絵本『ながいながい骨の旅』

今回取上げる絵本は次世代に残したい絵本として2019年児童福祉文化賞を受賞した『ながいながい骨の旅』

地球の誕生から現代までを骨の旅を通して見つめ直す感動の科学絵本です。読んでみると幼児にとっては一見難しい絵本ですが、親子で読み進めると大変読みやすく複雑な内容も理解しやすい絵本でもあります。

それでは骨の旅に出掛けることにしましょう。


むかしむかし・・・・、ずうっとむかし。その言葉から始る骨の旅はまず地球の誕生が描かれ、大人にとってはどろどろに溶けたマグマに覆われていた地球の誕生を改めて確認することができ、子供にはマグマという言葉も新鮮で、その状況を火山に見立てて話すとものすごい驚きがあるようです。

見開きごとにシンプルな線描と色彩、そしてその時代の主要な説明が簡潔に書かれており幼児でも理解しやすいと思います。

長い時間を掛けマグマが冷やされ、やがて雨が降り続き海ができ、そして単細胞生物が誕生します。あらゆる生物の誕生が海にあることに子供は驚き、不思議な生物の姿形に魅了されていきます。「単細胞生物って何?」という会話でアメーバー・ミドリムシ・ゾウリムシ・ハネケイソウ・ミカヅキモなんてワードを出して語彙刺激ができるかもしれません。

単細胞生物から多細胞生物のページではとても美しい姿が次のページに描かれ、生物達が更に進化を遂げるために海との関わりが描かれ、爆発的な生物の出現が描かれ背骨らしきものの出現へと進みます。


海の中で誕生したそれぞれの生物が環境にあわせて進化し、骨を持ち生活の場を海から川へ移す中で海の中で生活していた生物達は骨の中にカルシウムを貯め、カルシウムの少ない川での生活に適応していきます。

川で生きていた生物は胸びれを前足へ、腹びれを後ろ足に変え陸に上がります。これがカエルやオオサンショウウオになる話に子供はやっと現実に出会えたような表情で、ますます絵本に引き込まれていきます。


気の遠くなるよう生物の進化を繰返し骨は身体を支えるものとなり、内臓を守り、血液を作る工場になります。

人間もその進化を辿り、受精卵はえらや尾のようなものができ魚のような形になり、腕や足が伸び手足に水かきのようなものができ、イモリや亀のような形を経て人間らしく成長します。また羊水は原始の海の成分とよく似ていることや胎児のときに水かきらしいものを持っていたことに子供達は驚きを隠せません。

時系列を追って繰返し読んでいくうちに少し難しい言葉を覚え、そして得意げに覚えた言葉を使い会話を楽しんでいきます。


この内容を知識として捉えていたことが「自分とはなんだろう」ということを考えながら人類の壮大な歴史を辿り、人類が誕生して海に起源を持つあらゆる生物との繋がりを感じ、自分の命も尊くかけがえのないものであり、奇跡であることを考えながら地球規模で色々な考えを持てる人に成長する選択肢を与える絵本であろうと思います。

絵本を読む前にこのようなことに興味が無くとも、繰り返し読むことですんなりと理解できる1冊である事は間違いありません。この絵本と生物便覧があると更に興味の幅を広げることができるかもしれません。一度お読みになるとよろしいかと思います。




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