絵本『まどのむこうのくだものなあに?』

とても写実的な果物を描いた絵本、読み終えた後は甘い果物と渋めの紅茶をいただきたくなります。これまでにカラヴァッチョ、アルチンボルド、ラトゥールなど多くの画家が美しい果物を描いてきました。そしてその絵画を上回る精密さで書き上げた絵本の世界を覗いてみましょう。

福音館書店から出版された作品です。

乳児の頃から子供は穴を見つけると指や手を入れることを行い、指が入らないと覗き、物を入れては中を確認をします。とにかく穴が大好きなその発達を上手く活用してものに注視させるこの絵本は子供心をくすぐります。

名詞のインプットで果物カードや絵本に触れ、実際の果物を手にし食するなどで認知が進むと果物の一部を見て何かが分かります。ゆっくりとした数秒の時間を子供のペースにあわせて捲ることで、次ぎのページを捲ってという子供の小さな変化を発見し、最大級の好奇心へと搔き立てる事ができるでしょう。


ページを捲ると果物の全貌が描かれています。

作家さんのすごさをご覧いただきましょう。

植物に生える細かな毛状突起(トライコーム)が描かれています。イチゴ狩りに行くとこのようなトライコームを葉や茎、実にも見つけることができ、この毛はなんだろうという疑問に繋がりやすくなります。経験から生まれる気付きは尊いものですが、その逆でこの絵本からという場合もあるでしょう。

「これは何だろう」という疑問から「どうして生えているんだろう」「調べてみよう」へと繋げることで新たな学びを広げることができます。

虫や寒さから葉や実を守る、雨水を早く流す、強い光や強風から守るためなど植物の世界を知るきっかけとなることでしょう。

1つの果物の最終ページは縦横の断面図になっています。断面図は一つの果物に付き1種類というのが少々残念ですが、その残念さを実際に見てみたい、ならば切ってみようという考え方で体験することが新たな学びや発見をするチャンスなのかもしれません。

特定のものに注視し、予測し、確かめることを繰り返しながら、親子でゲーム感覚で読み、子供一人、兄弟姉妹と友達同士で覗き込む楽しさがある絵本です。この絵本を読んだ後に野菜ならどうかな?ケーキやお菓子、鉛筆に時計・・・いろいろなものの断面を想像することに夢中になるかもしれません。


荒井真紀さんの緻密で繊細な世界観は『あずき』『いちご』『あさがお』『ひまわり』『たんぽぽ」『チューリップ」でご覧いただけます。一度お手にとってご覧ください。


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