絵本『めうしのジャスミン』

このロジャー・デュボアザン作・絵、乾侑美子訳の絵本は、私が子供の頃に好きで読んでいた英語版の絵本です。少し調べてみると1973年に発表された作品で、日本では1996年に童話館出版から刊行されたようです。当時の日本ではなかなか見かけない作品で、ピンク色のジャスミンに心奪われたのがこの作品との出会いでした。


あらすじは、めうしのジャスミンがある日、羽飾りのついた素敵な帽子を見つけ、気に入ってかぶります。ところが、周りの動物たちは「牛が帽子をかぶるなんて」とジャスミンをからかったり、悪口を言ったりします。それでもジャスミンは気にせず、自分の好きなものを大切にしていく内容です。この作品を読んでいた当時の私は、日本人特有の容姿もさることながら、癖っ毛の髪の毛のことで心無いことを言われて悩んでいたのですが、それを察知した母が与えてくれた作品でした。この絵本の重要な部分である「人と違っていても、自分らしくていい」ということをユーモラスに、そして説教的なことも深刻さもなく描いているところが、私の心を救ってくれたものでした。ジャスミンが周囲の動物たちの反応に動じない姿は、「とても凛としていて格好いい、私もそれで行こう」と決めた私にとっては、かなり自分自身の確固たるものが構築されるきっかけになったと言っても言い過ぎではありません。

当時はあまり深く読み込んでいなかったような「ジャスミンを否定していた動物たちが、だんだん帽子をかぶり始める展開」に親になって初めて気づいた面白もこの作品の見逃せない魅力でもあります。

色の鮮やかさや絵の線の美しさも視覚的に満足させてくれる作品です。動物たちのコミカルな動きやジャスミンを批判していた動物たちがこぞって帽子をかぶリ始める様子には、思わず吹き出してしまいますが集団心理も見え隠れしてなんとも滑稽に見えてしまいます。

「みんなと同じでなくても大丈夫」「みんな違ってそれで良い」「自分の好きなものを大切にしよう」「人の目を気にするよりも自分の心に正直に」というメッセージが読み取れ、子供も大人も楽しむことができるお勧めの絵本です。

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