絵本『怪物園』

奇妙な怪物たちの姿が表紙の不思議な絵本、思わず手にしました。

そっと開いて見ると私の眼を釘付けにした美しい中表紙からこの絵本の物語は始っています。

「はるかいにしえの時代から 怪物園はたくさんの怪物たたちをのせて・・・」

発行されたのは2020年12月、まさに世界中が新型コロナ感染症に翻弄され今も続く最中。

うっかりと玄関口を開けたままにしていた間に、怪物たちが外界へと抜け出してしまいます。

まるで日本の説話に登場する百鬼夜行のように怪物たちが街中を行進しています。

外で遊べなくなり退屈をした子供達がダンボールをバスに見立て空想の世界へ旅立ちます。バスが気球になり、船になり・・・厳しい状況を楽しさに変える無邪気さが描かれています。

コロナ禍を髣髴とさせるストーリーで奇妙な空想の世界が現実とオーバーラップし、怪物たちが消え静まり返った街中に立つ子供達の姿に自分自身を投影してしまいます。こんなにも絵本に自らの思いをのせて心から何かを願うのは初めてでした。

この絵本から何を学ぶべきなのかあれこれと考えてしまいます。子供たちの逞しさ、人間の浅はかさ、無知さ、世界中が混乱に陥った原因や今後どうすべきか、これまでの価値観が通用しない世界と新しい世の生まれ変わりのヒントを探して、仕切り直しの生活を模索する日々がまだまだ続きそうですが、子供達が目を覚ました朝「今日はお外で友達と遊ぶんだ」「おじいちゃんの家に行くんだ」「家族旅行なんだ」と何の縛りもなく自由に動ける日を実現したいと渇望すらおぼえます。

絵本はシンプルな内容からを深く考察させてくれます。子だけのものではなく大人の心の内も深く揺さぶるような大きな底力があると再確認する絵本でした。皆さんも一度読んでみて下さい。

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