絵本『たなばたまつり』

これまで七夕に関する絵本は数知れず読んできましたが、講談社の季節と行事の読み聞かせ絵本シリーズのこの作品は、初めての七夕行事の捉え方ができた作品でした。

特定の人物に焦点を当てておらずいく人もの登場人物が七夕祭りを楽しみます。ある子供は字が書けないのでお姉ちゃんの顔を描き、その様子を受けてお姉ちゃんはその様子を微笑ましく思い弟の顔を描く。その他にも隣町からやってきた祖父と孫やケンカの強い小学生のお兄ちゃんは妹が書き終わるまでじっと待つ優しさ様子、トラック運転手のトラさん・・・と街の人々が次々に大人も子供も入り混じって七夕の願い事を記し飾りつけていきます。

この作品は街総出の楽しさが描かれています。子供達だけが幼稚園や保育園、学童で七夕飾りを作り短冊に願い事を記し他行事ではなく、時間に追われる現代や学習専攻でいつから日常の家庭生活の片隅にもおかれなくなった行事を大人も子供も楽しめるこの作品の素敵さが日常にあれば良いなと感じた作品です。親をはじめとする大人が七夕に何を望むのかを子供に見てもらうことも価値あることだと思うのです。

この作品の素敵な部分というのは願い事が七夕の夜に言の葉として昇華される様子です。近くの星に願いが届くものもあれば、遠くの星に届くもの、また何日も何年もかかるものとして旅をするものなど多くの人が願う願い事は、すぐ手を伸ばせば叶うものもあれば、時間がかかるもの、遠い将来の願い事もあれば叶うことのないこととして願う願い事もあるでしょう。千差万別の願い事があることをこの作品から想像することができます。また一人でいくつもの願いを記すこともできるでしょう。私ならまずは子の幸せを願い、家族の健康、両親に対する思いに生徒さんたちの成長、支援している子供達の順調な人生など立場が違えばいくつもの願いがあります。そんな願いがいくつあっても良いのではないか、そして街ごと素敵な願いを世代を問わず書き記すことができれば本当に素敵な思いを互いに共有することができるのではないだろうかと考えさせられる作品です。願いは無限であることを、その願いを互いに認め合える社会がある事を望みたいものです。

Baby教室シオ

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