提案『計算に入る前に絶対にすべきこと No.2』
幼児が本格的に算数を学び始める前に絶対にやっておかなければならないのは、数字や計算そのものよりも、土台となる「数の感覚や考え方を育てること」です。先週の提案記事『計算に入る前に絶対にすべきこと No.1』(記事はこちら)にもその重要性を記しましたが、今回はどのような方法でその感覚と考え方を育てていけばよいのかを具体的に述べていきます。
1、数の感覚を育てる
① 体を使って数を体感させる
数はリズムと相性がよく「1、2、3、4・・・」とジャンプや拍手、足踏みなど体を使った取組みを行いながら数えます。例えば「5回ジャンプしてみよう」「ボールを3回投げてみよう」のように「数=動き」と結びつけると記憶に残りやすくなります。是非乳児期から3歳までにこの方法をたくさん実行し数の感覚を身に付けてください。我が家でこの方法を取るのは公園からの帰りに発動することが多かった気がします。滑り台から離れなくなった時に「滑り台をあと1回にする?それとも3回?」という具合に選択提示しました。ただ子供に隙を与えてしまうと3回が無限ループに陥る傾向があるので、3回終わると間髪入れずに「はい、家までダッシュ」とかけっこ競争に移行し、公園から離れることができるように知恵を絞ったものです。体を使って数を覚えさせることは時に親側の技の見せ所でもあり、先を読んでAの選択を子供がしたらBの方法を提示する、Bが上手くいかなければCの方法を繰り出すなど前もって考えておく必要があります。つまり親側の思考力が求められることになります。
② 1:1対応経験
算数でいう「1:1対応」の学びは数の基本理解を育てるとても大切な考え方です。簡単に説明すると「ある集まりの1つ1つに、別のものを1つずつ対応させること」です。例えばりんごが3つあるとしましょう。、その1つずつをお皿にのせていくと、「りんご1つ : お皿1枚」の対応になります。このように1つに対して1つを対応させるのが「1:1対応」というう考え方です。ではなぜこの1:1対応が大事かということですが、この学びは「数を正しく数える力」に結びつき、指さしながら「1、2、3、4・・・」と数えるとき、物と数詞を1つずつ対応させる必要があ流からです。
すぐには理解へと進みませんが何度も繰り返すうちに数の意味理解(量の把握)を行うことができます。「3」という数字が、実際に「3つ分の量」だと理解できるようになるのです。
そしてもう一つ比較の力も育てることができます。2つのグループを比べるとき、1:1対応させると「どちらが多いか・少ないか・同じか」がわかります。例えばおはじきを1こずつ並べる、人数分だけ椅子を用意する、靴と足を対応させる、1人に1つずつ配るなどの学びをたくさんさせましょう。はじめは上手く対応できずに飛ばしたり重複したりしますが、経験を重ねることで「1つずつ対応させる」という感覚が身についていきます。
③ 具体物を使って数える
おもちゃやおやつなどの実際に手で触れられるものを使い数の取組みを促します。「ここにりんごが3つあるね、あそこにはみかんが2こあるよ。全部持って来て」「ブロックを5こ並べてみよう」「ミニカーを並べて全部で幾つあるか数えてみよう」などと「見て・触って・数える」経験を繰り返します。我が家でよく行っていたのは遊びの中に、そして食事にも取り入れました。前回の提案記事『計算に入る前に絶対にすべきこと No.1』(記事はこちら)にも記しましたが、ミニカーを並べる、食事やおやつを子供達に選び取らせるなどの他に、公園で拾ってきたどんぐりを並べさせたり、バケツに入れたビー玉を部屋に撒き散らして誰が多く拾うかの競争をしたり、その後に玉入れならぬ親子でビー玉の数を競い合うなど行いました。競争心を追加する場合には必ず子供に花を持たせ親が負けること、子供は勝つことが嬉しくなり継続することができます。
④ 配る・分ける体験
この配ると分けるの取り組みは全体数から取り分けていく取組みです。先ずは「同じ数ずつ配る」という概念を実行するとよいでしょう。例えば時間がある休みの日の朝食に家族分の皿を出し、ロールパンを皿1枚に対して1つずつ配ります。これは先に出た1:1対応です。これができるようになると、ミニクロワッサンを皿1枚に対し2こずつ配るなどして徐々に数を増やしていき、皿の上のミニクロワッサンを同数にすることも理解させます。食すものだと子供は興味を持ち行うことが容易にできますし、数から量への移行もスムーズに行うことが可能です。またそこにお手伝いという大きな役割を子供に持たせることは責任感や意欲の育みにもなります。我が家でもこの配る・分けるの取組みは食べ物で行うことが多かったと記憶していますが、特にホテルでのバイキングでは食べることができそうな分だけを取るということも育てつつ、何度も撮りにいくことができたので子供は喜んで実行し効果的方法だったと感じています。
実はこの取組みの延長線上に「計画立て」があり、大きな袋にや缶入っているお菓子をジップロックに家族人数分を同数に分けさせることを行い、そこからおやつを計画的に食べることを促しました。すると計画立てが上手できる場合もあれば、無計画の果てに起きる子供にとっての悲劇も体験し、このことで多くの学びをすることができたように思います。また形や大きさの異なるクッキーや煎餅をどう分けるか、単純に分けられないものをどうするかなど思考することも数の感覚以上の学びとして問題解決力を育てたような気がします。
⑤ 集める・並べる
この「集める・並べる」は数から量へと理解を変化させていきます。物を扱うことで『量』を実感できるのがこの「集める・並べる」です。ぬいぐるみやお人形を部屋中から集めて並べ数える、ミニカーや恐竜を並べて数えることを行い、実際に触れることで数の集合体を感覚的に学ぶことは見るだけの弱い認知力とは大きく異なり、その理解に大きな差が生まれます。
「数=まとまり」がやがて「量」として捉えることができるように促していくようにしますが、先ずは「5は1が5こ」という考え方だけでなく、「2と3でも5になる」「1と4でも5」「0と5でも5」といった分解や「5は1と4で5になる」などの合成の感覚を実感させることも大切です。足し算や引き算を学ぶときに必要な能力は遊びの中で実体験を数多く踏ませておけば、いざ学習の中に入った時にスムーズに理解ができます。私は積み木やブロック遊びで大きな建造物を作らせることをしていたのですが、大きなものを作ると数が足りなくなります。すると子供発信で「ここを作りたいのに積み木が足りない」と言い出すので「あと何こあればいいの?」と質問すると「あと何こあればいい」などという返答が返ってきます。たくさんの積み木を一気に買った方が金額的には安くなりますが、少しずつ買い足すことで数を理解させるチャンスが生まれると考え、余分にかかる金額を良しとしました。つまり私は子供の意欲やチャンスに投資したという考えたわけです。がご家庭により色々な考え方があると思いますのでご自身のご家庭に合った方法を選択してください。
⑥ 比べる体験
数の本質は比較です。まずは数字よりも「どっちが多い?」という数や量を体感させることが求められますが、先述した1:1対応経験を積ませる中で1対1対応の学びで数える意味を理解しているので、多い少ない足りないの量の学びを行うことができるのです。そして公平さ不公平さをも認識することにもなります。例えばおやつを配るときに、あえて不均等にし「どっちが多いかな?」と聞くだけでも十分比べる体験ができますが、「同じにするためにはあといくつ必要か」という考え方にも進むことができます。
1歳児には数ではなく量で比較できるようにし、2歳以降は数えなくても違いがわかる数にして体験を増やすようにします。そして3歳以降は確実に具体数の理解を促していきます。おはじきなどを活用する方法で何度も繰り返し行う方法が効果的です。
この比較する経験を増やすことで「長い・短い」「多い・少ない」「重い・軽い」などの比較でき、この比較の体験は数感覚の核心部分でもあります。お菓子を皿の上に並べたり、水をコップに入れて比べたり、積み木の高さを比べたり、買い物袋を持ち比べするだけでも比較の力をつけることができます。
⑦ 見積もりの大凡(だいたい)を理解
比べる経験を十分に育てると次にすべきことは、正確さより感覚を育てることです。だいたいの数や量を見積もることで数や数量を考える思考が育ちます。つまり「見積もりの大凡(だいたい)を理解させる」というのは、正確な数を出す前に、「どれくらいになりそうか」という重要な感覚的に数量を掴む力を育てることになります。言いかえると、「ピッタリ当てる」よりも、「大きすぎないか・小さすぎないかを判断できる」ようにする学びです。この学びは算数の学習では大いに発動させなければなりません。
例えばりんごがたくさんあるときに「だいたい10こくらいかな?」と考える力も97+51を計算することもこの見積もりを理解することです。つまり計算する前に「100+50くらいだからだいたい150くらいになりそう」と見通しを持つこうした力が、日常生活でもとても役立ち尚且つ算数や数学にも活かす事になります。特に計算ミスに気づける力が養われますが、97+51なのに答えを「1000」と出してしまったら「そんなに大きくならないはず」と気付くことができ、見通しをもって考えることができます。しかしこのような考え方を遊びを通して行っていない場合には、平然と間違った答えを書きてしまいますし、残念ながら中には間違いを指摘しても気づかない子供もいます。問題に入る前に答えの範囲を予測できる力や買い物や時間の見積もりなどで役立つのがこの見積もりの大凡を理解する力であり、見過ごされやすい重要な力です。
しかし言葉の通り「だいたいでいいよ」と言う働きかけだけではこの力は身につきません。おはじきやブロックなどの具体物を使い「いくつくらい?」と考えさせ「大体これくらいだったね」という働きかけで感覚を育てなければなりません。
また「10のかたまり」「100くらい」など、目安になる数を意識させる基準を持つことも必要になります。今まさに3歳の生徒さんがこの感覚を身につけるためにトレーニングしていますが、それと同時にミスに気付くトレーニングもしています。
その他に概数を使い丸める力も必要になります。よく小学校で学ぶ「おおよそとして計算しましょう」という学びですが、98を100として捉えることができずに90として捉える子もいます。51を50のようにして考える練習もまた必要なのです。このような躓きは小さい数に引きずられて全体を見ることができていない子供達に起こることですが、その場合には「どうしてそう思ったの?」と聞いて、見積もりの根拠を言語化させる必要があります。「正確じゃないとダメ」なんだと感じてしまうと見積もることを嫌がることになるので経験を積ませることが何よりも重要です。
見積もりの学びは「数をざっくりとらえる力」と「考えの見通し」を育てることにあります。これは計算力だけでなく、現実の問題解決にもつながる重要な力であることを理解しておきましょう。意外と親御さんはこの取組みの存在に気付かず、算数計算での学びの段階で力が育っていないことに気付くことが多いと感じています。
⑧ 生活の中で数字を感覚的に使う
これまで数の感覚について記事を記しましたが、数の感覚が育ってきたら次は数字を「意味あるもの」にしなければなりません。つまり日常に数字を溶け込ませるということです。計算問題としてではなく、日常の中で「ちょうどいい量や大きさ」を数字で掴んで判断することを指します。つまり、頭の中で式を立てるよりも、「これくらいかな」と自然に数や量を扱える状態を数字に結びつけることです。例えば料理で「水はコップ2杯くらい」と見当をつけること、買い物で「1000円あれば足りそう」と考える力、時刻を見て「あと10分くらいで着きそう」と判断すること、部屋の中のソファーに「あと2人くらい座れそう」と感じるなど正確さよりも「実用的なだいたいの把握」と数字の結付きが重要になります。
この力にはいくつかの要素があります。量の見当をつける力(多い・少ない・どれくらい)や数を生活に結びつける力(お金・時間・長さなど)他に見積もりや予測の力(足りるかどうかの判断)です。この力を身に付けると学校の算数で「使える力」になること、次に自分で判断・行動できるようになること、そして無駄やミスを減らせる(買いすぎ・時間不足など)など大きな意味を持つのです。
これらの力を育てるには実体験と結びつけることが最優先事項です。例えば「いくつある?」ではなく「足りるかな?」と問いかけること、そして正確さを求めすぎずに「だいたい合っている」ことを大事にすること、そして言葉化させることです。「どうしてそう思った?」と考えを説明させましょう。
「生活の中で数字を感覚的に使う」とは、「数字を計算するもの」から「判断に使う道具として使えるようになる」ことです。これが身につくと算数が現実の中で生きた力になります。時計、カレンダー、年齢、階数など生活の中の数字に気づかせるように働きかけ「あと3分で出発だよ」「8時だから寝る時間だよ」など数字が意味を持つ場面を数を使って考える経験をどんどん増やしてください。特に砂金はキャ主レスですが、現金を使い子供に買い物をさせる経験は絶対省いてはならず、敢えてどんどんさせるべきだと考えます。
⑨ 数の順序を体で覚える
数の取組みでは順番も重要です。数の順序を体で覚えるというのは頭で暗記するだけでなく、動きやリズム、体験を通して「1→2→3→4・・・」という並び方を実感として身につけることを指します。よちよち歩きが安定してきたら階段を一緒にのぼりながら「1、2、3、4・・・」と数えることや手を叩きながらリズムよく数唱すること、歩きやジャンプで前に進むごとに数字が1つずつ増えること、並んだ物を指さしながら順番に数えるなどのこうした活動が「次の数に進む=動きが1つ増える」という感覚が体で覚えることとして結付きます。
ここで学んでほしいことは数が一定の順番で並んでいるという理解、次に1つ増えるごとに次の数になるという感覚、そして数唱(1、2、3・・・と唱えること)の安定です。
実は幼い子供にとっては数字はまだ抽象的なものです。そこで体の動きと数順を結付けることで、覚えやすくなり、順序が途切れにくくなる、そしてその流れが楽しくなり数を唱えるようになります。幼い子供によくあることですが「1、2、3、5・・・」のように順番が飛ぶことや数は言えるが物と対応していないことがよくあります。このようなことは体を使った活動で「1つずつ進む」という経験を増やすと改善されていきますが、体を使わないとなかなか修正できません。
つまり「数の順序を体で覚える」とは、数の並びを「行動=動き」とセットで理解し、自然に次の数へ進めるようにする学びです。これは後の計算や数量理解の土台になります。私がお勧めするのはいつも実行できる場所で、先ずは10までの数を2歳までに言えるようにし、徐々に数を増やしていくことをお勧めします。
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