提案『おつきみ室礼』

一年で最も美しいと言われる『中秋の名月』に月明かりのもと縁側で月を愛でる素朴な風習のお月見、今年はお月見は9月29日(金)ということです。今回はそのお月見を楽しむための室礼を提案していきます。伝統を守りつつ親子で家族で行事を楽しみつつ、いろいろな発想で楽しめるよう我が家の過去のお月見を記事にしました。




1、親子で室礼を手軽に楽しむ

日本に伝わる多くの伝統行事を親子で楽しむために手軽に部屋の一角を室礼ってみてはどうでしょうか。日本の行事や文化、歳時期を簡単に目にすることができる室礼は家庭の中でそれらを味わい楽しむきっかけになります。手軽に室礼を楽しむ方法の一つはタペストリーや行事絵を一枚飾ることです。たった1枚で一気に雰囲気を出すことができ、毎年飾ることで行事に関するアイテムを視覚認知することができます。我が家では当初子供と共に絵を描いたり工作をし飾っていましたが、成長と共にこの楽しいひと時は少なくなり、いつしか飾り付けはタペストリーに取って代わりました。少し寂しい気持ちもありますがそれでも行事を楽しむ姿勢は持ち続けたいものです。



2、お月見団子を飾る

お月見は秋の収穫感謝を祝い、また来年度の豊作祈願を行うものとされ月見団子を満月に見立てたものです。本来は上新粉や団子粉で作るのですが、子供が簡単に作ることができるとなれば白玉粉で作るお月見団子です。時間が経てば白玉団子も固くなるのでお豆腐を加えることで冷やしても一晩おいても柔らかい状態を保つことができる豆腐入り白玉団子はお勧めです。水で粉を練って千切って手のひらで転がすように丸める微細運動は、幼児期に是非経験させたい動作の一つでもあります。白い餅の中に一つだけ黄色に色をつけてみるのも子供の想像力を掻き立てることができるでしょう。

毎年のことなので我が家では団子実験として黄色い餅を作るためにサフラン、ウコン、クチナシ、食用の着色など色々試しましたが、やはり芋を蒸したものをペーストにしたものが人気でした。お団子が全て芋団子となった年もありましたが今となってはその行事を楽しむ時間が懐かしくもっともっと時間を割いてあげるべきだったと感じています。


また工作的なお月見団子を作るとすれば発泡スチロールの円形を接着して積むと迫力のある団子を作ることができます。最初は家にあるピンポン玉を使用する予定でしたが接着が難しく、幼い子供達にはツルツルと手からこぼれ落ちることに苦戦し、急きょ百均で買ってきた発泡スチロールに変更し、三角錐をどのような形でつい上げていくのかを計算しながら立体構成を楽しんだ作品です。一辺に何個必要でこの形にするためには全部で幾つ必要なのかを図にしたり、いざ作って見ると隙間が多く団子には見えないからどうしたらいいかなど考え作成していましし、その経験がピラミッドの構造に興味を持たせる結果にもなりました。時間も手間もかかり親としては手も口も出したくなり大変ですがさせて良かったと今では思っています。




3、ススキを飾る

お月見団子と共に飾るススキを飾るのは稲穂に見立てていると言われ、またススキの切り口は鋭いために魔除けの力もあるとされていますが、沖縄ではこの時期にススキはまだまだ青々として穂の影も形もありません。年末から年始にかけて見受けられるようになるためこの時期はやはり花屋さんでススキを購入することになるでしょう。先日花屋さんを覗くと西洋ススキのパンパスグラスが売られていましたが、日本のススキは十五夜に合わせて入荷予定とのことでした。写真は昨年生徒さんが行事育の取り組みとして一式をご持参し生けた作品です。ワレモコウやリンドウの名前もこの体験でしっかりと覚えてくれました。




4、秋の味覚を飾る

お月見は収穫への感謝を込めて秋の味覚を飾りますが、行事として理解することのみならず秋の味覚はどのようなものがあるのかを知ることにも繋がります。実のり多き秋を愛でて食して堪能することも経験の一つとしてしみじみと味わってみるのも良いでしょう。




5、発想豊かにアレンジを楽しむ

基本の伝統を守るという本筋から外れないようにいろいろな発想で創意工夫を凝らし工作や料理を楽しんで室礼を楽しむ自由さはあっていいと思います。丸い大きな花瓶を満月に見立てて秋の植物をアレンジし、月の中から可愛いウサギが出てきてこちらをみているという話を表現した作品です。



もう一つは子供たちが昔から好きなフランス風お月様ガレットををアレンジしたものです。皆さんもご存知のフランス語で円く焼いたという意味の名前を持つガレットですが、ハムだのほうれん草だのを載せ中央に卵を落とし、上下左右の端を折り畳んだその出来上がりにに「窓から覗いているお月様」と子供が言ったことがきっかけで、我が家では十五夜の朝はガレットを食すとなった経緯があります。しかしある年お弁当と重なってどうしても朝食に作れず、おやつにしようと考えていたら「アイスクリームが食べたい」ということで急きょチーズをフライパンで焼いてカリカリにしたものをアイスクリームの上にさし、塩っぱくて甘いを行き来するおやつが完成したのです。我が家での芳醇な香りを放つお月様の誕生後暫くして江崎グリコさんからチーザが発売され我が家のチーズガレットが商品になったのでは?となりましたが、よくよく考えてみればチーズ焼きならぬものは皆さん食べていたしなぁ・・・とそんなこんなを懐かしみ再現してみました。

来年は窓から覗いていたお月様ガレットを紹介できればと思います。

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