提案『運動(微細・粗大運動)獲得時期』

0歳から6歳までに身体全体から指先までの運動を獲得させるタイミングをしっかりと見抜きましょう。冒頭に申し上げておきます。子供達の発達に於いて最良の時期(タイミング)での働きかけにより効果的な能力の獲得ができますが、それは二度と起きることのないものや後付けの促しもできますが効果が限定されるもの、または差ほど効果が期待できないものがあることも認識しておきましょう。それでは今回は運動にまつわる話です。

運動には大きく分けて微細運動と粗大運動の2つがあります。

微細運動とは手や指を使い細かで精密な動きを行う運動のことを指します。自らの手でものに触れ・掴み・摘み、やがて道具を手にしてボールを投げ・積み木を積み・絵や字を書き・箸を使い・ボタンなどの扱いで身支度ができるようになります。では子供の特徴的動作を例に考えてみましょう。


微細運動

1、ティッシュを箱から引き出す。

生後9ヶ月頃になると親指と人差し指でものを摘むピンセットつかみを行い、夢中で箱の中から器用にティッシュを摘んで取り出します。これは明らかに指2本の動きを楽しみ器用さの獲得のため反復しています。この2本の指使いが指の運動の土台となり、さらに複雑な動きの3本指の使用を獲得できるようになります。もしお箸を上手く使えない場合の躓きはこの乳児の頃に2本指の獲得がなされていないでしょう。大人で箸の使い方が怪しい方が乳児期に戻り指使いを練習しますか?きっとしませんね。その土台なくして成長するとやはりどこかに無理がくるのは仕方の無いことです。

箸を使う日本の文化に感謝しつつ子供の指使いを十分にさせ器用さを獲得しましょう。


2、棒を持ち歩く

1歳過ぎになると棒を手にいろいろな動作を行います。手や指の器用さを獲得して棒が手の延長にとなり、自分の思い通りに動かして手の届かないところへ意識を向ける動きを行います。手と道具の一体化が進みます。棒を振り回すことが心配でならないというお母様もおいででしょうが、棒の先の不安定な動きに意識を集中して行動を起こしているのは単に手の動きを獲得するためだけではありません。そこには指先から伝わる感覚を捉えようとしているの重要な発達なのです。安全面に注意を払いながら実践させて上げましょう。



次に粗大運動とは姿勢を保ち全身を使って歩いたり走ったり、ジャンプしたりバランスを取りながら自分の思い通りに動かす運動のことを指します。

0歳から2歳半までは基本的な身体の動かし方を獲得する粗大運動の時期です。乳児の頃は手足を自由にばたつかせ身体を捻じりながら寝返りを打ち、ずりずりと這い、腰を伸ばして座り、腕足共に力がつきハイハイに繋がり、掴まり立ち伝い歩きをし歩行に繋げていく初期の粗大運動を経て、2歳半から4歳ごろは歩行、走り、バランスを取り飛ぶなどの日常運動が行われる中期の粗大運動になり、やがてスポーツや遊びの中で幾つかの身体部を同時に動かし、強い思いなどから無我夢中で行う高度な粗大運動を行うようになります。

粗大運動

1、手足を使い歩行を楽しむ1歳児

基本的な身体の使い方を獲得し歩くことが楽しい時期。色々なものをいじり回し、アーチを見つければくぐることや回るを繰り返し、なだらかなスロープをひたすら往復したり、ばねのきく柔軟な身体を使って発見の喜びと驚きを獲得しています。


2、1歳半からの『・・・したつもり』遊び

段差を利用して跳んだつもり、跨いだつもりなどのつもり運動が現われます。イメージしたことを身体で体現しようする運動ですが、上のお子さんがいるご家庭では高い所から跳ぶ様子を見て、足の屈伸を利用したような上下運動が見受けられるようになり高い所や段差に興味を持ち始めます。


3、協応動作が出てくる2歳児

自分の思い通りに身体を動かし思い描く行動が取れるようになる時期です。例えば三輪車に乗り進行方向を見極め、ハンドル操作をしペダルを漕いで好きな方向へ進むことができる協応動作を獲得する時期です。身体のコントロール優先の時期でもあり走っている最中に止まれと言われてもコントロールが難しいもので危機回避ができません。我が子も木馬に乗り前後に揺れる事が楽しいあまり反動をつけすぎて木馬から放り出される経験を持ちます。親としてはハラハラとする時期でもありますが、多少の怪我をしてでも同時に幾つもの動作を同時にするような運動をさせましょう。幼稚園で跳び箱が上手く飛べないお子さんはこのような協応動作の獲得が2歳児以降になされていないのかもしれません。

4、全力投球3歳児

一生に一回の遊びの全力投球期を迎えます。運動神経に磨きをかけたければこのタイミングは逃してはいけません。

広い場所に行くと親の静止が効かない程走り回る子や毎日水遊びを全力で行う子、わけの分からない踊りでエネルギー発散をしているなど大人の目から見て「どうしてそんなにパワーが漲っているの?」という状況にあるのがこの全力投球時期です。無我夢中の全力投球は男の子に現われる傾向が強く、発達ですから無理に抑えようとしても収まるものではありません。特に活発な成長をしてきたお子さんは怒涛の遊びが繰り広げられるので親は体力の温存と強化が必要です。私もこの時期はこどもが服を汚すこと、怪我をすることを承知の上で常に直ぐに対処できるようにリックを背負って行動していました。どろんこになったって、小川や池に落ちたっていい、大きな怪我だけしなければそんな思いで存分にさせました。そのかいあってか運動センスはいいせんいっています。

またこの時期に気に掛けて欲しいのはエネルギーの放出と共に静かな時を持たせる落ち着きの時間のバランスです。大暴れした後は静かに休む、落ち着いて何かを行うなど親の一工夫が求められます。


5、重いものを持ちたがる、力を誇示する

個人差はありますが重いものを持ち、ものの重さと自分の力を確かめ自慢げにアピールする行動が見受けられます。これは均衡感覚の現われです。

また自分の大きく見せようとする行動も見受けられるようになりヒーローになりたがる時期です。今スパイダーマンになりきっている生徒さんがおられます。驚異的な身体能力に憧れているのか、ヒーローへの憧れなのかまだまだ分かりませんが幼心に第三者に自分を投影できるという成長はとても大事にしてあげたいものです。

6、バランス歩行を好む4歳児

線上歩行や幅の細い場所を歩きたがるようになります。これは平衡感覚を身につける発達特徴で、自分の意識化で動かすことができる随意筋を自由自在に動かしてあらゆる動きを獲得しますが、内面からこみ上げる行動の一つであり環境の中から探し出して行動自体が楽しくてたまらないという時期を迎えます。

縁石や石垣の上をでこぼこを歩く後姿は是非成長の証として写真に収めたい発達です。この様子が見られるようになると様々な上を歩く、のぼるなどの行動をチャレンジさせてみましょう。ロープジャングルジムやクライミングネットなど足元の不安定さをどう攻略するかもいい学びになり、全力で自らの力を鍛えていることがありありと分かります。

運動の敏感期はそれぞれの年齢で子供がしたがる時期に存分にさせてあげることが、自発的に学ぶことに繋がります。その時期が終わると波がさぁーと引くように発達が消え、その行動に対する熱量も薄れてしまいます。その後にその行動を取らせようとしても関心がない、そんな素振りとなります。

『鉄は熱い時に打て』冷めてからではのびないし、打つ側の手が痛くなるだけで思い描くような伸び代はできないけれど、何にも働きかけないよりはしたほうがよいかもしれませんが過度な期待はしないほうがいいでしょう。

一番いいのはそのタイミングが来ることを知り、待ってましたと子供の成長をその絶好のタイミングで存分にさせることなのです。

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