提案『ひなまつりを楽しむ』
2023年2月26日昨日の記事 絵本『ひなまつりにひなかざりをかざるわけ』を取り上げたのでお読み頂くと桃の節句の由来については子供でも理解することが出来ます。もとは紙や木の人形に子供の穢れを移して川に流すものでしたが、現代は子供の健康を願い雛人形も豪華絢爛に進化してきました。
あるお母様がこのような話をしてくれました。子供の頃、従姉妹の家に行くとそのお宅には大阪で購入した大きな雛飾りがあったそうです。羨ましく思っているとその従姉妹同士がその雛飾りを自分のものだとそれぞれに主張したのだとか。子供心に自宅の小さな飾り雛との違いに羨ましく思ってきたことが、ケンカの種になることに煩わしさを感じたというのです。そしご自身が親になって男の子ばかりに恵まれると雛飾りが購入できない寂しさもあり、とても小さな手乗りの雛人形を購入したとのことでした。ご実家に行きあの小さな雛飾りを探したそうですが見つからず思い出だけが残っているとお話をされました。そのようなお母様の雛人形にまつわる思い出話もしっかりとした行事育です。決して目の前にあるものだけが行事育ではなく思い出話と小さな手乗りの雛人形を子供たが目にして心で何かを感じることができるのではないでしょうか。豪華絢爛な雛飾りを持つだけが行事育ではありません。思い出に残すこと、思い出を語ることもまた最高の行事育だと考えます。卒室された生徒さんは母子の雛人形を飾り楽しめるようになったともお話をされていました。素敵な行事育が親から子、子から孫へ受とけ継がれるのでしょう。
さてここからはひな祭りをどのように楽しめばいいのかを項目ごとに取り上げます。8つあるうちの1つでも挑戦されると子供達のひな祭りへの関心や認知が深まるのではないでしょうか。
1、雛人形を飾る
一年に一度雛人形を飾るのは2月に入ってからという方が多いかもしれません。雛飾りは高価なもので年に一度しか出さない代物ですから、子供と飾る時にはおもちゃにならないよう言い聞かせを行い、しっかりと手の汚れを落としてから出すことが望ましいです。特にお垂髪やお顔は触らないようにしましょう。飾り付けとなると子供たちは御代理様から真っ先に手をつけたくなりますが、思考力を伸ばすためにはどのようなものがあって、どのように出すと上手く飾ることができるかを考えさせることも必要になります。
また注視力を育てるためには非日常の御代理様の装束や三人官女や五人囃子、その他のお飾りの名前を興味を持ち見ることができれば不思議だなと感じることや新たな宮中の世界や古典の世界にも興味を見出すことができるようになります。事実雛人形の装束から漢字に興味を持った生徒さんもおられました。子供達の興味や関心は時や場所を選ばずに突然芽生えてくるものでもあります。
我が家の雛飾りはそれぞれが大小様々な箱に入っていて毎回玉手箱を開けるような気持ちで開けています。湿気の多い沖縄に移り住んでからは保管に大変気を使います。全てを高天井に上げるので下ろすのも重労働です。それでも子供のことを思い一つひとつ丁寧に作業し、御内裏様のお顔を包んでいる薄紙をゆっくりと解くまでは安堵できず緊張が走ります。「どうぞお顔が無事でありますように」と。そして家紋入りの王冠を載せる度に義理の母が家紋を和紙に丁寧に描いてくださったことを思い出します。その家紋に使用した色が娘のラッキーカラーにもなりました。ご家庭それぞれに雛人形を飾る思い出を作っていき確かのものを子供に残せるのではないでしょうか。
2、はまぐりの貝合わせを楽しむ
平安時代に宮中で遊びとして行われていた貝合わせ。一対のはまぐりの貝の両面に歌を書き入れ、左右に分けて並べ合わせていく遊びです。平安貴族の嫁入り道具にもなったと言われ和歌を嗜んでいると絵合わせを楽しむだけで雅な世界へと足を踏み入れることが出来ます。
江戸時代に普及し発展したという貝合わせなのでいつの日か徳川家監修の貝合わせを入手したいと長年夢を抱いていますが、なかなか出会うことが出来ずにおり工芸品の貝合わせを所持するに留まっています。それでも雰囲気的なものを味わうために10年ほど前は生徒さんに貝合わせに絵を書き入れることを行なっていましたが、大所帯となりそれも出来ず心苦しく思います。今年潮汁に挑戦されるご家庭は貝を捨てずに貝合わせを作ってみてはいかがでしょうか。教室に飾ってあるこの貝合わせの大きさにびっくりする子もいますが、そこからはまぐりやその他の貝の不思議な世界の扉を開ける経験をしてもいいかもしれません。
3、工作や絵画を楽しむ
いろいろなひな祭りアイディアがありますが先ずは簡単いできることから行いましょう。あまり気合が入りすぎると次年度の工作に結び付かなくなります。子供を育てている時には工作にかかるものを無限に準備し、いつでもどこでも直ぐにできるように準備しておくことで、毎年毎年新しいものができ進化を辿っていきます。子供達の手先の器用さとものを扱う細やかな指の動きは毎年を更新されていくものです。写真に残しておくことで行事育の振り返りも容易にできます。記事アップのために簡単に手作りしてみました。
以下の作品は絵を嗜む主人の母が描いたものです。街の雛人形展の看板にもなったもので私も母のように季節季節でこのように心穏やかに歳時期を愉しむことが出来たらいいなと感じています。
4、花を愛でる(桃の花)
枝物の桃の花を生けるのは少ない本数だとバランスが難しいものです。何も考えずにざっくりと花瓶に投げ入れを行うには量が必要になりますが、個人的に私は溢れる程の花に囲まれ贅沢に過ごすことが好きなので、子供達が小さい頃は節句ごとに花を大量に購入し贅沢に過ごした記憶が残っています。子供達には枝の切り口に十字の切れ込みを入れて花の命を最大限にいかす知恵を授ける事も、蕾を落とさないように静かにそして丁寧に扱うこと、こぼれ落ちた花や蕾を水を張ったお皿に浮かべ、枝先に残った花は枝を短く切り菜の花を添えて小さなガラス花瓶に生けてなど一年に数回は花贅沢を経験させました。子供達は成人しておりますが日頃の疲れをリフレッシュするためにウォーキングをしながら、季節の変化を見つけては私に写真を送ってくれます。忙しい日常の中で小さな季節の移ろいを見つけることができることが親としては安堵の瞬間でもあります。男女問わず花を愛でる習慣は心の安定にもなります。是非ともお子さんと共に花を愛でてみてはいかがでしょうか。
5、料理を作る(散らし寿司、蛤の潮汁)
子供達が小さい頃には「今年のちらし寿司は何をメインにしようかな?」などと話をしながら希望を聞いて作ったものです。海老が主役の時もあれば、だし巻き卵や錦糸卵を、サーモン、蓮根、マグロをなどと毎年姿形を変えたちらし寿司はマンネリ化しないように作ったものです。しかし振り返ってみれば我が家のちらし寿司の定番が無いのも今更ですが寂しい気がします。時すでに遅し、覆水盆に返らず・・・と思うこともありますが、私の子供ですからきっと怪我の功名、雨降って上天気、逆境が基礎を築くという考えで捉えてくれることでしょう。しかしやはり定番というものはあったほうが良いと思います。
6、デザートを作る、味わう
ひなまつりのデザートと言えば、『ひし餅』『ひなあられ』『白酒』ですが、桃の節句のカラーとして緑・白・ピンクが定着したのはこの菱餅が深く関係していると言います。元々は緑と白の菱餅がやがて桃の花をイメージし、魔除けの意味を込めて鮮やかなピンク色をした菱餅を取り入れたとされています。
この写真の菱餅は数年前に生徒さんとお母様が初めて手作りされたものを頂いた時の写真です。「せんせい、あのね、ひしもちが しかくもちに なったんだけど。たべてね」と話してくれたように記憶しています。柔らかい部分があったり、上新粉が少し玉になっていたりしてましたが、それが手作りの素朴で素敵な味なのです。購入したものとは違う手作りの温かさやぎこちない手の動きできっと作ったんだろうな想像しながら、そして手渡してくれた時のはにかんだ表情が頭を過ぎります。料理はものすごく良質な五感の経験、脳育をはじめとする能力育てでもあります。一緒に作るのがハードルが高いのであれば、一部分のお手伝いから始めても良いのでは無いでしょうか。
7、歌を歌う
『うれしいひなまつり』『おひなさま』『ひなまつり』などがありますが、『うれしいひなまつり』は多くの方が知っている「明かりをつけましょ・・・」で始まるサトウハチロー氏の作品です。しかし歌詞に語彙的間違いがあるため子供には間違いの部分を認知させて歌わせていることにお気づきの方は少ないようです。個人的には「赤いもうせん敷き詰めて・・・」で始まる『ひなまつり』をよく聴かせていました。このCDは比較的長く愛聴していますがひな祭り曲を中心に春に関係する作品20曲が収録されているため聞き応えも歌いごたえもあります。
8、おもちゃで遊ぶ
ひなまつりに関するおもちゃなどがあれば遊んでみましょう。エデュテのヒナ・キューブの写真を掲載しています。この商品のブログ記事は2023年3月1日を予定しています。併せてお読みください。
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