スナップ『嬉し楽し美味し椎茸だぁ』
絵本を読んで育まれるものはたくさんあります。感情の育ちもあれば、好奇心や関心興味といった意欲に繋がる育ち、知識の獲得、実体験で五感を刺激し多くを得るなどご家庭の中での関わり方で子供達は大きな成長を遂げます。
今回は絵本をきっかけにきのこ狩り体験をしたいと願った生徒さんの思いを親御さんが汲み取り、ご家庭の中で椎茸を栽培し収穫した後、料理にする生産と消費をこなしている様子をご紹介いたします。
福音館書店の月刊絵本『アニカのキノコとり』は5歳になったアニカというスウェーデンの少女が両親と共にきのこ狩りに山へ出かけます。美味しいカンタレーラを探しますが見つかりません。しかしその森で出会ったキツネのおかげで・・・驚きのカンタレーラが。スウェーデンの美しい秋の情景が目に浮かぶ作品であり、作家自身の体験を元にして制作されたこの作品は、まさに幼少期の実体験を次の世代に素敵な形で引き継いだ絵本です。また今回の記事は絵本の持つ可能性を最大限に引き出したご家庭の温かさとその尊さを実感させていただき嬉しく思います。
さて生徒さんはこの絵本がきっかけで大好きなキノコ狩りがしたいとお話ししたそうですが、年齢的にまだ山でのキノコ狩りは難しいということで、お父様が椎茸栽培のキットを見つけご自宅での栽培に挑戦されました。
毎日菌床に霧吹きで水を掛けていると4日ほどで椎茸が生えてきたそうです。
すると毎日変化する椎茸の大きさや椎茸の数の増加といった明らかに目に見えることに気付き、やがてその気付きは別視点に目を向けることになりました。湿度を必要とするキノコ類は毎日の霧吹きでのお世話が欠かせませんが、霧吹きで水を吹き掛けた後はビニールを被せ、椎茸が呼吸できるほどの空気の通りを開けて軽く閉じると水滴が付きます。生徒さんが次に気付いたことはその水滴です。椎茸栽培ですから椎茸にだけ目を向けがちですが、その周りで起こっている変化に気付けるか否かが思考を広げるチャンスなのです。しっかりとその水滴の意味を通して自然科学に繋げるようなフォローをすることが重要です。気付いてもそのままで終わるのは大変勿体ないことで、親子でその理由を調べてみたりすることにより理科的種まきとなることでしょう。
次々に椎茸が出てくるのである程度大きくなれば菌床を傷つけないようにハサミで収穫をします。我が家でも椎茸栽培をした事がありますが「なぜ菌床を傷つけてはいけないの?」という疑問から手で引き抜かせてみた事があります。するとその抜いた周りからは椎茸が生えてこなり、菌床がダメになったことを理解したという経験があります。子供の本能からすると道具よりも手で引き抜きたくなるものですから、収穫が終わりに近づく頃に敢えてさせてみても新たな思考に繋がることで新たな体験と思考が生まれることでしょう。
椎茸の大きさの違いやかさの開き具合も異なり観察していると楽しくなります。5日ほどで収穫できたそうですが、収穫直前にどのように食べようかな?と考えることも様々な食べ方を想像したりすることで思考の選択肢を広げることもできます。
また実際に育てたものと買ってきたものでは違いもあるので、比較してその違いを見つける刺激を与えることもお勧めします。
生徒さんは味噌味と醤油味のチーズ焼きで美味しくいただいたそうです。キノコ好きのお子さんはあまりの美味しさに「美味しくてほっぺが落ちそう」と大満足されたそうですですから大いなる素敵な体験ができ、椎茸を食すたびにいろいろな思い出が走馬灯のように広がるかもしれません。お父様の小さい頃の思い出のように・・・
お母様は栽培や観察を通して観察する力を養い、椎茸の成長過程を知り食べ物に感謝する心が芽生えたと語っておられました。そしてまた次の野菜などの栽培にも挑戦したいと感想を述べられておられました。
これからもこの体験が起爆剤となり様々なことを通してお子さんたちの経験値を上げてくださることでしょう。
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