提案『手仕事の魅力2』
今回の手仕事の記事について親御さんは耳が痛い記事になるかもしれません。しかし子供が不器用になった背景には、親自身がさまざまな手の動きをマスターできていないことが大きな要因であると言われています。前回の記事『手仕事の魅力1』(2024年1月8日)にも記した通り手先を鍛えるためのコツを押さえた上で手が唯一持つインプットとアウトプットを強化することがさまざまな感覚統合を促し脳発達も可能にするのです。今回は日本の子供達が不器用になった背景を探り、どのようにすべきかをアナウンスしていきます。
1、親が手本となり手仕事を見せる
ブログ記事を書く場合私は自分自身の子供時代を思い起こすようにしていますが、私の時代でも父親には今の子供は不器用だと言われたものでした。ある日母に自動鉛筆削りを強請ったことがあります。すると母は剣もほろろに却下し、父はどこからかナイフを持ち出して器用に鉛筆を削って見せたのでした。あまりにも美しく鉛筆を削ったのを見て自動鉛筆削りよりもそのナイフによる手仕事にはまっていました。今でも生徒さん用に使用し短くなった鉛筆をカッターナイフで削り鉛筆ホルダーに差し込んで使用するものの活かし方を楽しんでいます。昔取った杵柄は今も健在で幼い頃の経験は思い出と共に息づいていることを実感しています。
私自身も父の世代のような器用さはありませんが、それでも大人の行動を見よう見真似で雑巾の洗いや絞り、障子のはたきの掛け方、障子や襖のさんの掃除の仕方、仏壇の供物の捧げ方や下げ方、漆食器の洗い方や片付け方、ゴマの剃り方など見て学んできました。が時代が変わり畳や障子、襖がなくはたきに取って代わる道具の普及で昔の道具が使われなくもなり、ゴマも擦られているものを購入したりと環境も変化し、お子さんをお持ちの母様方はそのような手仕事を教える機会も失いました。またそのような環境を設定しても曖昧で子供達にどのように教えるべきかが明瞭でないとお話ししています。昔の道具の使用法が不要であると言われればそれまでですが、掃除の段取りとしては高い場所から低い場所へと掃除することは変わりません。よって時代や道具が変わっても変わらない手仕事を見極め、子供に受け継がせるべきものとして獲得できるように実践してほしいと考えます。具体的内容については次回2024年1月22日(月)提案『手仕事の魅力3』にて記します。そちらを参考にしてください。
2、手仕事で得られる美徳と品格
私が子育てで最も重視していたのは手仕事をいくつかに分類しバランスよく獲得させ生活を丁寧に送るようにすること、また自らの心の保ち方や品を持ち豊かに生活し、そしてそれが回り回って人のためになるように育てることでした。そして手仕事は思いの外、子供自身に落ち着きと丁寧さと着実に物事を成し遂げようとする思考力を育むことができたのです。日本の伝統的職人技を有している人々に視線を向けると、凛とした厳しさの中にも品格というものが備わっていることに気づきます。また日々の暮らしを丁寧に生きている人の生活の中には美的様式が見えてきます。想像以上に日本の手仕事は子供達の成長にも必ず有意義な方法であることは間違いありません。
例えば自分自身の身支度を自分の手を動かして行えるようにし、それが美しさや衛生をを保つち身綺麗につながるようにすること、またお手伝いを通して人のために働くことを学び、やがて社会人として家庭人として親としてその手仕事を将来活かすことができるでしょう。最後にこれら多くの手仕事で自分自身の心を鎮めたり、無心になる手段として活用できるようになることは、少々自分自身の心が乱れたり疲れてしまった時に手を動かして気持ちをフラットに持ち直すことが可能になります。
3、お手伝いをさせないのは宝物をみすみす逃している
幼稚園生や小学生をお持ちのご家庭に聞きとり調査をしましたが、殆どのご家庭では子供達に決まったお手伝いをさせていません。これは教育に熱心になるあまり塾や習い事優先でお手伝いをさせるという考え方が親側になくなってしまったからでしょう。しかしこのお手伝いにこそ子供の脳発達や感覚統合を図り、物事を段取りよく効果的に取りを行う能力を磨くことになり、さらにワーキングメモリーを強化することにも繋がります。本当の賢さを身につけさせたいのであればどんな高級な教材を与えるよりも手仕事が刺激的で魅力あふれるものなのです。
例えば歩き出す1歳以降になるとおむつ替え時におむつを自分自身で取りに行かせ、変えたおむつをゴミ箱に捨てさせたり、食べた器をキッチンまで持って行かせる、テーブルを拭くなどの簡単なお手伝いを開始する事をお薦めします。また2歳になったら自分自身の身支度を開始させ、1歳の頃よりもさらに踏み込んだお手伝いをさせるようにします。そして年齢とともにお手伝いの幅を広げる事を行なっていきますが、3歳以降のお手伝いについては家庭の中のエリアごとに分けてさせる必要があります。考える力の必要性があるためこの内容については、次回の2024年1月22日(月)の提案『手仕事の魅力3』を読んでいただければと思います。
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