提案『大人に囲まれることの是非』

今年初の偉人記事『ネルソン・マンデラ』(1月2日記事はこちら)でマンデラが帝王学的教育を受け、多くの大人との関わりで得た事柄について記事を書いてきた。それを具体的に述べるのが今日の提案記事です。

大人に囲まれて育った子どもが、コミュニケーション力や判断力が高くなりやすい理由はいくつかあります。心理学や発達の観点からわかりやすく説明します。

① 言葉や思考が大人基準

子供は周囲の人を真似て多くの事を学ぶことを乳児期からスタートしています。子供同士が感化されて成長を遂げることは勿論ありますが、言語性では子供同士では学びとることが難しいと言えます。家庭内で育つ乳児よりも保育園に預けられているケースや多くの人が出入りする過程で育つ子供達の喋り出しが早く、豊かな表現力が得られていることも分かっています。つまり言語に関する子どもの力を底上げするためには、大人との関わりが重要であるのです。また大人に囲まれていると語彙が多いだけではなく、話の組み立て方が論理的であったり、大人顔負けの感情の伝え方が豊かで、比較的落ち着いていることも証明されています。大人の高度なコミュニケーションを見本として日常的に触れるため、自然と表現力や理解力が育ちます。




② 会話の「質」が深くなりやすい

同年代同士の子供の会話は感覚的・瞬間的になりやすいものですが、大人との会話では理由を説明することや相手の立場を考えたり、結果を予測する、普段より言葉を選んで会話する、論理的に話そうとする傾向があり、大人に理解してもらおうとして例え話や説明を丁寧にすることもおきます。これが判断力や思考力のトレーニングになります。

また会話が「キャッチボール」になりやすいく、大人が話を最後まで聞き、間違いを言い直してくれたり、逆に子供に質問を返すことにより一方的に話すことから相手を意識して話すという段階に進みやすくなります。その他大人が子供の意図をくみ取って話や会話を広げるという調整もする事ができるため会話の質は自ずと深くなるのです。




③ 感情コントロールを学びやすい

子供は「感情のコントロール」を教えられて覚えるというより、大人のふるまいを体験的に真似ながら身に付けていきます。その学び方にはいくつかの重要な仕組みがあります。その一つ目が大人の「感情の扱い方」をそのままモデル化するという事です。つまり子供は大人が怒ったときにどう振る舞うか、失敗したときにどう立て直すか、嫌な気持ちをどう言葉にするかなどを非常によく見ています。つまり子供にとって大人は「感情の教科書」という見方ができます。

そしてもう一つ、子供は自分の感情を最初はうまく言語化できないため、大人が代わりに言語化することで感情のコントロールが可能になります。そのためには感情を感じる こと、そしてその感情とはどのような感情なのかを理解し、大人が子どもの感情を受け止めてあげることで、子ども自身も自分の感情を受け止め落ち着く事ができます。この感情の回路を幼い頃に作ってあげることがとても重要になります。

つまり大人が感情を言葉で説明することや衝動的に行動せず、問題解決型で考える事を行う姿勢を見せることでそれを子供は観察し理解し「どう感じて、どう対応すればいいか」を学び、その結果状況判断を的確に早く行えるようになります。




④ 立場や空気を読む経験が多い

子供は大人が発する「非言語情報」を常に感じています。例えば大人が言葉以外で情報を出すのには、声のトーン、沈黙、表情の変化、視線、姿勢や動きなどがあり、子供はその情報を無意識に観察し受けて「今は静かにした方がいい」「今は話してよさそうだ」といった判断材料を理解します。子供同士より、大人の方が非言語サインが明確で一貫しているため、学習が進みやすいのです。

また大人は場に応じて行動を切り替えており、家で仕事で、公共の場で態度や話し方を変えています。子供はそれを見て、場には「役割」があり、雰囲気に合った振る舞いが必要な時もあるという理解が「空気を読む力」の中核となります。

つまり大人に囲まれていると年齢差や役割の違い、社会的な暗黙ルールを早くから意識するようになり、これが「場を読む力」「適切な判断」に繋がるのです。



⑤ 「子ども扱いされない」経験

子供が大人から「子供扱いされない」経験をすると、発達や心理面にはっきりした良い効果が生まれ事がエビデンスで証明されています。年齢相応の配慮を保った上で、一人の人格として尊重される関わりは自尊感情が安定すると言われます。子供扱いされないとは話を最後まで聞いてもらえ、意見を軽く流されず、また冗談やごまかしで扱われないことを指し、子供自身が「自分は考える存在だ」と感じ、自己肯定感ではなく自分の意見をしっかりと持ち考えて話すようになり、責任感を持つ姿勢が育ちやすくなり自尊感情(根拠ある自己評価)が育つといわれています。




⑥ 「大人に囲まれすぎると注意点もある」

大人に囲まれ逞しく成長する良い面が多い一方で、同年代との関係づくりが苦手になる可能性もはらんでいます。また大人びた発言をすることが過多すぎると子どもらしく甘える経験が少なくなる可能性もあり、周りとの関係性が拗れることもあります。適度に同年齢の子供達と共に遊び学びという経験は、どのような環境の子供であってもバランスよく行わせる必要があります。確かに大人との交流が多ければメリットが多いのも事実ですが、同年代特有の「対等な衝突経験」が不足しやすく子ども同士で起きる取り合いや勝ち負けの悔しさ、意見のぶつかり合いといった対等で生々しい衝突を経験しにくくなり、結果トラブル耐性が弱く思い通りにならないことに戸惑うことがあります。

またそれだけではなく同年代の子供同士の「暗黙ルール」に疎くなり、独特の流行、言葉遣い、遊びのルール、ヒエラルキーを学ぶ機会が少なく、空気が読めないと思われ「浮く」経験をしやすいことが起きる傾向が出てきます。他にも遊びが「言語・思考中心」になりやすく、子ども特有の無意味に走り回ることやくだらない冗談を言い合う経験、体力を使った即興遊びといった身体性の強い遊びが不足しやすくなり、特に幼少期では発散不足に繋がることもあるため注意が必要です。特に同年代への苦手意識が育つ可能性を持つと同年代を避けるようになり、思春期以降に集団に入るのがしんどくなったり、孤立感を持つなどのリスクに繋がるためやはりバランスよく大人と子どもの両方の世界を体験経験させることが必要です。


言語性を高めるために大人に囲まれる環境はメリットが多いものの、それだけでは子どもの心理や発達に影を落としやすいため、そのデメリットを補うように子ども同士の関わりをしっかりと持たせることを念頭に子育てをするべきだと考えます。



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