偉人『金子みすゞの外向性』

先週の金子みすゞの記事は切なくなる内容であったが、今回は彼女の意外な作品『ふしぎ』から彼女の外向性を考えてみる。

人間は誰しも二面性があり、その二面性のどちらかに偏って出現する。彼女の作品は慈愛に満ち溢れ飾り気もないありのままの心情を綴る内向的作品が多いが、そんな彼女の作品の中でも子供の気持ちを持ち合わせた外向的な作品があり、その作品は瑞々しく大変奥深いものなのだ。

みすゞの作品を通して外向的なものの見方や捉え方を面白がり子育てに活かすべきだと考える。

この『ふしぎ』は倒置法や反復、対句、7音(8音)と5音のリズムからと学習のポイントが詰め込まれており、国語の教科書で取上げられている。詩や俳句や短歌、漢詩なども絵本の読み聞かせに導入しできれば暗唱に繋げると、就学後の国語に親しみを感じながら味わうことができる。我が家では幼稚園の頃に暗唱させながら、ポイントになる場面を簡単なスケッチに画き起こし色塗りをしながら楽しんだ。映像が思い描けるようになるトレーニングにもなるが、何より創造が心象に変化する喜びを味わうことができるのだ。

みすゞの詩は幼くてもシンプルナ表現により理解しやすく、言わんとする内容が奥深く子供の思考を深めてくれる要素がある。

例えば黒い雲からは黒い雨が降りそうだけど・・・、青い(緑)の桑の葉を食べている蚕は緑色じゃないの?誰もこじ開けていない夕顔の花が自動で開くの?なんてことは子供の内面からの気付きが自然に湧き起こる思考を既に持っている子や詩を読むことによりはたと気付ける要素がみすゞのこの詩にはあるのだ。

四連の詩からなるこの作品は一連目が天気の不思議さを詠い、二連目は昆虫の不思議、三連目は植物でここまでは子供の感性がシンプルに働くように育てることが経験を積ませれば容易に理解できる。がしかし最後の四連目がみすゞが読み手に投げ掛けた主題である。

この四連目のみすゞの訴えを親は理解し心に留めながら子育てをすると子育てが大きく激変し、日常が大きな宝の山となり感動の連続に入ることができる。

主題:世の中を見てみるといろいろな不思議が溢れている。純粋な目で心でものごとを見てみると、当たり前なことはなく素敵で感動することがあふれているんですよ。笑って当然のことだと思わず、これって本当に不思議ね、面白いね、どうしてなんだろうという気持ちを持って欲しい。

3歳前後で子供特有のどうして、なぜ・不思議だという外向性的発達が見受けられるようになる。成長と共にこの『不思議だな?なぜ?どうして?』という思考は薄れていく。その発達に親が真摯に向き合えば探究心や好奇心溢れる子供に育つ。みすゞはその外向性を持ち合わせたまま成長し、彼女特有の内向性をもって解釈したのである。

私達大人は日々繰り返させる日常を当たり前として受止めることが多い。しかし子供にとっては日常に多くの発見があり、疑問も生まれて来るのだ。子供の発するなぜなどの返答に困ることもあるが、聞き流さず答えが見つからなければ共に調べ、どうしても分からなければ共に考えるでいいのではないか。しかしそういう向き合い方をせずやり過ごしてしまうのであれば親が当たり前に慣れきってしまっているのであろう。


今回は金子みすゞの内向性と外向性が共存していたことをこの詩で確認し、子育てを謳歌するコツを教えてもらったのである。もし彼女が病に冒されず子供を手元に於いて育てることができていたならば、この純粋な不思議だという感覚をもち楽しい子育てができ、多くの優れた作品を生み出していたに違いない。


誰に聞いても当たり前だということを不思議に思うことが、純粋な目でものごとを見ていることであり、世の中に幸せが満ち溢れていることに充足感を得られるのではないだろうか。

当たり前だと思わずに不思議だ、美しい、素敵だと感じる心を持てとそうみすゞに言われているようである。子供の外向性を育てるためには先ず親がその外向性の獲得と意欲が必要であることは明らかである。

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