提案『ままごと道具の素材』

1700年前の古墳遺跡から発見された遊びの痕跡が『ままごと』です。今回は古代古より続く子供の本能の中に備わるままごとに使用される素材と大凡の使用年齢について話を進めていきます。

ままごとのままは、『飯(まま)』からきています。ままごとができるようになるのは2、3歳それまでに親や周りの人々の行動を見て、手や指、腕の動きを本能のまま鍛えています。最初は軽くて舐めても安心、口に入れても誤飲に繋がらない大きさや素材のものを選び、また手の大きさや動きに合わせたおもちゃを与えましょう。基本教室では木製のおもちゃを揃えていますが、一部布やアルミや、プラスチック陶器などの素材のおもちゃも揃えています。いろいろな材質に触れることも学びであり、発達にあわせて道具を変えます。その理由についてはレッスン内で個別に指導をしています。


1歳児は微細運動の発達途中であり思うように指や手を器用に動かせず、道具を器用に扱うまでには至りません。お手玉をおにぎりに見立てて握ることをしたり、軽いプラスチックから木製おもちゃに切替えたり、マグネットおもちゃの接着や剥離、フライパンの柄を握り動かす遊びを存分に行います。そして容器の中に入れるものは誤飲に繋がらないような大きさの積み木やお手玉がなどがお薦めです。


2歳になると指先にも力が入るようになりお箸を持ちたがる子も出てきます。そうなるとマグネットでは指先に力を入れたり抜いたりする力が鍛えられません。また微細運動の質が落ちるためマグネットからマジックテープタイプに切り替え力いっぱいものを切る動作を楽しみます。また同時にものを何かに見立てて遊ぶこともさせましょう。オレンジのお手玉をみかんに見立てたり、黄色のお手玉を細く握ってバナナに見立て皮を抜いて食べ真似をしたり、どんぐりなどの木の実を食材に見立て混ぜる、炒める、注ぐなどの動作で微細運動を獲得させ想像する力も養えるようにします。

0、1歳までは自らの手の動きを学び、2歳からがままごとの入り口となります。生活で見聞きした動作がどんどん出ます。まだ友達と関わってままごとをする発達ではなく自分一人だけの単純な動作真似ですが、子供自ら関わりを求めてくることもあるので仕事の手を止めて関わってあげましょう。また2歳のままごとで与えてほしいのがおはじき、リングチェーンです。物を混ぜるときの指先から伝わる振動や混ぜたり振ったりすると聞こえる音でより臨場感が増し、五感を研ぎ澄ましながらままごとを楽しむことができます。

3歳になると想像力を働かせ見立て遊びが出来るようになります。この段階になると豊かな想像力を育てるためにくるみやどんぐりなどの木の実や大小さまざまな豆など天然素材を与え想像性を持つ豊かな広がりある遊びを満喫してもらいます。また天然素材のものの他におはじきやビー玉、リング、ボタンなど小さなものをどんどん取り入れつつ、レードルやフライパン返し、ホイッパー、トング、ターナー、さえ箸など道具を多く扱う機会を増やすことをお薦めしています。おもちゃの道具ではなく実際の調理器具を使うことでお手伝いに繋げやすくなります。但し手がまだ小さいので扱いやすいサイズにする必要があります。


4歳以降になると、友達と役割を決め様々な設定を話し合い、会話や設定を存分に楽しむ完成系のままごとになります。子供は生まれてから成長する過程において、家庭環境など周りの影響を吸収し与えた環境のまま育っていきます。するとその様子には様々なその子の育ってきたバックグラウンドが反映されているのが分かります。小さな子供の遊びの世界にも大人の社会が垣間見えるので、その様子を通して大人もまた学び取ることが必要だと考えます。


『ままごと』という遊びには子供の発達を伸ばす要素が多く存在しています。だからこそ古墳時代にもその遊びが存在していたのです。また時代の変遷と共に使用するものが変化し、使用するものの選択肢が増えている分、本来の遊びの質を落とさないようにすることが重要なのだと感じます。自然界に存在するものを活用するままごと、必要最低限の情報だけで構成されたもの、イメージ力に少しだけ手助けするもの、完全にそのものだと分かるように作りこまれたものを発達や目的に合わせ使用する賢い方法を取り入れることも必要だと考えます。今回提示した写真は紙面上の都合で代表物だけ掲載しています。お母様の手腕でいろいろなものを安全性を鑑みてご使用なさってください。

また教室ではそれぞれのお子さんに合わせて食事マナーやテーブルセッティングの学びを作りこまれたおもちゃで実施しています。それはままごととは一線を画しての使用ですので誤解のないようにままごとを楽しんでください。

Baby教室シオ

ほんものの学び。今必要な学び。乳児期から就学期までを総合プロデュースする沖縄初の乳児のためのベビー教室です。