提案『発想力の要素 No.2 組み合わせる力』

先週の提案『発想力の要素 No.1視点を変える』(記事はこちら)に続き、今回は4つの要素の2つである『組み合わせる力』について解説を行います。この組み合わせる力は環境の中で子供達が刺激を受けた点と点を繋げる力のことで、それまでに多くの蓄積があればあるほど組み合わせる力は豊かに働きます。多くのことに興味や関心が働き、好き嫌いが無く、なんでも受け入れることが上手な場合はかなり長けた力を発揮すると言っても過言ではありません。多くの発想はこの組み合わせる力が決め手になります。

2、 組み合わせる力(異なるものを繋げる)

「組み合わせる力」は、ゼロから何かを生み出すというより、すでにある要素同士を新しい形で結びつける力のことを指します。実は発想の多くはここから生まれます。組み合わせといっても具体例を挙げると無限に出てくるのでキリがありませんが、構造的に分解すると子どもがやっている「組み合わせ」は主に3つです。その3つとは「遊びやルールの組み合わせ」「異なる分野の組み合わせ」「目的と手段の組み替え」です。それでは具体例を上げながら説明します。

① 遊び・ルールの組み合わせ

この遊びとルールの組み合わせは、既存の遊びを混ぜて新しい遊びへと変化させるタイプです。かなり典型的で、発想力のある子はルールを素材として扱うので色々な場面で繰り出されている方法です。例えばふつうの鬼ごっこは鬼から逃げる、鬼が追うだけのルールですが、そこに新しいルールを加え発展させることを行う場合がこの組み合わせの力です。例えば私が子供の頃にしていた発展形の鬼ごっこは、鬼に捕まりそうになったら地面に触れるとセーフになるという鬼にとっては地獄が続く鬼ごっこをしていました。このようなルールで身につく力は瞬発力(急加速)、判断力(どこに逃げるか)空間認識などですが、それよりもそのルールを更に複雑にして発想を鍛えつつゲームを楽しむ力がつきます。昨今は外遊びも限られ、なかなかこのような遊びができていないようですが、幼稚園の園庭を利用して、または公園でお友達同士このような遊びとルールを組み合わせて遊んでほしいと考えます。



② 異なる分野の組み合わせ

「異なる分野の組み合わせ」とは、もともと別々に存在していた知識や仕組みを掛け合わせて新しい価値を作ることです。一言でいうと、「AとBを足すのではなく、A × Bで別物を作る発想」です。異なる分野の組み合わせとは、別々の世界の知識を混ぜること、また前提の違いを利用すること、そして新しい価値・仕組みを作ることです。そして本質は「すでにあるもの同士から、まだないものを作る発想」です。一見関係なさそうなものを繋げることを行いますが、関係ないもの同士を結びつけるほど面白くなる結果が生まれます。

子供の発想力における「異なる分野の組み合わせ」とは、子供が持っている別々の経験・遊び・知識・感覚を混ぜ合わせて新しい見方や遊びを作ることなので、とても自由に感覚的なものを作り上げてしまいます。例えば私が見たものだと恐竜の病院ごっこというものがありました。単なる病院ごっこでは無く、病院という現実社会を恐竜の知識を用いて想像を物語に活かし会話力を発動し、異なる分野を組み合わせ遊んでいました。私が今でも忘れられない子供たちのやりとりがあります。「ティラノサウルスの注射器はどのくらいの大きさにする?」「新幹線の1車両位でいいんじゃない?」「象の注射器はものすごく太くて頑丈なんだけど、恐竜はもっと皮膚が硬いんじゃないのかな?」などという子供たちの発言です。このような発言が出てくると大人が手助けやヒントを与えずとも自由にさまざまなことを掛け合わせながら進展していきます。



③ 目的と手段の組み替え

子供の発想における「目的と手段の組み替え」とは、「本来の使い方や目的を固定せず、別の目的に使ったり、別の方法で達成したりすること」です。例えば私たち大人は段ボールを荷物を入れるもの都限定した考え方で過ごしていますが、子供は段ボール自体を箱としての限定をせず、秘密基地や家として活用したり、高いところのものを取るための脚立などの道具として活用することがあります。つまり本来の使い方ではなく、一つの手段に複数の目的を与えることが自由発想で行うことができます。

また高い所の物を取るために大人は脚立や梯子を使いますが、子供は身近にあるものを積み重ねたりします。例えばクッションを積んだり、おもちゃ箱の上に乗ってみたり、明らかに届きそうもないのにジャンプを繰り返したり、兄弟や友達を踏み台にしたりと「目的に対して手段を固定しない」形で行動を起こします。これが目的と手段の組み替えです。

この思考プロセスはいろんな経験をし、知識を持っている必要があります。また固定概念に縛られず自由でなければなりません。つまり何かを見たときに「あれと似てる」「一緒にできるかも」と連想することが求められ、特に共通点や繋がりを見つける考え方が必要不可欠です。



《この目的と手段の組み替えがなぜ重要なのか》

少し現実的な話をすると、新しいアイデアの殆どは「組み合わせ」でできています。「目的と手段の組み替え」が重要なのは、「当たり前を疑い、新しい可能性を生み出せる力」に繋がるからです。これは子供の遊びだけでなく、将来的にみても問題解決や学習、人間関係などあらゆる創造的活動の土台になります。

人は経験を積んで大人になれば目的と手段を固定してしまいます。これは効率的ですが新しい発想は生まれにくくなります。また組み替えができると「別解」が見え、一つの方法に縛られない問題解決力が育ち、アイデアを出し続けられ、工夫ができ、創造的な発想が強くなるからです。



《子どもにどう現れるか》

組み合わせる力がある子は物事を面白がる傾向が強く出てきます。また遊びのルールをどんどん変え、一つの遊びを複合的に発展させる傾向も出てきます。そして物の使い方が独特で本来の用途にこだわらないのも大きな特徴で、1つのおもちゃをいろんな遊び方で使うことも増えてきます。その他に急に話が飛んで一見すると「まとまりがない」と見られることもありますが、実は頭の中では活発に別の情報と繋がっている接続が起きています。子供の発言の不可解さに気付かれる場合にはこのような事が生じてる場合があります。よくよく子供の話を聞いて絡まった紐を解くように話を聞いてあげると子供の頭の中で繰り広げられていたことが明白になることもあります。

ここまでの話をすると我々大人は子供自身に「自由にさせれば勝手に組み合わせ力は伸びる」と思いがちですが、それだけではその力は弱いと言わざるを得ません。なぜなら、組み合わせに必要な材料となる経験や知識が少ないと組み合わせようがないからです。つまり色々な遊び、体験、絵本、図鑑、会話からの刺激となるインプットがあって初めて組み合わせ力が豊かになるのです。

また家庭でできる関わり方も伸ばすポイントです。例えば子供が1つのことで遊んでいるとしましょう。「それと他に何か組み合わせて遊ぶことができる?」と聞くことや「別の使い方がありそうじゃない?」と問いかけたり、子供が面白い組み合わせで遊んでいる場合にはそれをを否定しないこと、「変だよ」と声をかけるのでではなく、「どんなルールなの?」と聞くだけでかなり伸びます。

ご自身のご家庭でいかなることがなされているのかをお子さんを通して観察してみると、組み合わせる力が発動されているかがお分かりになるでしょう。

Baby教室シオ

ほんものの学び。今必要な学び。乳児期から就学期までを総合プロデュースする沖縄初の乳児のためのベビー教室です。