提案『良い口癖の獲得』

日本の歴史を遡ると古事記や日本書紀、風土記などに『言霊』という言葉が登場し、平安時代に入ってからは天皇や高僧が読んだ歌に言霊信仰が現れ、江戸時代に入ってからは五十音の文字に神秘的な解釈がされ発した言葉が現実の結果として現れると信じられてきました。現代においてもアファメーションや呼び寄せの法則などと関連づけられています。言霊と聞くと何か宗教絡みのような不快さを感じる方もおられるでしょうが、日本では言葉が単なる情報伝達の手段ではなく脈々と古の時代から受け継がれてきた日本独自の精神性を反映しているように感じます。事実私が子供の頃も祖母は「良い言葉を使うんだよ」と教えてもらった記憶があります。悪い言葉は全て自分に返ってくるから良い言葉を使いなさいという意味だけの解釈では推し量れない人間の思考や行動に深く関係しているこをこの仕事を通して強く認識しています。今回は子供の口癖が実は親や家族の口癖の影響を受けて子供の口癖が形成されることをブログ記事にすることとしました。

1、口癖は子供の思考、行動、性格(感情)に影響を与える

日頃生徒さんと向き合っているとどこでこんな面白い事を覚えてきたの?という発言や底抜けに明るく前向きな言葉、自分自身を鼓舞するような言葉、自信喪失や弱きになる発言、そして大人が使っていたであろう言葉などを耳にします。そしてその発言はその子の思考や行動と深く結びついて積み重ねていくうちに性格にも影響していくことを親御さんや周りの大人が認識しておかなければなりません。また子供が発するそれらの言葉は子供達の感情表現であることが多いため親子で共に喜んだり面白がるなどとポジティブ感情とネガティブ発言についても子供の感情や行動をしっかりと受け止め理解し良い方向へと結び付けることができるように促さんければなりません。できればネガティブ発言を直すことは時間も労力もかかり、子供自身が使わないように意識しなければ治すことは大変難しいものですから、言葉を発し出す幼い頃からポジティブ発言をさせるように育てることが重要だと考えます。また2、3歳で思うようにことが進まないことが増えていくので、その時に前向きに捉えることができる言葉をインプットし踏ん張って堪えて対応する忍耐力も付けていくことが必要だと考えます。




2、口癖には良いものとそうでないものがある。

子育てに影響を及ぼす口癖には大きく分けて目向きで子育てがしやすくなるものと後ろ向きで子育てには困ることの2つに分けていいと思います。

とても育てやすく指導もしやすいのが前向きな言葉で「やってみよう」「できそう」「面白そう」「楽しい」「いいね、素敵」「大丈夫」「頑張る、頑張った」「一緒にやろう」「なんとかなりそう」「よかった」「そうだね」「なるほど」「確かに」「ありがとう」「おかげさまで」「感謝だね」などがあり、これらはポジティブで前向きに行動することができるきっかけ言葉として良い習慣を身につけることや目標を達成すること、良い思考を身につけること、明るく物事を受け止めることに繋がります。

一方子供には使用してほしくない言葉として「面倒臭い」「疲れた」「無理」「嫌だ」「やりたくない」「だって」「でも」「だから」「どうして〜しないといけないの」「自分なんて」「どうせ」などという言葉です。これらの言葉はネガティブなものが殆どで思考はもとより行動や思考に影響するだけでなく、消極的になったり物事をマイナス方向で捉えるなどし肯定感も育たなくなるばかりではなく人間関係にも悪影響が出る場合が多いものです。

つまり口癖は前者の方が良いことは歴然で後者を身につけると子供の可能性を狭めてしまうことになります。




3、子供の口癖の大元は親にあり

子供の発している言葉の中には親が使わなければ子供が習得し得ない言葉があります。その代表例が「面倒臭い」です。この面倒臭いには大抵感情と行動そして思考が関係しています。行動を起こさなくてはならない、でも気持ちや感情が伴っておらず、思考したくないという三拍子が揃うと行動を起こすことが難しくなります。そのような表現は子供らしい言葉で「やりたくない」「どうしてやらないといけないの」と子供は直接表現で発言するはずですが「面倒臭い」という言葉を使うのには親や周りの大人が使用しているのを頻繁に聞いている可能性が大です。

また十数年前ですがレッスン終了後にお子さんが「どこどこへ行こうよ」とお母様に伝えると「無理」とお母様が即答されました。私にはこの生徒さんが新しい事をしようとする度に「むり、むり」と連呼するのは母子関係で学んだことなのだと合点が行きました。もう一つ必ず私が提案すると「えーっ、なんで」と声を上げる生徒さんもまた然り親御さんの口癖でした。親が子供の口癖を直そうとする前に親自身が子供の姿は自分自身の姿を鏡に映しているものだと認識しなければならないのだと気づくことが重要だと考えます。




4、親はどのように対応するべきか

私はこう考えます。子供が親の口癖を真似るのであればネガティブな口癖を覚えさせるよりも良い口癖を真似させれば子供は良い方向へ進むことができると確信しています。「〜したい」「挑戦してみよう」「できそうだ」「できるかもしれない」「頑張ってみよう」「全部力を出しきろう」「〜することに決めた」「なんとかしてみよう」「OK」「ありがとう」「幸せ、最高」など素敵な言葉はいろいろあります。このような言葉を親が自身の工藤の中に取り入れて手本を見せてあげていれば、子供はその親の行動と発言を真似する確率が高いので子供にそうしなさいと伝えなくてもよいのです。

我が家では前向きに行動ができる合言葉として「〜する人この指とまれ」で子供のバロメーターややりたいことしたくないことを推しはかってきました。前向きな言葉を使用するためには前向きな感情と行動そして思考の三拍子が揃わないと難しいためこの指とまれ作戦は実行して良かったと考えています。しかし無理にポジティブな言葉を使し行動を起こす必要はありませんし、時にはネガティブな感情を受け入れることも必要です。人間ですからぼそっと一言ネガティブ発言をすることもあるでしょうが、子供が簡単に使えてしまうネガティブな言葉を子供の前で使用することは避け、一言で表すことができるネガティブな言葉は使用しないと心に決めていたのです。使用を避けたい言葉は子供にネガティブな種を蒔くことになるのでそう受け取らせないために言葉を変えて使いました。例えばついつい使ってしまいそうな「疲れた」は「しばし休憩」や「お茶いっぱい飲んでからにしよう」とか、「面倒臭い」という言葉が出てきそうな時は「こうしたらできそうだからちょっとやってみようかな」などと別の言葉に置き換えることを意識することが良いのではないかと考えます。

時に子供が「だって〜なんだもん」と言い訳をする場合には、一旦受け入れて「そうなんだね。でもこうすればいいだけなんじゃない?案外早くできそうだけど。」と声掛けをして子供が決断するまで泳がしました。子供が決断して行動に移した時だけが大きく成長するタイミングですからそれまで待つ、行動に移せないのなら子供が困る時まで見て見ぬ振りをする。これが子供の自立を促す極意だと考えます。見て見ぬふりをするのは親として容易なことではありませんが、ついつい口を出してしまうと子供のやる気や思考を削ぎ落としてしまうことになるので状況を見てその時点で最善の策は何か、どう判断するかなど方向性を決めると良いでしょう。




5、親のついつい使用するネガティブ口癖

みなさん心当たりのある言葉をあげてみました。

「早くしなさい」「ちゃんとしなさい」「集中して」「また同じことしたの」「どうしてなの」「何度言わせるの」「だから言ったでしょ」「まだ〜してないの」「〜しちゃダメでしょ」「〜しなさい」「もうお兄ちゃん、お姉ちゃんなんだから」「もーう」「えーっ」「やだぁー」など意外とネガティブな言葉を使っていたりします。これらの言葉を使用せずに子供のやる気を促す方向へ舵を切ることができる言葉をまずお母様が考えることをからタートしてはいかがでしょうか。




6、子供が以下の口癖を使用していたら・・・

「面倒臭い」「疲れた」「むり」「できない」「やりたくない」「嫌い」「知らない」「わからない」「忘れた」「ごめんなさい」「だって」「どうせ」「でも」「僕なんて・私なんて」などの言葉は自己肯定感が思うように育っていなかったり、親の強制が強い、親の無関心などが関係している場合が多くこのような発言が出る傾向にあります。基本子供は周りの人々が使っている言葉を学習し自分自身の言葉として使用していきます。ですから親御さんがよくよくご自身や家族が使用しているこれらの言葉が存在しないかを考えると心当たりがあったりします。私は乳児のレッスンも持っていますが乳児期から実はお母様方は無識のうちに使用している言葉があります。例えばおもちゃを使用させながら「これは今できないね、むりだね、難しいね」「このおもちゃで遊ばないの?やりたくないんだね」「これは好きなの?嫌いなの?」など思いの外使用しています。

つまり子供達は聞いたことのない言葉を使用することはできません。聞いたことがあるからこそ使用しているのです。その事をしっかりと心に留めておくべきかと思います。なるべく明るく朗らかで聞いて気持ちのよい言葉を親が使用することが子供を素直に育てる極意ではないでしょうか。



Baby教室シオ

ほんものの学び。今必要な学び。乳児期から就学期までを総合プロデュースする沖縄初の乳児のためのベビー教室です。