提案『時系列について No.1』

お受験スタイルの幼児教室ですと時系列を学習として捉えていることが多い単元ですが、当教室のようにベビー教室として新生児から縦方向で子供の成長や発達を見ていると、時系列とは単なる一方向からの学習ではなく、新生児の頃からスタートする子供の思考力を促すとても重要な学びに結びついていることを把握しています。

子供の成長を植物に置き換え考えてみましょう。植物は地上で大きく成長し花をつけ実をつけるまでには太くて長い根を地下に張り巡らせ地中から豊富な栄養を得て成長し続けるものです。また子供の成長も目に見える時系列の理解が地上だとすると、それを理解するまでには自分自身や他者の行動を通してその流れを理解したり、太陽や月などの自然現象を通して1日の流れを感じやがて時間軸を理解し始めるのが地下の成長です。そしてその両方を下支えしているのが親が子供へ働き掛ける愛情と良質な時系列を盛り込んだ語り掛けの行為なのです。

親のそのような行為が子供の発達にかなり重要であることは皆さん百も承知でしょうが、会話の中に時系列を意識し話す行為がどれほど子供達の時系列の獲得に影響を与えているか気付いている親御さんもいるでしょうが、実は時系列と単に片付けてはならない思考力が紐付けられていることに気付いている親御さんやそれが新生児から始められることに気づいていない方が圧倒的に多いのです。

というわけで今回は時系列とは何かという内容からスタートし、数回に分けて時系列が子供の成長とどのように関わりを持っているかを記事アップしてまいります。

1、時系列とは

先ず『時系列』という言葉を辞書で調べてみると『ある現象の時間的変化を連続的にまたは一定間隔をおいて不連続に観測して得られた値の系列』と記されています。少し難しい数学や物理学に近い説明ですがこの意味を子供達が学ぶ時系列に置き換えると、幼児が学ぶ時系列とは行為の順序性が中心になり、時間的な順序で『過去』→『現在』→『未来』の流れで時間軸を学び、その学びを土台に就学後は様々な形で学習する流れになります。が実はその時系列の学びの前に子供達は思考力という力を獲得できるか否かに立たされことを認知しなければなりません。その思考力獲得のためには親が子供にかける良質な時系列を意識させる言葉が必要不可欠なのです。私は子供にとっての真の時系列とは時間軸を意識した思考力を手に入れるか否かだと考えています。



2、子供の本能に沿った時系列とは

子供達が日常読む絵本に目を向けてみましょう。多くのストーリーは時系列の基本である『過去』→『現在』→『未来』という流れに沿って物語が展開されています。

多くの昔話に過去・現在・そして未来といった基本的流れを読み取ることができますが、その時間軸を反復させて子供達に物語の流れを理解させていくことは、知らず知らずのうちに思考の段取りを学ばせているのです。これは書き手が敢えて意識的に狙ってそう書いているのかといえばそう見えるかもしれませんが、実は子供の発達にはこの時間的順序が何よりも重要であることに先人が気付き、その時代時代の書き手や出版社側によって脈々と受け継がれてきたものからだと考えています。ではそれはどのように成立してきたかといえば、子供の反応に誠実に応えこの基本的スタイルに忠実に形式を変えなかったからでしょう。たとえそのスタイルを変えて出版したとしたならば子供の発達本能に則していないものは子供には受け入れられず廃れていたでしょう。別の見方をすれば子供の本能を書き手や出版側が学べばベストセラーになるとも言えるのではないでしょうか。

またこのような基本をおさえて絵本を多読してきた子供たちは小説や映画の世界で見受けられる突如現代から過去へ、過去から未来へとワープするような印象的で混乱を要する作品もストーリーを自分なりに整理しながら読み込める傾向があります。要するに基本に忠実に多くの数の絵本や本を読みこなした子供たちは発展系の作品や児童文学に移行しやすいといえます。




3、時系列を整理し文章と会話力を成立させる

幼児期の時系列学習が就学後には時計をイメージした時間計算などの算数や後々学ぶ数学や物理学につながる学習になりますが、幼児期の時系列学習のねらいとは日常会話の中で時間的順序に沿って話ができるようになることであり、その流れは子供達を理論的思考へと導き能力を高めていくことにあると考えています。つまり話の内容を自ら整理し分かりやすく組み立て会話を成立させたり、その力を使って明瞭な文章にまとめる文章力を身につけることが幼児期の時系列の学びだと考えています。ですから絵本を多読している子供の多くが論理的に物事を捉えて読解する力がつくのは当然至極のことでまた文章力が高いのは必然なのです。

たとえ時間軸がまだ未発達の2歳児でも絵本を多読している場合は会話の中に時間軸らしきものを必死に捕まえようと話している子供たちがいる一方で、誰がどこで何をどのようにしたなどの定型的文章を構築できない6、7歳も時折見かけますがこの差は明らかに幼児期からの時系列を意識してこなかった差が顕著に表れているのだと考えます。子供の読解力はある種この時系列を極めるように物語を多読し、経験の中から流れを整理しまとめる力が付いてくるとさらに一歩成長の扉を開けることができると考えます。




3、理論的思考を観察眼で磨く

時系列の学習は当教室では新生児の頃からお母様方に声掛けを実践をしてもらい、行為の移り変わりを新生児から実況中継的に伝えるお世話の実践をお願いしています。毎日の反復により母が実況中継をする内容が分かり出し、予測と結果導き出せるようになてきます。これが乳児期から行う理論的思考の始まりです。

そして生後半年頃から時系列を促すセンテンスである『先ず(最初)に』『次に』『そして』『最後に』『おしまい』などを使用して声掛けし、子供の目の前で親がある事を実行しその様子を見せながら観察眼を磨いてもらいます。この乳児期からの働きかけは子供の思考力にも良い影響を与え、熟視を行いながら観察眼を磨くため待つことや落ち着いた状況で物事へ取組めるようになると同時に、物事のコツを押さえることや理解力もバランスよく育てることができます。

例えば同じものを見ていても何も考えず感じることもなく見ているようで見ていない人もいれば、何かを考えながら感じながら自分なりの捉え方をする人とではあらゆる点に於いて大きな差が生じます。やはり後者になるためには幼い頃からの時系列を駆使した親の関わり方や感受性や思考力を促す言葉掛けが影響するのです。




4、月年齢と発達期に見合った時系列を実践

時系列の理解は年齢や子供の発達により理解できることとできないことが明らかです。0歳では親の声掛けによって時系列の土台となる聞き耳を育て、1歳では目の前に起こっていることを言葉にしてあげながら見ることや観察力に結びつけていきます。2歳では質問をしながら時系列で物事を相手に伝えることを練習する会話が必要になります。このように年齢にあった時系列の促しで子供の成長を導き出していくことになりますがこの話は次回とします。

次回の子育てサジェスチョンは『月年齢別の時系列について』話を進めます。



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