提案『はさみ使用の薦め』
はさみの取組は年齢判断で行うのは好ましくあるません。身体の成り立ちや可動域について知識のおありになる方はお分かりだと思いますが、人間の身体は上から下、中心から末端(先端)へと発達していきます。安全性に配慮しながら行うはさみの取組みは、肩から肘、肘から手首、手首から指先という流れで多くの道具を扱う経験を実践し、それぞれを動かすことが上手になってからがはさみを扱えるようになるタイミングなのです。ですから身体的条件が整い、安全面に気を付けることができるようになってスタートできるのです。ですからお子さんによっては3歳前でスタートできる場合もあれば、5、6歳になって取組めスタートとなる場合もあり、年齢で括るのではなく子供の発達に合わせることやスタートする為の準備に重きを置くことが必要です。
2歳頃からはさみを使いたがるようになる傾向が出てきたら以下のような遊びや動作を獲得してからはさみのトレーニングに入りましょう。
はさみのトレーニングをする前にしておくと良いこと
1、縄やハンドタオルなどを回す(手首を回す動作)
2、ボールを投げる
3、ジャングルジム、鉄棒で遊ぶ
4、粘土を捏ねる、ホイッパーを使い泡を立てたり物を攪拌する
5、紙を折る、洗濯物を畳む、
6、タッパー容器の蓋を開ける、瓶やペットボトルの蓋を回し開閉する
7、じゃんけんや手遊び歌を行う
8、バナナの皮むき、もやしのひげ根切り、いんげんの筋むき
上記のことを行い身体を整えた後にはさみのトレーニングを行ってください。ここから先ははさみを使用することの効果について話を進めます。
1、手先の巧緻性
はさみを用いての紙を切っていくわけですが、レッスンではその切るものも6つの段階に分けてスモールステップで切る精度を上げていきます。取組んだばかりの頃はなるべく短時間でもはさみに触れる時間を毎日設けることをお勧めします。慣れて楽しいと感じることができれば自ら積極的に紙を切るようになります。切ることが楽しいと身の回りのものをきるようになります。自分自身や兄弟姉妹の髪の毛や稀に配線コードを切る子もいるので切るのは紙だけというルールを徹底させましょう。
2、集中力を磨く
短冊切りには短めと長めの短冊用紙を準備しています。先ずは短めの短冊切りを行っているときであっても視線は必ず手元に残すようにします。上達するとはさみに視線を落とす時間が長くなり、曲線やジグザグやより複雑な図形や図案を切る段階になると集中する時間は自ずと長くなります。多くのものをきることにより上達と同時に集中力も磨くことができます。
3、安全に配慮できるようになる
はさみは刃物であるため扱い方を違えると怪我をすることを認知させ、初めてはさみの取組みに入るときに十分なアナウンスが必要です。しかしスタートしたばかりの頃は目を放さず安全面に気を付けているかを注視し自制心を働かせて切っているかを注視してください。勿論はさみの受渡しの方法や片付けもしっかりとアナウンスし練習もしておきましょう。
4、思考と想像力を働かせる
刃先に視線を落としながら美しく切るためにどうはさみと手を動かすのかを思考しながら行う力を養わなければなりません。そのためには丁寧に切ることを行いながら自由に紙を切る遊びへと発展させることも可能です。また紙を折りはさみを入れるとどのようになるかを想像する遊びも行えるようにします。
5、空間認知力を意識した取組みも可能
七夕飾りなどのように折り紙を折りはさみを入れる遊びや段ボウルや厚紙にはさみを入れながら工作をする遊びで平面的なはさみの動きが立体的なものを生み出す変化に遭遇できます。工作が好きになるかどうかもこのはさみの遊びも影響します。是非ものを生み出す喜びを味わってほしいものです。
2歳頃からはさみを持ちたがるようになりますが身体的にはさみを持つこために先ず身体を整えましょう。また落ち着きのない場合やはさみの危険性を認知できない場合には危険であるため子供の特性を見極めることも重要です。
はさみの取組みはある程度時間をかけ段階を踏んで取組むことが必要になります。また切りっ放しにせず切り終えた後の片付けまできちんと行えるようにしましょう。片付けのコツは何もないテーブルの上に道具を持ってこさせ、切れ端し入れの小さな箱をも準備します。切り終えたら道具を片付けテーブルの上には何もない状態に戻すことを意識させましょう。できれば道具も小さな箱に入れて定位置に置くことが望ましいのですが、刃物の危険性を認知するまではお母様が管理しておくことも必要な場合があります。
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