提案『花火の化学』

先週の提案『花火の仕組みを学びに』(記事はこちら)を受けて、今回は子供達に花火の化学を伝えるための記事を書いていきます。私も子供達の「なぜ?」「どうして?」「どういう意味?」「わかんない、ちゃんと説明して」には悩まされたものです。中学生や高校生に花火に関する「化学」とは何かを説明するのは比較的容易なことですが、幼児に火薬が燃焼・爆発するときに起こる化学反応やそれによって生じる光・熱・音・色を利用するのが花火だと説明しても、なんのこっちゃ分からない状況になってしまいます。何も知識がない子供達に分かりやすく話すということはかなり難儀な仕事です。その難儀さに切り込んでいけたら子供の好奇心や興味に多くの刺激を与えることができますが、切り込む勇気が無いまたは時間がない、面倒だなと思った時点で・・・というのが子供の能力の差に繋がってしまいます。今回は親御さんがお子さんに『花火の化学』について説明しやすくなるコツを記事にしてまいります。

その前に、幼児教育では「正解を教える」より「気づかせる」ということが重要であるということを何度も記事にしてきましたが、この『花火の化学』においても同じことが言えます。特に大切なのは、見る → 驚く → 考える → 言葉にするという流れを踏んでいくことが子供の理解を順調に進める公式です。では早速本題に入っていきましょう。


花火における「化学」とは、火薬が燃焼すること・爆発するときに起こる化学反応と、それによって生じる光・熱・音・色を利用することであることを念頭に置いてください。ただこのようなことを子供に伝えても理解することはできません。幼児に先ず伝えることは「燃焼反応」を見せ体験させることから手始めに行います。私は「燃焼」という言葉は確りと伝えましたが、幻想記号や化学式などは初期の段階では教えていませんでした。それよりも「ものが燃えるとどうなる?」という体験から入ることをお勧めします。

1、花火に繋げる言葉の引き出し

幼児に「燃焼」から「花火」へ繋げることになりますが、先ずすべきことは、「花火って何がすごいのか」を考えさせることから始めます。くれぐれもいきなり「花火は燃焼反応だ」と説明することのないようにしてください。つまり何かを教え込もうとする働きかけではなく、自由に「花火ってこんなもの」という感覚を子供に言葉にしてもらい、そこから花火の学びに繋げることが重要だと考えます。

「花火ってどんなもの?、何が見える?」の問いかけからから始まり、子供が「大きいよ」「赤いよ」「ドーンって音がする」「火みたい」などの発言を確りと拾い上げて学びに生かしていきます。あまり言葉が出てこない場合には、「何色がある?」「どんな形に見える?」「どんな音がする?」などと声をかけて言葉を引き出してあげましょう。そして花火体験をさせてあげると「どうしてピカッと光るのかな?」などの思考への働きかけが生まれてくるようになります。ここで重要なことは子供が自由に話してもらうためには、絵本などを活用することも必要ですが、何よりも花火近いに出掛けその場に身を置いて、自分の目で見て音を聞いて体験することです。



2、燃焼反応

「燃える」を身近なものとして体験させます。私はろうそくに火をつけて炎を見せることから始めました。ろうそくは「溶けるでは?」というご意見もあるでしょうが、ろうそくは「溶ける」と「燃える」が同時に起こります。そしてものが燃えると熱くなり、明るくなるので花火に結びつけやすい材料です。またこの燃焼実験は夜に行うことをお勧めします。

ろうそくに火を灯して「ろうそくはどうなっている?」「炎は何色かな?」と視覚で押さえ、火傷に注意しながら炎に手を近づけて「あったかいね」と温度を感じさせ、「火が消えたらどうなる?」と問いかけ、燃焼反応の特徴である熱をもつこと、明るくなることを導き出せるように導いてあげます。結論を言うと、幼児にとって燃焼反応は、「ものが燃えると、熱くなったり、明るくなったりするんだよ」というくらいの表現で十分なのです。



3、燃えるためには空気(酸素)が必要

「火には空気(酸素)が必要」を体験させる必要もあります。この実験でも子供の「空気って何?」「酸素って?窒素って?二酸化炭素?アルゴン?」などの質問に追い込まれた経験がありますが、好奇心が旺盛な場合には専門用語は1つに絞り働きかけをすることが必要です。私が追い込まれた原因は、「空気の中には酸素以外に窒素が多く占めていて、その他にも二酸化炭素もアルゴンも水蒸気もあるんだ」と自分の知識を子供にひけらかそうとしたがゆえの大ピンチでした。空気という言葉と使っても良し、シンプルに空気の中の酸素がと説明しても良いでしょう。子供の中にはあっさりと多くの専門用語を受け入れる場合には伝えても良いかもしれません。

その上で安全に管理できる環境の下、ろうそくなどを使って「火が空気を必要としている」ことを実験し観察させると燃焼の基本的な考え方に繋がります。ただ空気(酸素)というものが目に見えないので、子供にとってはろうそくに火をつけただけでは酸素を確認することができません。そこで使用したのが仏壇の蝋燭消しでしたが、消える瞬間が見えないということで、コップと皿、蝋燭を準備し実験を再度行いました。この実験を理解するためには、子供に「ものを燃やすためには酸素が必要=空気の中に燃焼を助けるものがある、酸素がなければ火は消える」ことを火の変化から考えさせます。

上記のことを経て、「燃えるもの + 空気(酸素) + 火 → 熱や光を出す」という簡単な図にします。ここで初めて「酸素」という言葉を紹介しても良いかもしれません。そして「空気の中には、燃えるのを助ける『酸素』というものがあるんだよ」と伝えると良いでしょう。



4、体験と思考で「火」と「花火」の共通点と相違点を見つける

体験と思考を繋げるという視点では、幼児に「火を見せて、花火を見せる」だけで終わらずに、両者に共通する点を子供自身に発見してもらうことが大切です。実際に「火を体験する」→「花火を見る」→「似ているところ・違うところを考える」→「自分なりの疑問を持つ」→「少しだけ科学的な説明を聞く」という構成にすると、幼児にとって「体験」と「思考」が自然に繋がりやすくなります。この項目で子供達に伝えることは「似ているところ・違うところを考える」ことです。ろうそく と花火に共通することは、「 燃える」「光る」「熱が出る(蝋燭は暑くなる)」ですが、異なる点は花火は「いろいろな色がある」そして「大きな音がする」が、火にはそのような現象は起きないということです。ここから「ろうそくも花火も、ものが燃えることで光や熱が出るんだね」と言葉をかけます。幼児にとってはこの「同じところを発見する」ことそのものが思考の始まりになるのです。



5、「相違点」からさらに思考する

実はここで大切なのは、「花火にはいろいろな色がある」と教えることではなく、「なぜ色が違うのだろう?」と子供自身が考えられるようにすることです。

幼児の場合は「比較→疑問→予想→確かめる」の流れが効果的で、共通点だけでなく違いに注目させることも思考を深めるためには重要なことです。例えば、私が子供に働きかけたのはろうそくに火をつけることと、幾つかの手持ち花火を使用して色の違いを見せました。そこから「ろうそくはオレンジ色っぽいのに、花火はどうして赤や青や緑、ゴールド、シルバーなどの色になるのか?」と言葉をかけ思考を促しました。そして「燃える」という現象は全て同じ色ではないことに気づかせる必要があります。この相違点に気づくと次の項目の「色の違いはなんだろう」という思考に移行できるのです。



6、花火の色の秘密

全項目の「相違点」からさらに思考するを経て、ここから花火の色の違いはどのようにして生まれているのかを考える段階に入ります。ここで私の失敗をもう一つ記載しておきます。「花火の色は元素で決まる」と子供に伝えてしまい、「元素って何?」「炎色反応って何?」という具合に幼児にとっては理解し難い専門用語を口にしてしまったのです。花火は単に色のついた火を燃やしているのではなく、金属元素が熱せられたときに出す光を利用して、夜空を色鮮やかに彩っているなどと説明しても理解できないのが幼児期です。ですからシンプルに「花火には、燃えるといろいろな色の光を出すものが入っているんだよ。」という説明で十分理解ができます。「元素」「電子」などを詳しく説明する必要もなければ、学問を教え込もうとする必要もありません。当時は私も子供達に教えるという点では青二歳だったのです。勿論、「花火の色は、金属元素が加熱されて光を出すことで生まれる」ということを教えても構わないとは思いますが、その場合にはストロンチウムが赤、バリウムが緑、銅が青、ナトリウムが黄色、カルシウムがオレンジ、マグネシウム・アルミニウム・チタンが白いなどの実体験が必要だと考えます。しかし一般家庭ではその対応は難しいと言えますが、実験できるなら行なっても構わないと思います。

今回は花火に関する化学についての提案記事かしましたが、花火の光と音については物理学の領域になるので次の記事になります。



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