提案『メンタルローテーションNo.5 5歳児伸び盛り』
結論から申し上げましょう。幼い頃からメンタルローテーションを鍛える遊びや学びの積み上げをしっかりと行うことができていれば、5歳で爆発的メンタルローテーションの力が出現します。それも何の前触れもなくある日突然という感覚に親御さんはなります。この爆発的メンタルローテーションの出現は、一つの取り組みの解法を教えて図形を頭の中で組み立てる力の質とは大きく異なります。解法で学んだ図形力はそこから波及する問題は解けるようになるのですが、応用力を必要とする問題などはほぼ手が出ないという状況が学習から学んだ力です。ほんもののメンタルローテーションは私たち大人が驚くほどのスピードと理解力があり、例え難問であってもほんの少しのヒントを与えるだけで自力で最後までやり抜いてしまいます。明らかに質の高さが存在するのがほんもののメンタルローテーションなのです。今回はそのメンタルローテーションを獲得した子供達がどのような爆発を迎えているのか、そしてどのような働きかけをすれば良いのかを簡単ですが記事にして参ります。
ここで注意点ですがここからはメンタルローテーションを獲得した5歳児向けです。我が子はまだ獲得できていないと思われる場合には、以下の記事内容の働きかけを十分に行なってください。
提案『メンタルローテーション No.1基礎知識』(記事はこちら)
提案『メンタルローテーション No.2 2歳児の土台作り』(記事はこちら)
提案『メンタルローテーション No.3 3歳児の土台作り』(記事はこちら)
提案『メンタルローテーション No.4 4歳児 本格始動』(記事はこちら)
1、どのような爆発期が出現するのか
上記の働きかけを2歳から4歳までに実行し続けてくると、ジグソーパズルを試行錯誤しながら素早く完成させたり、ブロックを見本通りや頭の中で組み立てられたり、タングラムや立体パズルを「向きを変えて考える」ことができるようになります。また絵や工作で空間バランスが長けた表現をすることやスポーツや身体動作がスムーズ動くことが見受けられます。しかしそれは特段珍しいことではなく、それ以上に特出しているのが「視点」や「回転」を意識した言葉が増えるということです。このようなことはメンタルローテーションが獲得できた子供達特有のものでその言葉の変化を4つの切り口で説明していきます。
① 回転を表す言葉
型はめやパズルをスタートさせるのは意外と早く教室では1歳頃になりますが、その時期にお母様がよく発する言葉が「回す」「くるっと」「ひっくり返す」です。その影響でメンタルローテーションが育っていなくとも子供は早くからこれらの表現が出てくるようになります。メンタルローテーションを獲得した場合の言葉の変化はどうなるかというと「90度回してみると入る」「半回転させてみよう」「時計回りに少しずつ動かせばできそうだ」「右に少し傾けて90度回すとどうなる?」など実際に手で回しながら言葉にし、頭の中で動かす手順を言語化できるようになります。ただ回してはまる、回したら上手くできたなどという言語化ではありません。必ずそこには思考と実践が存在し夢中になる集中力が働いています。
② 視点(見る位置)を変える言葉
メンタルローテーションの力のない子供が四方八方から「見る位置」を変えた見え方を言葉で表現することはありません。というよりいろいろな位置に立って見え方が変わるということに気づけないということが的確な表現かもしれません。これは2歳のメンタルローテーションで記載した通り1つの対象物の周りをぐるっと歩きながら対象物の形がどのように見えるのかという経験をたくさん積ませて年を重ねていけば、いろいろな言葉でその様子を表現するようになります。例えば「前から見たら四角だけれど、左から見ると長方形だ。じゃぁ上から見たらどう見えるかな?」「積み木でお城を作ってみたら正面からはドーンと立派に見えるけど、横から見たら薄っぺらい建物になっちゃってるから奥行出さなきゃ」「今日はガラスのテーブルの上でフレームキューブで建造物作って、出来上がったものを下から覗いたらどう見えるか実験してみよう」などと自分の体や視点を動かすことを前提にした表現や話をするようになります。ここで記載した言葉は我が子や生徒さんが発言した言葉ばかりです。横から見たら、後ろから見たら、こっちから見たらどうだという簡単な言葉ではありません。実際に頭の中でカメラを動かしているようにメンタルローテーションを発動して言葉にしている状態です。また他者に対して自分自身が今どこから見てどのような形が見え、次にどのような手を打とうとしているのかを明確に表現できるようにもなります。
③ 反転(鏡・左右)の言葉
鏡映像や左右反転などはかなり高度なメンタルローテーション力です。偉人記事を毎週書いている私からすると能力の高い芸術家や科学者技術者の幼少期にはよく見受けられる能力です。また低年齢であればあるほどこの能力が高いのも事実です。ですから絵本を逆さま読みをする1歳の子や自他分離が行われる時期の乳児が鏡を食い入るように覗き込むように見るのにも納得がいきます。がしかし幼い頃のこの能力だけを磨いてしまうと学習期に大変苦労します。乳児期には正しいものの見方をするしっかりとおさえた導きが必要です。その正しいものの捉え方を実践してきた上で反転する見え方を理解することが必要になります。その上で反転する見え方(左右、上下、表裏、前後が入れ替わる感覚)を体験し気付き、それを言語化する順序で育ちます。この時期は単純に左右が逆という見え方から構造的理解へ進む段階に入る直前です。つまり反転は左右を逆にしているだけではなく、前後方向(奥行き)を反転 しているので空間を左右(X軸)、上下(Y軸)、前後(Z軸)という考え方に進ませる段階になります。よって5歳児自身の発言は「鏡みたいになってる」「こっちが右で、こっちが左」「反対向きだ」などと左右の入れ替わりを理解している単純な発言ですが、,次のステージに上げなければならないタイミングでもあるので実際の図形や模型を使用して反転する様子と反転しない両方を確認させる必要があるのです。この点については見方や思考の癖などがあるため慎重に進める必要があり個別に対応することになります。
④ 立体イメージの言葉
立体イメージに対する発言はほぼ目の前にないものに対してのものが増えます。「多分こうしたら円錐形が出来上がる」「この積み木を何回転させても反転した積み木の形とは同じにならない」「ここを折り上げると次の形はこんな感じになるんじゃないかな?」「縦に切るとこうだ横に切るとこうだ。斜めに切るとこうなっていると思う」「ここからは見えないけれど中はこうなっていると思う」「こう動かすと多分こうなる」など見えていない部分を前提に話せる、動かした後の結果が予測できる、外から見えない内部を仮定して話せる、視点を動かしながら立体を捉えて実況中継するような話し方をする子供もいます。つまり立体イメージができている子供は「見えていない部分」「動かした後の形」「内側の構造」まで言葉にし始めます。こうなると誰の目から見てもメンタルローテーションが伸び盛りということを実感することができます。ただし子供達の中には思考の確信があって発言することなく、単なる「こうなってほしい、何となくこうかな?」などの願望や思考が曖昧または無い状態での発言をする場合もあるので本当にメンタルローテーション力が育っているのかを見極める必要もあります。
2、5歳児に向けての働きかけ
ではここからがメンタルローテーションが爆発した5歳児に向けての働きかけについて記していきます。親御さんにしてみればこの前までメンタルローテーション力があるような発言をしていなかったにもかかわらず、ある日突然「急に出来るようになった」という感覚をお持ちです。しかしそれはある日突然ではなく4歳までの取り組みの下地があって理解の準備が整った状態から「やはりこうだ」と合点が入ったという確信があって爆発的に出現するのです。また能力的に色々な状態が整うことで起こります。例えば5歳児は頭の中でイメージを保てる時間が長くなり、実物を動かさなくても想像で回せるようになり始める年齢でもあります。そのほかに言葉で考える力が強化され「こう動かしたら…こうなるのだろうと」と説明できるようにもなるためメンタルローテーションは一気にコツを掴見やすくなります。
しかしここで注意しなければならないことがあります。このような話をすると取組みの量を増やそうと必死になる親御さんがおられますが、実はこの爆発的力を発揮できる子供は遊びや学びの量を増やしたからできるようになったのではなく、「構造の理解」ができるようになったという力を獲得しているのです。読み書き計算の習得もそうですが何十何百のプリントをこなしても学習を理解しようとしなければ、のうは読み書き計算に要する時間は長時間かかり、その習得の質も決して良い状態とは言えません。何も考えずただ何となくプリントをこなすような状態では単純な読み書き計算すら満足な結果が得られないように、メンタルローテーションも何となく図形の取り組みをしていたらつくものでは無いのです。つまりメンタルローテーションを獲得するためには頭で考える「構造の理解」無くしては獲得はできないということです。またこの「構造の理解」は賢さに繋がる核になる部分でもあります。
それではメンタルローテーションを強化するための取組みを一部ですが取り上げていきます。以下の内容については5歳以上だからといって取組めるものではありません。ご自身のお子さんがメンタルローテーションを獲得しているか確認をしてから実行していただけると苦手意識を作らず楽しく行えるでしょう。
① 立体パズル
平面パズルの役目はもう終わりなので立体パズルに移行してもらいます。立体的な形を頭の中でイメージしながら組み立てることになるのでさらに「空間認識能力」や「立体把握力」 が鍛えられることになります。立体パズルは大きく分けて3つあります。組み立て型で作る楽しさを味わうプラモデル、回転・変形型で考える楽しさを味わうルービックキューブ、ピラミンクス、メガミンクス、分解型でひらめく楽しさを極める組み木や知恵の輪などがあります。メンタルローテーションを発動しながら行うこれらは、それ以外にもメリットがあります。プラモデルは根気・集中力・手指に微細運動が鍛えられますし、ルービックキューブなどもプラモデルと同じ効果が得られると同時に記憶力やスピード力が鍛えられ脳トレに効果的です。組み木は立体を「どう組み合わせるか」「どう外すか」を考えることで、立体把握力・想像力が自然と伸びます。知恵の輪に至っては「どう動かせば外れるか?」を順序立てて考える力が鍛えられると同時にすぐには解けないため、粘り強さが育ちます。
立体パズルにもこのような種類があるのでバランスよく手に取らせることをお勧めしています。我が家ではどこかの待ち時間や旅行での移動時間特に飛行機の中ではかなり楽しんで行っていました。特に組み木と知恵の輪はかなり良いメンタルローテーションを築けたように感じています。
② ブロック・積み木
比較的お手頃な価格の与えやすいおもちゃなら平面から立体へ発展させる構造のLaQ、自由制作と見本再現の両方ができるレゴブロック、平面から立体へ自然に変形遊びが可能なマグフォーマなどの他に、ネフ社のセラやキュービックス、アングーラやスイスのキュボロ社のキュボロ、スカリーノ社のスカリーノなどを使用することもお勧めしています。特にキュボロは中の通路が見えないため、組み立て時にこの向きにするとどこから玉が出るのかを想像する必要があるあるためメンタルローテーションがさらに鍛えられることになります。また先を読む力の論理的思考も強化されます。ビー玉は下へ進むこと、どの高さでどの方向に出すかを設計するかなどの難しい思考が求められるので、メンタルローテーションが開花されていない場合に使用するとかなりの確率で挫折し遊ばなくなってしまいます。メンタルローテーションが身についた5歳の子供でも初見は親子で取り組んでみてください提案。
③ 展開図遊び
4歳までは折り紙や図工作をたくさん行うことがベストでしたが、メンタルローテーションを獲得した5歳児にとっては単なる折り紙や紙箱遊び以上に頭の中で世界を回す楽しさが味わえるのが展開図遊びです。平面(紙の上)から立体が生まれる瞬間が頭の中で形を動かす」能力=メンタルローテーションの強化に繋がります。写真は学習化されたものですがここに行き着くまでに様々な展開図遊びを行います。身近な箱をハサミやカッターで展開したり、箱をスケッチして実際に組み立ててみたり、折り紙で立体図形を作ったり図形の面を意識した遊びをとことん行うことを強化してほしいと考えます。毎週火曜日にしばらく立体図形工作を取り上げることにしていますので参考にしていただけると良いかと思います。
また展開図はどの面がどこにくるかを想像する作業ですから「この面は上になるのかな?」「この面と向き合うのはどの面か、接する面はどこか」を試行できるようにすることも必要になります。また中学で学ぶ展開図と見取り図の関係性も実践として理解することにもなり、直角法(内・外)や対角線法に気付く場合もあります。そのほかに「これを横から見るとどうなる?」などと考えて自分の視点を自由に動かせる力=視点変換を育てることや面の繋がりや折り順などの論理的思考も強化することができます。しかしこれを学習として取り入れるのではなく、遊びとして幼児期から平面が立体になる「感動」や頭の中で形を自由に動かす「視点変換力」、折り順や面の繋がりで育つ「論理的思考」を身に付け、獲得したこれらの力を自分で形を作る創造性に活かしてほしいとも考えています。そのような遊びを行っていると学習の単元として学ぶ時には大きな力をつけることになっているでしょう。
④ 体を使う回転あそび
体を使う回転遊びはいろいろありますので体操やマット運動、ダンスなどの他に是非とも縄跳びを取り入れてほしいものです。縄の回転やタイミング・リズムなどの身体的なものに磨きをかけるだけではなく、空間認知・メンタルローテーションの下地を作ることにもなります。例えば「空中で体をどう動かすか」を瞬時に判断することや「次は右足から?それとも左足から?」 なのか空間認知を理解し、「縄を二回転させるとどうなる?」かと頭の中で動きをシミュレーションし、リズムに合わせて体を動かすことで頭の中での動きの予測力が育ちます。つまりまさにメンタルローテーションと視点変換を同時に行うことができる運動です。さらに持続力、忍耐力、集中力だけではなく、失敗しても何度も挑戦する気力や目標を定めて何回まで飛べるようにしようやこの技をできるようにしようなどと前向きで積極的に行動を起こすことができるようにもなります。
それではまとめに入ります。 5歳でのメンタルローテーションの最も重要なことは、「構造の理解」と「考え方を言葉にする力」です。「どう考えたのか」「行動を起こす前や変える前に何を想像し予測したのか?」を明確に言葉にすることを強化してほしいと考えます。その上で算数や数学的ことを少しずつ覚えていきながら実践で力をつけ、物を実際に回さなくても説明できる、目の前にない物の向きを言葉で表現できる、他人に向きの変更を言葉にすることができれば劇的にメンタルローテーションの力は伸びていきます。
今回はしっかりと積み上げた5歳児を対象とした記事内容となっています。つまりこれが私の考えるメンタルローテーションを強化する最善であり最高の方法と考えています。ここに来るまでにしっかりとできることを行うことで爆発的メンタルローテーションが一気に溢れ出させることができるので、ある意味4歳までを丁寧に楽しんで進めてくることに力を注いでほしいと強く申しておきます。決して5歳だから今回の記事内容を実践するという考え方は本末転倒です。ご注意ください。
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