提案『音楽鑑賞の薦め』

多くのお母様形が音楽の取組みについてお考えになる場合、演奏するということを重視し習い事を選択しているように思います。音楽は楽譜を見ながら演奏することにより多くの脳の領域に働き掛けがなされ、脳自体を活性化させる効果があることや情操教育に良いとされるのは周知の事実です。よって皆さんの目が演奏を主体とした音楽の捉え方になることは必然なのかもしれません。

しかし音楽を楽しむということは演奏する事ばかりではありません。鑑賞すること=音に耳を傾けるというもう一つの音楽の楽しみ方があります。モーツァルトの再来と言われたカミーユ・サン=サーンスは音に傾聴し、音が減衰することを確認し次の音を鳴らし音感を磨いたといいます。この行動は乳児期の選択的聞く力を養い、その上で音に集中する傾聴を行った音楽家として私は一目置いています。

今回はこの音楽鑑賞が子育てにどのような影響を与えるかについて話を進めていきます。

私も子育て中には思うようにコンサートにでかけることができず、枯渇した音楽鑑賞への思いを子供同伴可のクラシックへコンサートに切替えました。昨今はスマートフォンやタブレットで手軽に交響楽団の演奏を見聴できますが、機械をとしての音には生演奏の醍醐味はありません。しかし音楽的に素晴らしい音色のクラシック自体に触れる機会がないご家庭にはクラシックを楽しむと言う点では必要かと思います。また残念ながら日常生活に存在する音の洪水や良質な音とは程遠い雑音が溢れ、子供達の音を聴く能力の低下が著しいとされています。事実学校教育で音楽鑑賞ができない子供達が増え、鑑賞後の感想をありのまま文章化できない状況にさえあるといいいます。音楽は言語能力にも深く関係していることから、言語能力の向上がなされていない可能性も高いといえます。

音は様々なメロディーを生み出しリズムで構成されているため、音のシャワーを浴びることにより鑑賞する力は自然と向上し、人を癒しストレスを解消し精神の安定をはかってくれます。

しかしこの音楽的能力の獲得は子供の頃に限られています。乳児期の生涯一度の選択的聞く力の獲得と幼児期にどう音楽鑑賞と関わるのかがとても重要なのです。2021年6月7日の音楽の敏感期を記事を参照してください。

演奏会の醍醐味を以下に挙げてみました。

1.静寂の中で臨場感を味わう

コンサートホールでの演奏会はマイクやスピーカーなどは使用されず楽器の音のみで奏でます。そして何より静寂の中で演奏が繰り広げられるため音に集中して聴く最高のパフォーマンスの場であり、臨場感を最大に堪能することができます。お勧めはホールの中央辺りの列が総合して聴きやすい場所といわれています。


2.指揮者や演奏家の動きや表情に注目

指揮者のタクトの振り方も人それぞれです。表情溢れる人やそうでない人、動きが激しい人や流れるような甘美的は指揮、時には汗が飛んでいる瞬間も見えたりします。また演奏家の表情や息遣いを感じたり、楽器から発生する振動を最前列で感じることもできます。もしピアニストの手の動きを見たければ左側の席がよろしいでしょう。2階の桟敷席がある場合には視覚的な変化を楽しむこともできます。


3.アンコールのお楽しみ

多くの演奏家はプログラムに無いアンコール曲を準備している場合が殆どです。どのような曲が演奏されるかは当日のお楽しみです。どのようなアンコールが準備されているのか予測を楽しんでみてもよいでしょう。


4.クラシックマナー

クラシックは肩が凝る、緊張するという方がおいでです。確かに静寂の中の演奏は初めての方はハードルが高いかもしれません。できれば小さなソロンコンサートのようなものからはじめてもよいかもしれません。またコンサートで演奏される曲目の背景や作曲家たちのバックグラウンド、曲を聴き慣れておくこともお薦めします。通の方が会場にいると賞賛の意味を込めた『ブラーヴォー』やアンコールの手拍子など聴衆参加に出会えたる瞬間もあるかもしれません。


コンサートに出かけるばかりが音楽鑑賞ではありません。全くクラシックにご縁のないご家庭でも実践して好きになった方もおられます。子供に音楽を聴きなさいと一方的に伝え、そう仕向けようとしても幼児期に音楽に親しむ経験が無ければ、鑑賞することを身につけることは難しいものです。日頃から音や音楽を心で受け止めて感受することを身に付ける必要があります。甘美で短めな曲から何度も何度も繰り返し聴くことの経験値をあげましょう。冒頭にカミーユ・サン=サーンスを取上げましたので、彼の甘く切ない美しい曲『動物の謝肉祭より白鳥』ををお薦めします。子供の感性に触れているか否かを確かめず、ひたすら美しい曲だと鑑賞してみてください。2021年11月26日(月)偉人『カミーユ・サン=サーンス』の記事を予定しています。ご興味がおありでしたらお読みください。

音楽鑑賞は生活にあっても無くてもさほど困らないものですが、情緒の安定や心の豊かさ、人との会話の広がり、自己の教養の熟成度はかなり高くなります。豊かさは突貫工事的働きかけでは育ちません。じっくり環境を整えて心と耳と目で味わいながら熟成させていくものなのです。

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