提案『音読の薦め』
思い起こせば私が小学生の頃から我が子そして現在に至るまで小学校での音読宿題が課せられている実情は変わらないようです。小学生に話をよく聞いてみると音読の宿題が好きという子もいれば、嫌いなんだという子もいます。このような話を耳にしますと音読が宿題という強制学習になっているのだろうと推測ができます。しかし音読は楽しいもので家庭の中に幼児期から確りと入り込んでいることが重要だと考えます。そして音読のスタートが早かった場合と遅かった場合とでは読解や思考力の違いにもなってくることが明らかです。
読み聞かせの意識がだいぶ変わりご家庭で絵本の読み聞かせをなさっておられますが、実は子供自身が音読をしている場合にはさまざまな相乗効果が得られています。音読が早ければ早いほど良い結果がついてくるので今回は音読の効果について話を進めます。
生後間もなく始める絵本の読み聞かせは早ければ早いほどその効果は乳児期に既に現れ始めます。我が子の場合は生後3ヶ月で捲るページを目で追うようになり、ひらがなを覚えるのも絵本の読み進めが進めば進むほど勢い付き1歳半ではひらがなを、2歳ではカタカナと1年生の漢字を読むほどになっていました。ひらがなを読めるようになると0歳児向けの絵本を大きな声で音読する取り組みを開始しました。読み聞かせとは違う形の音読を子供が行うことで言葉や本の内容を理解することができるようになります。今でも楽しそうにぬいぐるみを両脇に従えて音読ならぬ読み聞かせをぬいぐるみにしていたことが思い出されます。では早速その効果について考えてみましょう。
1、音で言葉を捉え体現する
0〜1歳児の絵本を見たらわかるように擬音語が比較的多くそして繰り返されていることが分かります。本能的に音を言葉獲得の基本としているのです。よって音を楽しく捉える絵本をたくさん与えることからスタートし、親の読み聞かせる擬音を耳にし真似させることから音読をスタートさせてみましょう。
私は1歳半から2歳にかけては言葉が明瞭化しおしゃべりも増えてくる頃なので、楽しく音を捉えることができる内容の作品や言葉遊び、そして童謡を与えることを心掛けていました。例えば北原白秋の五十音『あめんぼ赤いなアイウエオ うきもに小エビも泳いでる・・・』、早口言葉の『かえる ぴょこぴょこ みぴょこぴょこ・・・』、童謡やわらべ歌など発語していて楽しくなるような作品を与え親も楽しむことが大切だと実感しています。子供だけにさせるのではなく親が先導して音を言葉で捉える楽しさを乳児期に味わうことができれば、音読の土台作りは半分成功したものとして捉えても良いでしょう。
2、脳に良質な刺激を与える
音読に限らず脳に刺激を与えることは私が子育て中に最も重視し取組んでいたことです。では音読がなぜ脳に刺激を与えるのかを少しご説明しましょう。
音読は文字を目で先に追いかけ、少し遅れて見た言葉を声にします。そして発生した自分の声を耳から取り入れ聞くことで字面を音に変換します。多少の誤差はありますがほぼ同時にいくつもの複雑なことを実践しているのです。またその複数の行動の後に絵を見たりページを捲ったりということも付加することから脳には良質な刺激が与えられ、前頭前野の発達に深く関わりを持ってきます。毎日音読することで繰り返されるこの脳への刺激が脳を育てることになっていることが明らかになっているので、小学生からではなく幼児期から確りと行えば脳を育てる重要な時期にマッチングしている取り組みであることは間違いありません。
3、言葉を心と体に刻んでいく
文字を声にすることで自分自身の知っている言葉とそうではない言葉が明確になります。すると知らない言葉を知ろうとするようになり言葉一つ一つに注視するようになります。音読はただ言葉を声に出して読んで終わりではなく、言葉の持つ意味そして表現の仕方、文章から得た知識などを自然と心に刻み、獲得した言葉を行動で表現し体現することが増えます。作品を読んで理解して終わるのが音読ではなく、知り得た言葉や知識を生活の中に落とし込んで確りと心と体に刻み込んでいく魅力もあるのです。
4、文章を読むコツを獲得する
文字や文章を正しく読むことは勿論のこと文の流れや切れ目に注意し読むことができるようになり、音読をすればするほど文の構造や内容の展開を理解することになりその文章に慣れ読み進めることができるようになります。最初は辿々しく読んでいるでしょうが繰り返し読むことでスムーズに読むことができるようになり自信に繋がります。
初見では読み違えたり文章の区切りや切れ目がわからない場合は、親が音読した音情報を耳から捉えさせて真似させることも必要になります。また早口言葉のように言い回しやスピードを楽しむものは緩急のメリハリを状況に応じて付けさせて指導することも大切です。
5、読解力がつく
音読は黙読とは異なり1文字1文字を音として捉え読むため先ず言葉の意味を理解しやすく読み飛ばしが少なく確りと理解することに繋がります。そして文構成がインプットされ知り得た知識が増えることにより思考力も働くようになりますが、作品の中の特徴的な言い回しや日常生活にない文学的表現を模倣して言葉を自分自身のものにする楽しみを味わうのもまた楽しくなり、その力は別の作品のかなに見つけることができるようにもなります。音読を楽しそうに行い思わず一人笑いしている子供を発見したらそれはもう作品を読解している証です。
また読解力に大敵なのが読み飛ばしです。実は早い段階で音読重視で絵本を読み慣れしていくと読み飛ばしは出てこなくなります。たとえ読み飛ばしをしていても音読を繰り返すことで読み飛ばしも軽減されます。
6、聞く力、話す力、表現する力がつく
音読は思いの他聞く力、話す力、表現する力と密接に繋がっています。自分自身が音読をする子供は読み聞かせを確りと聞くようになります。また語彙力や文構造も自然と身に付いてくるので話すことも上達し、音読を次のステージに押し上げる朗読を行うときには演技力のような表現力を持つようになります。
音読は先ず親が読む文章を真似っこすることから始めましょう。そして音読を始める年齢が早ければ早いほどさまざまな力がついてきます。
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