張ったんだと振り返る喜びを味わってもらいたいものです。



5、現実から離れた自分を顧みる場所の必要性

発達心理学上子供とって重要なことは、子供自身が主体となり自らが求める環境を自分自身の意思で選択し築き上げ、自分自身が描いた憧れを抱いて楽しむことです。ですから親や大人の管理下の中でこのような原動力を獲得することには限界があります。子供が何を望んでいるのかをしっかりと話を聞くことや観察し、その子供の思いに近づける環境を与えることをしておけば子供に指示を出さずとも子供自身が自分の力で歩き出してくれます。

3、4歳は想像した夢の世界や非現実的な空想の中でいることがまだまだ多いものですが一人の時間を楽しむ様子も見られます。5、6歳になり現実と自分の経験を擦り合わせながら思考することができるようになり多くの経験が必要になる時期です。そして9歳以降が現実と社会的推測を反映して物事を判断する発達を迎えます。その大人に向けての一歩を踏み出す前にそれぞれの年齢で発達を十分なものにし、さぁ大人の世界へ入るぞという9歳直前に自分自身を顧みる時間と大人が介在しない空間の秘密基地を与え、大人への階段を登っていってほしいと考えます。

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