偉人『アンドリュー・カーネギー 第3弾』

2024年最後の偉人は告知通りアメリカの鉄鋼王『アンドリュー・カーネギー第3弾』としてアンドリューが勤勉にそして慈善事業に身を投じる土台がどの様に形成されたのかを彼と両親との関係から推測するブログとして締めくくる。

スコットランド生まれのアンドリューは貧しさのあまり小学校しか出ていないが、子供の頃からかなり優秀でその賢さを持って学歴はないものの鉄鋼王としての地位と巨万の富を築いたともいえる。そんなアンドリューは常に両親思いで特に母親に対しての愛情はとても深かったとされている。それを示すエピソードがあり、母親が存命中は結婚をせず母親だけを大切にしていたことである。もし家庭を持った場合妻子を先ず優先にしないとならないと考えていたようで苦労を掛け通しの母親を優先し存命中は結婚をしなかったのだ。

もう一つ母親を愛していたということがわかるエピソードもいくつか残されている。ある時スコットランドに旅行した際借金苦で家に抵当権をつけられていた見ず知らずの老婆の借金を肩代わりし助けたという。その理由を問われた彼は「亡くなった母に似ていたんだ。」と語った。そして母を亡くしたことがあまりにもショックで母の名前を何年も口にすることができなかったという。イタリア息子のマンマに対する愛情顔負けであるが、息子が母をこんなにも思うのには理由がある。

母親マーガレットは貧しい生活の中でも子供達には不自由な思いをさせたくないと内職に励んだ。そして常に子供達の服装には気を配り、人から貧しい家の子供として後ろ指を刺されないよう身につけるシャツの襟は真っ白な状態にして清潔さを常に保っていたという。この話を読んだ時にふと大俳優の草刈正雄氏の実母の話を思い出した。草刈正雄氏は駐日米軍の父を持ち母は日本人であるが、父親は生まれる前にアメリカに帰還し彼は母親の手一つ日本で育てられた。敗戦後の日本には彼のような子供に対しての差別も色濃く残り、草刈氏の母親は彼の装いや悪さをしない様に躾には厳しかったという。時代や国が変わろうとも母親の深い愛情と子供が後ろ指を指されないようにとの心配り気配りが両方の母親からも強く感じることができる。

一方父ウィリアムはあまり多くを語らない人物であったようだ。このことは職人気質というものが関係しているのではないかと考えているのだが、産業革命によって激減した仕事に見切りをつけて家族を養うために家族と共にアメリカに移住した苦難と苦悩も影響しているかもしれない。しかしアメリカでの生活も厳しい現状で彼自身も父と同じ仕事場で労働し、年端も行かぬ幼い息子を働かせることに申し訳なさと自分自身の不害さが無口さに拍車をかけたのかもしれぬ。

ある日アンドリューの勤勉さに感動した経営者が彼にだけ月額の支払いを引き上げた。アンドリューはあまりの嬉しさに月給袋を手に一目散に両親の待つ家に帰り、このことを両親に報告したという。父は誇らしそうに微笑み、母は泣いて喜んだという。アンドリューはこの時のことを「これほど感動したことはない。地上の天国であった」と語っている。また転職を繰り返して両親と離れて住む様になったある日、父が自ら織ったテーブルクロスを売るために彼の住む街に船でやってきた。両親を出迎えある事実を知った彼は決意したことがある。その事実とは貧しい生活の中で船室をとることができなかった両親は三等客として甲板で座って数日かけて彼の街へやってきた。その話を聞いたアンドリューは「なぜ父のような立派な人がこの様な理不尽な生活を送らなければならないのであろうか。」と世の理不尽さに腹が立ち自らが両親を豊かな生活に導くのだと決意した。「絶対に両親を楽にするのだ。」と。父はアンドリューを褒めることは滅多になかったそうであるが、アンドリューの決意を聞いた父は息子の手を取り「私はお前を誇りに思う。お前を誇りにしているんだ。」と一筋の涙を流して語ったという。このことからも息子アンドリューと父ウィリアムの関係性は互いを信頼し尊敬し堅い絆で結ばれていることがわかる。

真面目に働き家族を養っても時世に乗ることができない両親を逆に励ますアンドリューの優しさと逞しさはどこから生まれてくるのだろうか。貧しい生活の中にあっても子供のために働く両親とその懸命に働く姿を見ている子供双方の互いに対する愛情に他ならない。そして巨万の富を得た彼が晩年の仕事としたのは人々のために働く慈善家である。人に愛された経験から人を愛し、貧しき人々のために自らをどの様に活かすかを貫き通した人物といえよう。慈善活動というとアメリカではキリスト教の精神から寄付活動は盛んであるが、アンドリューの信仰心はそう深くなかった様であるから彼の慈善活動の根源というものは両親への思い、自ら苦労した精神から得たものから発生していると推測することができる。

子供に注ぐ親の愛情がどれほど深いものであるかを子供自身が悟りきるとこのような現代にも引き継がれていることを成し遂げられるのであろう。愛情は心の豊かさを育てるということを再確認して今年の偉人記事納めとする。

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