提案『計算に入る前に絶対にすべきこと No.1』

私はこれまで足し算の獲得がスムーズに進められる場合と獲得にかなりの時間を要す場合の両方を目にしてきました。この差は一体何なのか、原因を明確にし、子供がスムーズに取組みを進め習得が容易に行われるようにする内容を記事化してまいります。お母様方にはしっかりと順を追って具体的な働きかけをして下さいますようお願いいたします。

足し算がスムーズにできない、覚えられない、習得に時間がかかることには明確な積み落としが存在します。つまりいきなり「1+1=2」という足し算を教えても意味がわからないまま足し算に入り、暗記にも繋がらないケースや暗記を終えたように見えてもすぐに忘れてしまう、または数式の書き方が横位置(2+5=)から縦位置の筆算になっただけで答えが分からなくなってしまうことがおきてしまいます。これらは数を認識する力が付いておらず、種まきが不十分のために起きている現象です。つまり子供にとり計算に至るまでには数の取組みを順を追って行わなければなりません。日常の中に、そして遊びの中にどれだけ楽しく数遊びをしてきたかが重要なのです。またそれ以上に求められるのはどれだけ楽しんできたかが肥沃な算数の畑となり学びの芽が伸びてゆくのです。

では足し算に至るまでに何をすればいいのかを記していきます。


1、数を唱え聞かせる

子供の成長を考えると全ての事に於いて始まりが重要な鍵を握ります。この最初の『数を唱える』取組みは親発信で乳児期から行います。乳児期は数や数字を教えるということではなく、生活の中で自然に数や数字に触れさせることが大切です。数字を唱え聞かせ「数字=意味のある音」として聞き慣れさせ理解に繋げます。無理に教え込む必要はなく、繰り返しの中でじわっとそしてゆっくりと数や数字を音として捉えることを促していきます。

私が実践していた方法をいくつか挙げておきましょう。おむつ替えや着替えのときに「いち、に、さん」と声を掛けながらボタンを外したり留めたりしました。スナップだとパチンと音が鳴るので数のカウントには最適な方法でした。またオムツを外す時にもマジックテープを外しながら「いち、に、さん」と声を掛けることも解放感が良い刺激となり効果的でした。おむつ替えは日に何度も行うので習慣化すると回数を確実に積み上げられ、数と行動がゆるく結びつかせることができます。その次に私が意識していたのは、子供が日中起きている時に抱いて屈伸運動を数を数えながら行ったり、入浴時に数を数えながら湯船に浸かる、階段を上がるときに数をカウントし、下りる時は「すうじの歌」を歌っていました。つまり乳児期はお世話の時間を活用して数を唱えるということが耳からインプットされ、数字に意味を持たせる定着チャンスなのです。




2、数の概念を伝え続ける

1歳前後から遊びの中にも数概念を伝える絶好のチャンス到来時期です。この時期が楽しければ楽しいほど数の学びが豊かなものになります。大事なのは正確さよりも「楽しい体験」として繰り返すことです。歌うように数えたり、数遊びは楽しいんだと少し大袈裟に表現したりすると数や数字が耳に残りやすくなり、どんどん遊びの中に数を取り入れることができるようになります。つまり数が「意味のあるもの」になる土台はこうした何気ない遊びの場面の積み重ねで育ちます。先日1歳の生徒さんに「重い」を理解させるためにそう重くはないものを私が重そうにそして大袈裟に「重い重い」と表現し手渡すと、その小さな生徒さんはその袋を持ちながら楽しそうに「おもい、おもい」と言葉を発し私の方に視線を送りました。その後は幾度も私の大袈裟な表現を楽しんでいたのが表情から読み取れ、尚且つ「重い」を理解してくれたと感じています。これを確認したら次は「重い」→ 「中身を出して数える」という取り組みに移行します。これが実践で、それを楽しめるようにするのが我々大人のテクニックなのです。よくお母様方は先生のようにテクニックが無いと申されますが、そのような時には何を教え込もうかではなく、「どう楽しむか」を考えてください。

私がどんなに忙しくとも心掛けて実際に行っていたのは必ず一日最低でも30分は子供と向き合って数を意識した遊びをすることでした。おもちゃを渡すときに「一つどうぞ」「もう一つね」と数概念1を理解させることに集中し習得したら、次に2への促しを行います。「ミニカー1台どうぞ」「次は2台ね」と言葉を掛け、より楽しくするためにそして数を数えさせるために夕方のラッシュアワーをミニカーで起こさせました。「道が混んでいますね〜右から右折車が2台きました。左から3台入ってきましたよ。全部で何台の車になりましたか?』と質問をし、子供が数えて「全部で9台だよ」と伝えると「交通渋滞です。全く動きません。車を減らしてください」「やっと車がスムーズに動きましたね。交通渋滞が緩和されました。みんな家路に帰ります」と片付けまでさせようとしましたがそうは問屋がおろしません。永遠と交通渋滞が起きるのですが片付けという発想は一旦封印し、その楽しいという遊びを活用して実況中継で足し算や引き算遊びを行うと、意外にも早く足す引くの概念が感覚で理解できるようになりました。片付けて欲しいけれど片付けない、ならば算数をとことんさせるぞという親の発想を切り替えれば良いだけです。子供が楽しんでいるものに親が楽しそうに参戦すれば効果覿面です。

色々なものを手にし、積み木を積みながら数えたりすることも工夫を凝らせば図形力の見方も促せますし、崩すときも「たくさんの積み木が崩れたね」と量の感覚に繋げることもできます。

また体を使ったやり取りも効果的です。抱っこして「いーち、にー、さーん」と軽く揺らしたり、ロケット発射遊びの「5、4、3、2、1、0発射」で数の逆唱え遊びで数にリズムや期待感が加わり楽しく学ぶことができます。

次に絵本の時間にも自然と数を取り入れやすい場面です。例えば「今日読む絵本は何冊にしようか?」と声掛けをしたり、好きな絵本を手に「何回読もうか?」との声掛けも行えます。また絵本に登場する動物や果物を見て「うさぎさんが2匹いるね」と指差しながら数えたりを行います。最初は正確に言えなくても構いません。「見て・聞いて・感じて・確認する」ことのいずれかができれば十分です。実行する回数を増やしていけば自ずと「見て・聞いて・感じて・確認する」ことが網羅できるようになります。

その他に日常の動きにも数導入を行う機会はたくさんあります。階段の上り下りを使用し「1段、2段・・・」、お風呂で「10まで数えよう」、食事で「おにぎり1こ食べる?それとも2こにする?」など、生活の流れに沿って数を添えるイメージを大量に与えることが大事なのです。この頃私が常に意識していたことは、声掛けには必ず数字を添えることでした。また敢えてトマトは大きなものをカットするのではなく、プチトマトにして食べたい数を取らせたり、食パンも一口サイズにして何こ食べるか、食べたかを確認させるなどしました。食事は日に3度、おやつも含めれば回数を増やす=チャンスを増やすことができます。そのチャンスを掴んで活かすかどうかは親次第なのです。




3、数の感覚を理解する

計算力をつけるために身につけるべきことは「数の感覚」です。たとえば、物を見て「これは3つ、あれは7つ」と即視覚認知できることや、1つずつ正確に数える経験を積ませることが重要です。おはじき、ブロック、お菓子など身近なもので「数える」ことに慣れておくと後の理解がスムーズになります。また教室で行う1〜10までの数配置は3歳までに習得させておくことを必須にしています。

次に「量の理解」です。乳児の原始反射に働きかけを確実にこなてきた場合には、先述の『1、数を唱え聞かせる』及び『2、数の概念を伝え続ける』をしっかりと実行し『数の感覚』を与えておけば「どっちが多い?どっちが少ない?」「同じ数にするにはどうする?」といったやり取りの理解がスムーズに行えます。つまり数が単なる記号ではなく『量』を表していると感じられるようになるのです。

その量を理解した後に「数の合成と分解(分ける・合わせる)」という経験が大切です。ここまでを読んでくるとこの『3、数の感覚を理解する』から学習をスタートさせる方がおられますが、算数は積み上げです。また子供たちは実体験という経験値を積ませた方が格段に理解が早まります。近道などの突貫工事では必ずどこかに歪が生じます。もし私が孫を育てるとなれば、近道早道突貫工事などは一切いたしません。

話を「数の合成と分解」に戻しましょう。例えばりんごの個数を求める質問をするとします。いきなり「全部でいくつ?」と口頭で質問しても、目の前にりんごとその数がなければ子供は何を質問されたのかがわかりません。つまり実際に物を視覚認知し合わせるという体験が足し算に結び付くのだという数の本質的な理解に繋げなければならないのです。またここには足し算を意味する言葉も親側からいくつか提示しておかなければなりません。例えば「全部で、合わせて、合わさると、もらうと、加えると、増えると、入ると、まとめると・・・」など日本語には足し算をあらゆる角度から表現する微妙なニュアンスがあることも親が理解しておくと文章問題の種まきになります。

さらに「順序」や「変化」の理解も役立ちます。「最初は2こあって、あとから1こ増えたら?」というように、時間の流れと数の変化を結びつけて考えられるようにします。つまり足し算の前に子供自身が理解し思考できるように育てておきたいのは「数を数える力」「数と量の結びつき」「多い・少ないの比較」「分ける・合わせる経験」「増えるという変化の理解」です。これらが自然にできるようになると、足し算は「覚えるもの」ではなく「わかるもの=理解できるもの」になります。

今回は乳児期からの算数の土台作りに関する3つのポイントと私が行ってきたことを記してまいりました。次回の提案記事は今回の内容を受けて、さらに詳しく計算の理解を具体的に促していく方法を第2弾の記事にしますので、是非併せてお読みください。




Baby教室シオ

ほんものの学び。今必要な学び。乳児期から就学期までを総合プロデュースする沖縄初の乳児のためのベビー教室です。