『ハーランド・ディヴィッド・サンダース』

『ハーランド・ディヴィット・サンダース』今回取上げる偉人の名である。馴染みの名は『カーネル・サンダース』こう言えば納得だ。カーネルとはケンタッキー州から贈られた大佐という意味の名誉称号である。

彼は言わずと知れた苦労人。65歳で成功するまでに職を40以上も変え、浮き沈みの多い人生であった。今回は彼が如何に厳しい状況から何度も立ち上がることができたのかを紐解き、その理由を子育てにどう活かすかを述べていくことにする。

1890年9月9日インディアナ州に3人兄弟の長男として生まれる。しかし5歳で父を亡くし母が農場に働きに出て生計を立てる。生活は大変貧しく、仕事を掛け持ちする母の代わりに弟と妹の面倒や家事を彼が担うことになった。

実はこの頃に料理に目覚めている。農場で働く母の昼食にと彼が焼いたライ麦パンが農場の人々に気に入られ、このことがきっかけでもてなす事への喜びが目覚めたと後に語っている。

また母を助けたい一心で10歳から働きに出た農場では動物を追いかけ仕事をクビになるという子供らしいエピソードが残っている。幼気な子の母に対する思いが胸を打つ話である。12歳の時母が再婚するも義理の父との関係が上手くいかず暴力を振るわれ家出した経験や14歳で学校を辞めてからは職業を点々とすることになった。

彼の成功の裏にはこの子供期に人生を決定付ける2つのことを身に付けたことがある。

1つめ・・・料理好きという自覚と人をもてなすという喜び感じること

2つめ・・・母のため弟妹のために働くこと(誰かのために働く)

この2つは彼についての著書を読めば分かる。例えば朝5時にスタンドを開け夜の9時に閉めた後でも客のメンテナンス依頼に応え働き、食事をするところが無いと客が言えば食事を提供する店を開いた。どこにでもあるようなメニューだったがその料理は丁寧に作られ人気を博した。これは幼少期に感じたもてなしの喜びが形となり、現在のフライドチキンの原型である。

また工場で働いたときに事故で負傷した仲間のため治療費を求め立ち上がり、会社から負傷者に対し治療費などを支払われたものの、運動を扇動したとし会社から追い出された。

持ち前のサービス精神と我慢強さで上手くいっていたスタンドやレストラン経営もバイパス建設で交通量が減り、世界大恐慌や大干ばつの影響で農家のガソリン代の未徴収、カフェの火災により店は倒産。65歳の彼は再起をかけフライドチキンのフランチャイズビジネスに挑んだ。アメリカ全土を車で回り飛び込み営業をかけたが、彼の言葉に耳を貸す者は少なく1009回もの「NO」突きつけられた。

これだけの逆境を味わうと心折れそうなものだが、彼には幼い頃に獲得した自制心と失敗にも臆さない我慢強さでこの逆行に立ち向かったのである。

実はこの我慢強さと自制心いついては、マシュマロ実験といわれる幼児を対象とした実験が行われ、追跡調査がなされている研究報告が有名である。

結論からいうとこの我慢強さや自制心の高い子ほど大人になってからもその傾向が強く、自制心が働かなかった子供ほど問題行動の確率が高いことが分かっている。

逆境から立ち上がる力は幼少期の我慢強さと自制心に関係しているが、それを身につける最善の方法は躾であることはいうまでも無い。

子供は楽しいと思えることは続けたい、嫌だと思うことや面倒くさいことはやりたくないものである。しかし社会に出て好きなことだけをするということは許されない。人間は何かしら気持ちに折り合いをつけながら行動して社会生活に参加するものだ。


ではこの我慢や自制心はいつからトレーニングするのか。それは1歳過ぎからである。例えば母親の使用するペンを子供が欲しいと要求すれば、「これはママのだから渡せないよ」と伝える。これまでの受入れの行動の一部を選択権を親が握るのである。子供が秩序性学ぶ発達段階では後片付けや食事や就寝時間を守らせたり、身支度をできるようにし、2歳で指示行動を増やし、3歳でお手伝いを通し人のために働くことを学ばせる。人のために働く、手を貸すという行動は自分自身の行動を自制し我慢しなければならない。


我が子育てでは子供が楽しそうに遊んでいる頃合を見計らい、敢えてお手伝いを頼んでいた。好きなこと楽しいことを実行中はかなりの確立で「えっー」「今遊んでるの」「やだー」と返事を返していたが、遊びを中断して来た時こそ褒めちぎると飛んでくるようになった。

自分自身がしたいことを自制し中断することで我慢力が芽生え、誉められると更にやる気が沸き人の役に立てたという喜びが育ってくる。この2つのトレーニングは早ければ早いほど良いとされ、多くの成功者の幼少期にその片鱗が見えるといわれている。またそれと同時に子供が失敗を怖がらず、また失敗で心が折れないように導く寛容さが親には必要である。何度失敗しても物事にチャレンジする強さを親の励ましによって獲得できる環境を作らなければならない。


カーネル・サンダースの人生は成功者の中でも上がり下がりの激しい人生であり、普通の人間ならどこかで早々と諦めていたに違いない。貧しい環境が彼を我慢強く、人のために尽くすことを育てたといえ、そして母を思うやさしい気持ちが食を通して人を幸せにする企業理念に通じ世界へと広まった。

彼から学ぶことはどんな困難にあったとしても人生はいつでもやり直せることを教えている。私達親は子供に強く逞しく優しくあれということをカーネル・サンダースの人生から学び子育てに活かしたいものだ。





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