提案『花を生ける薦め』
子供達の成長を促す教育は色々なものがありますが今回は『花育』について記事を進めていきます。花育とは花や植物に触れて優しさや美しいさを感じる気持ちを育むことです。花育とは花を育てたり、生けたりすることだけではなく、花に関する学び全てを含むので花が成長する過程や花が美しく咲いた瞬間だけではなく、命を全うして枯れた後までも学びとして私は捉えています。今回は花を生けることでどのような育みが生まれるのかを記してまいります。
来週2025年6月23日(月)の子育てサジェスチョン提案記事は実際に『花を生ける初級編』を予定しております。そちらもお読みください。
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① 優しい気持ちの育み
私は男の子や力強い女の子にこそ花を生けることを行うべきだと考えています。その理由として活発で力の強い子供はやはりものの扱いも力強いものになる傾向が見受けられます。力任せに扱うと花は傷んでしまいます。だから優しく適度な脱力で花に触れることを身につけることで慎重にそして丁寧に優しい気持ちも育ちます。花は大変儚い命でその命を全うしようとするからこそ小さきもの弱いものへの計らいができるようになるのです。
② 季節感を味わう余裕が生まれる
我が家では行事育と共に必ずセットで取組んだのが花育です。お正月には松竹と南天、節分には柊、3月には桃の花、4月には桜、5月には菖蒲、6月には紫陽花、7月には竹、8月紫陽花や向日葵、9月はススキ、10月にはコスモスやダリア、11月には菊、12月はポインセチアやシクラメンなど行事に合わせて花を飾り季節感を味わうようにすると良いでしょう。日常の生活の中で行事を楽しみ鼻に触れることは心に余裕が生まれます。無くても困らない、されど有ると心に余裕が生まれる素敵なことなのです。
③ 豊かな感性を育む
豊かな感性を育むには原体験が必要不可欠です。例えば暑い夏にかき氷を頬張った経験を持てばかき氷が夏のものだと体験を通して実感します。我が家では夏の北海道でひまわりを植えて作った迷路を楽しむことでひまわりは夏に咲くものだと3歳になりたての頃に覚えてしまいました。また冬の雪を破って芽を出す蕗の薹で冬から春の息吹を感じ取ったようです。子供達の感じる心に働きかければ豊かに育つのです。
原体験が強烈に印象付けることは子供あちの心に深く刻みつけられますが、そのような経験が難しい場合には花を生けることを繰り返すことで育むことができます。桜やたんぽぽ、チューリップ、パンジー手にすれば春だと感じ、梅雨に入り紫陽花が咲き始めると梅雨の鬱陶しさも紫陽花の色鮮やかさで晴れ、花の少ない夏に朝顔やひまわりを育て生けると夏が来たと感じ、秋にはりんどうや彼岸花で秋の物悲しさや感傷といった感情を育て、冬は花を通して季節の厳しさを感じる心を育みます。つまり花を生け毎日水の取り替えや茎の切り戻しをすれば自然と感じる心が育っていき、子供達の心も癒されるものです。
④ 観察力と思考力が育つ
花や植物に触れることは人工物ではないので柔らかさや一つとして同じでない形を見ることが観察力を育む機会を生み出します。小さな蕾が徐々に花弁を開いていく様子は生命を感じる観察眼が育ち、花の色が燻んでしなだれていく様子で枯れてゆく命の終わりを感じることを目の当たりにし、その変化を刻々と観察することもできます。そのような変化に気付くことができるにはやはり生の花を実際に手に取り触れる機会無くしては育たないものです。我が子は花がだんだんと力無く命を終えようとした時に花の切り戻しを頻繁にしたり、切り戻し用の水を冷たいものにしてみたり、濡れた新聞紙にぐるぐる巻きにしたり、時には火で茎を炙ることも行いました。生き返らせるための努力を繰り返す実験は子供の思考力や調べ学習にも良い影響を与えます。
このような経験をさせているとやがては命の儚さを感じるわけですが、それと同時に花や葉の作りが種類によって違うことや植物の構造にも関心を持ち始めます。実際に手にしてみると薔薇の花からは薔薇の香りが、桜の葉からは桜の香りが、花や葉の大きさや柔らかさ硬さ、つるつるざらざらを手で感じ、トライコーム(毛茸と呼ばれる葉の表面の細かい産毛)産毛を発見することもあります。実際に手に取ってみないとわからないことが多くあるのです。
⑤ 色彩感覚が際立つ
人工物は同じ色を出すことができますが、自然界に存在する花には同じ種類であっても同じ株から育っても同じ色は一つとしてありません。人工物のアーティフィシャルフラワーでさえもこの自然的な色や形に近づけようと人口では出せない色合いに挑戦し企業努力をしています。
自然が持つ色の豊富さを目で認知する機会が増えれば増えるほど色に対する感覚が研ぎ澄まされていきます。色彩感覚が研ぎ澄まされると単なる赤い薔薇という括りから赤にも色々な垢があることや一つの花びらにもグラデーションがあることにも気付くことができます。色の種類という点では有彩色と無彩色、暖色と寒色と中間色、純色、清色、濁色、色のトーンによって多くの色があります。これらを感覚で身につけていくことができるのも花に触れるからではないでしょうか。また花を生けることで色の組み合わせや色と形をどう組み合わせて生けるかを学べるのも花をいける醍醐味です。
⑥ 花生けは表現力と発想力を楽しむ
子供達には花を生ける前に一輪挿しを楽しんでもらいます。そこで花の世話を覚えてもらうことをした後に、数輪花瓶に行けてもらい生花やオアシスを使用したフラワーアレンジに移行していきます。花に色々な種類があるように生ける子供達にも個性があり大胆に大暴れしながら花生けを楽しむ子供いれば、緻密に計算し生ける子、生け方に戸惑いを隠せない子とさまざまです。生ける知識が無くても先ずは好きなようにスタートを切らせ、その生けた花を表現作品として記録に残しておくことをお勧めします。
また扱う花材は色形は勿論ですが多くの種類を扱わせるとさまざまな表現ができるので、私は敢えて見たことの無い花や扱いにくそうな花を購入して子供達の想像力や発想力に働きかけるようなものを選んで意識し取り組ませました。プロの人から見るとありえないようなスタイルになるでしょうが、子供の視点の面白さや発想力の豊かさは大人が考えている以上に度肝を抜くものも出来上がっていました。このような経験を積んでくると表現する楽しさを子供自身が実感しやる気が出てくるので花を生けることも楽しんでほしいと思います。
⑦ 生活に華やかさと潤いを
花を生けることは日常生活を豊かにしてくれ流ことは間違いありません。例えば洗面台に子供が生けた小さな一輪の花を見るたびに心がほっとしますし、トイレに花があるだけで綺麗に使用しようという気持ちも生まれます。玄関にあれば出掛ける時にやさしい気持ちで外出し道端の花に視線を送るなど気づきが難しい場所に目を向け新たな発見ができすでしょう。食卓テーブルに花を生けておけば食事に華やかさを添えてくれます。花を生けているだけで生活に潤いが生まれるのはいうまでもありません。生活になくてもいいもの、だけどあると心が豊かに潤いを与えてくれるのが花の力であり植物の力だと思います。
⑧ 親子で共感力を発動
子供に取り組みをさせる時子供のやる気スイッチを入れるにはいくつかの方法がありますが、その中でも親が子供の行動に対して共感してあげることは大きな励ましにもなると同時に、親子で心震わせて共鳴するこれまたとない瞬間でもあります。「素敵だね、愛らしい、色彩感覚いいね、豪快すぎて感動しちゃう、こんな発想ママにはできないよ、こんな花も世界にはあるんだね驚き・・・」など色々な言葉が親子感で飛び交う瞬間です。感じ方も考え方も違うからこその発見を親子で共有してみてはいかがでしょうか。
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