提案『植物を知る 野菜編』

世界で一番多く生産されているやさいとは何か想像してみてください。国によってその一番の野菜を頭に浮かべる場合に違いは出てくるでしょう。日本ではなんと大根だそうで、アメリカではジャガイモ、フランスもジャガイモ、イタリアはトマトかな?と思いきやなんと小麦だそうですがイタリアは多くの野菜を作付けし日本人の何倍もの野菜摂取をしている国でもあります。珍しいと思われる野菜もイタリアは豊富でみているだけでも大変興味深いものがあります。また隣国の韓国の野菜消費量も日本を上回っているので興味深くついついナムルを作りがちになります。お国事情がわかると食文化も見えてきて旅行する場合にも楽しさを付け加えることにもなります。また絵画の中に描かれている野菜もその時代の食文化に通ずるので楽しんでほしいと考えます。



①  野菜を手にする経験を増やす

果物とは違い野菜を子供達が認知するには、その青臭さや苦味などがハードルとなり野菜の生食は難しいと言えます。食する時には姿を変え野菜と認知する事が難しく、料理の仕方によっては好き嫌いが出やすいのが野菜です。よってなるべく生のままでの野菜に触れる経験をさせ、その野菜が何かを五感で感じ取ることを促しましょう。野菜に直に触れることで触り心地や重さ、大きさ、香りなど野菜から読み取る事ができる情報は大切にした方が良いと考えます。例えば、キャベツとレタスの違いをカードや絵本で判断する事が子供達にとっては難しいのですが、実際に何度もその二つを手に取らせて教えていれば、その違いが感覚的に捉えやすくなります。またニラと小ネギの違いも同様に紙面では分からず実際に手にして判断できるようになります。幼い頃から類似しているものの精査をする経験は、些細な違いに気付くことに磨きをかけることになります。是非ともこの感覚を味わって精査できる能力を身につけましょう。そして野菜を味わう経験をもし野菜好きにすべきだと考えます。




②  野菜の名前を覚える

先述した通り野菜に触れる経験は野菜の名前を覚えるきっかけになり、その経験から代表的な野菜の名前を覚えていく子供が比較的多いように感じています。触れる経験がなければ食する経験もないものです。私自身も好き嫌いの少ない父でしたが、茄子がどうしても食べられないということで幼い頃から茄子が食卓に上がることは大変少なく、私自身も食わず嫌いになってしまいました。そうすると親は他の野菜は食べるから茄子くらい食べなくてもいいだろうと考えていたようです。しかし結婚してみると主人は無類の茄子好きで料理せざる得ませんでした。ですから親の好き嫌いは子供の好き嫌いにも通じますし、子供自身がその野菜を実際に手に取ることもなくなることになります。これまでに幾度か記してきましたが、子供の好き嫌いは物事を受け入れる許容に影響してしまうので、なるべく嫌いなものは少ない方が良いと考えています。つまり野菜嫌いにすることは思考の嫌いも増やしてしまうことになります。そして野菜を食さないということは健康面にも影響するだけではなく、子供の発達にも関係してくることなのでできるだけ野菜に触れる経験をさせて、1つでも多くの野菜名を言えるように覚えさせましょう。教室ではトマト・キャベツ・胡瓜・大根・ピーマン・南瓜・人参などを手始めに最低限覚える名前を冊子にまとめています。




③  日本の伝統野菜を知る

スーパーや直売所での野菜コーナーを見ると珍しい野菜がたくさん並ぶようになりました。見たことのない野菜の前には農家さんが食べ方を記したポップが立てかけられているのを読むのも楽しみの一つですが、何より日本の伝統野菜をしっかりと見つめ直して味わう経験をしてほしいと考えます。また縦に細長い日本ではその土地土地で育つ野菜も異なり、時のものを食すというのも体を整える基本の考え方になります。

日本の春は苦味のある野菜を、夏は水分を多く含むもの、そして秋は食物繊維の多いものを、冬は体を温める根菜を多く取ることが昔からの日本の菜食ですからその時期に会う日本の伝統野菜を多く取ることを念頭に入れて、実季節とともに生活の中に取り入れて学ぶことをお勧めします。




④  珍しい野菜を知る

日本でも日々従来ある野菜の掛け合わせで新しい野菜が生まれています。ブロッコリーとケールを掛け合わせたアレッタ、スティックセニョール、カリフラワーとブロッコリーの掛け合わせのロマネスコ、日本南瓜と外国品種を掛け合わせた生で食べられるサラダ南瓜のコリンキーなど日本初の珍しい野菜の登場もさることながら、世界各国にに伝わる独特な野菜も流通するようになっています。

これまでに見たこともない野菜をを手にしたり食することにより新しい刺激を得る事ができます。その刺激が脳を育てることにも繋がるため是非とも珍しさを知る経験を増やしてほしいと考えます。




⑤  野菜に育てさせる

野菜を育てる経験は私たち大人が考えている以上に様々な刺激に満ち溢れ、思考する機会にも恵まれます。子供自身が起こした行動の動機付けでいろいろな事が見え始め得てくるのです。例えば植物の成長を知るだけでなく育てる責任や喜びを味わう事ができます。また土の間食や香りや虫や鳥の存在に気付くことや植物を通して自然の成り立ちが分かり始めます。太陽の光や影、風向き、季節の移り変わり、天候など多くの自然事象を考えるきっかけ作りになります。また実際に農業に関する知識を得ることにも繋がり、相性の良い植物同士を植えて病気や害虫を防いだり、成長を促進するなどの共生植物のことについても学ぶ事ができ視野を広げ経験値を上げるこ事ができます。

私が子供に育てさせて良かったと思うことの最大の収穫は、好き嫌いがなくなったことです。自分自身で育てた野菜は成長するのを見ているため食する楽しみも育ち、どのように調理するのかも調べ味わい生産から消費を堪能する事ができました。




⑥  野菜の色・形・大きさを実感する

日本国内に登録されているトマトの品種は300種類あると言います。同じ野菜でも色や形大きさが異なります。色一つとっても赤・黄色・緑・桃色・褐色とかなり豊富です。そして大きさも小さいものもあれば大きいものもあり見ているだけで楽しくなります。この色・形・大きさ・重さ・長さをじっくり見たり触れたり感じたりすることは集中力も注意力も必要になります。このじっくりとした行動で実感することにより育つ能力もあるのです。

更にここで子供達に理解してほしいことは、トマトと一括りにして全く同じものはないからこそ感謝をしていただくという食育に繋げてほしいものです。そしてその考え方はこの地球の上に存在するものの多くに共通することであり、自分自身もその中の歯車の中にいて自らも尊ぶ大切にするという精神性に結びつけてほしいとも考えます。金子みすずや相田みつをの言葉にあるように『みんな違ってみんないい』この言葉を噛み締めるきっかけにすると良いでしょう。




⑦  成長過程や 縦横の断面図を実際に切り理解する

野菜を育てていると自ずとその成長過程を理解できるようになります。その上で収穫した後に縦横斜めなど実際に切り断面を知ることを行いましょう。一つのものを外側から見ているだけでは中身がどのようになっているのかはわかりません。よって多角的に捉える事ができるようにこの取り組みをしておく必要があります。

野菜断面である形や中身の模様、種の様子も確認するためには注意深く観察する必要があり、そのためには実際に野菜に包丁を入れる経験をしなければ、学習に結びつくことはできません。よってご家庭の中にどのくらいこの経験をさせているかで子供の経験値も観察や思考力も育てたと言えます。この取り組みをする時には包丁の危険性や扱い方もしっかりと伝える事が必要になりますが、この取り組みを機会に料理作りを少しずつお手伝いするように方向性を定めていくようにしてほしいと考えます。

我が家では外食しサラダが出てくるとどのように切られたものなのかを断面から想像することを子供達が好んで話をしていました。経験値が増えれば増えるほど逆思考で物事を推測することもできるようになります。

また野菜の種・葉・茎・蔓・花などの特徴を押さえ学ぶことも増えます。中・高校生の生物の要素をこの取り組みで一気に知識を積み上げていく事ができます。このことについてはまた別の機会で話を進めたいと考えますが、実際の経験をさせるのは幼少期から小学校低学年で十分に育てることが要だと考えます。




⑧   野菜の知識をより深める

色々な視点で野菜について知ることを促すことも必要だと思います。例えば野菜のどこを食べているのかを理解するために調べ学習をしたり、野菜の旬と代表的な生産地を理解することも学習の土台になります。実際に代表的な生産地を知る手立てとしてスーパーで購入する野菜には生産地表記があるため、日々その表記を確認することで情報取集をすることになり関心も生まれてくるでしょう。また本屋図鑑を通して知識を習得していくことも必要だと考えます。幼い頃からの経験は実際に積む経験と書籍を通して学ぶことも重要ですが、まずは小さな子供ならば福音館書店の月刊絵本や『いきものづくし ものづくし』という作品を読んだり見たりすることをお勧めします。小学校の社会で生産地学習が始まる前に生活に密着していれば関心や興味を持って学習に入る事ができるでしょう。




 ⑨  絵画に見る野菜

冒頭でイタリアは野菜の生産や消費が多い国であることを記しましたが、絵画の世界でもそれを物語っていると感じる事ができる作品があります。それがイタリア出身の16世紀の画家アルチボルです。アルチンボルドは多くの作品で野菜のみならず果物や植物で個性的な作品を残していますが、感性の優れた作品としての位置付けも高く子供達には是非鑑賞してもらいたいと感じています。

またゴッホの初期の作品には当時のオランダの貧しい庶民の主食であるジャガイモを描いています。彼がキリスト教の普及に努めていた時代に見た貧しい庶民の生活と彼自身の代名詞になる色彩のコントラストは真逆の作品に驚かされたりもします。

最後に取り上げるのは印象派を代表する二人の画家。クロードモネは造園を行い家庭菜園をするのも趣味の一つで旬の野菜を使ったレシピが数多く残され、特に玉葱のファルシは有名です。

またルノワールは玉葱を美しい温かみのある色彩で描いています。愛らしいもの美しいものを描くことを好んでいたルノワールが玉ねぎを描いた作品は本当に珍しいものです。




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