提案『喜びを表現する』

日頃から子供達と接していると様々な表現の仕方があるのだと感心させられます。またその表現はご家庭によっても違い、兄弟姉妹でも異なることがとても興味深いものです。

今回は子供の表現の中で最も伸ばすべき『喜びの表現』について考えてみたいと思いますが、その前に乳児が真っ先に見せる天使の微笑みから話をスタートし、喜びという感情の芽生えをどのように育んでいくのかを考えていきます。


乳児の微笑みについて

みなさんご存知だと思いますが生後2ヶ月頃までの乳児が真っ先に見せる笑顔が『天使の微笑み』とされる生理的微笑みです。感情や意識として笑うのではなく、本能的に弱い立場の乳児が周囲の人に守ってもらうために自己防衛的本能で微笑むものを指します。

そして3ヶ月頃から視覚的発達を遂げて母や父を認知し、あやしてもらったりアイコンタクトを取ったときに見せる社会的微笑みが出現します。この頃からが笑顔の引き出しの土台作りが開始されています。お母様のお子さんに投げかける笑顔の頻度に比例するように、乳児は母の笑顔の中から多くを学び反応するためにじっと見つめ、その母親の笑顔を頻繁に見ることで社会的微笑みを獲得することを水面化で行っています。

やがて乳児の中に社会的微笑みの学びがいっぱいになったとき、微笑みが溢れ出し母に向けて笑顔の発信がなされていきます。その乳児の反応に応えて刺激を与えればやがて乳児は声を上げて笑い出します。個人差はありますが生後5、6ヶ月ごろから声を出して笑うことが加速していきます。これが喜びの表現が表面化した瞬間です。このような反応が出てくれば笑う表現は獲得できたことになり『喜びの表現』の入り口に立ったと言えます。

母子のこの重要な時期に微笑みを交わすことが少ない状況で過ごしてきた場合には、その後の愛情表現に力を入れていただくことになります。

乳児の全ての感情の受け入れについて

人間の感情には喜怒哀楽といったものの他に複雑な感情が多く存在しますが、その中で最も心豊かにいられる感情は喜びです。その喜びの感情を育てることに必要なことは、乳児期の親子のコミュニケーションの土台作りに深く関係しています。先に説明した微笑みかけもその一つですが、その他の母子のコミュニケーションもまた感情表現の構築に必要不可欠なものばかりです。

先ず親は全ての子供の感情をしっかりと受け止めることをしていなければなりません。それは喜びだけではなく、お腹が空いたと泣けばそれを受け入れて授乳し、おむつが汚れて気持ち悪いとぐずればサッパリとさせ、眠いと愚図れば眠るまであやし、一緒に遊びたいと要求があれば遊んでやり、遊びが成立しないと怒ればその怒りを受け止めて改善してあげるなど、子供の良き理解者として感情を受け入れてあげることが感情表現の土台になります。このような感情表現を受け止めることができて初めて子供は感情を表現する自由を獲得することになるのです。この乳児期の受け止めが十分になされないと思いを表現する術を知らずに育ってしまうのです。それがサイレントベビーと言われる子供です。泣いても誰も関わりを持ってくれないと泣かなくなる子供を指しており、感情も表情の豊かさも育たないことがわかっています。そのことをご理解いただき子供の全ての感情を受け入れていただきたいと思います。


喜びの表現を促す働きかけ

人間の持つ感情の中で最も心豊かに生きることができる感情を育て、母子のコミュニケーションを通して嬉しい、楽しい、大好き、ワクワクするなどの経験をたくさん積ませることを心がけましょう。では子供の笑顔を増やし喜びを表現できる子供にするためにどのような方法があるのかを提案していきます。

喜びを表現するには以下のように3つの方法があります。

1、親が表情豊かに表現する

乳幼児は身近な親や兄弟の言動をお手本としてどんなことも学び取っていきます。よって感情豊かな表現を日常の中で盛り込んでいきましょう。

またコロナ禍でマスク生活が数年続いていることから乳児が人の表情を読む力や発語につながくる口元の形を読む力、発語の遅れなどが問題になっていますが、現状が以前のように戻るにはもう暫くの時間がかかります。しかしそんな状況に不平不満を唱えるよりも今できることは何かを考えて行動することが子育てに於いては重要です。よってご家庭でしっかりと子供と向き合う時間をとり、アイコンタクトを交わし表情豊かに親が働きかけ、口元から発せられる豊かな表現を見聞きさせることを心ゆくまで実行してみましょう。


2、ボディーランゲージを取り入れる

乳幼児は日常の生活の中で多くのことを見聞きして育ちます。そこに言葉と共にボディーランゲージをを盛り込んでの表現をすることで、乳幼児は心動かされる経験をしていきます。欧米人のようなオーバーなリアクションを取ることを強要するわけではありませんが、褒めたいときには人目を気にせずに子供の心にダイレクトに左右するボディランゲージを盛り込んでもいいと思います。


3、言語表現を豊かにする

喜びの感情を表現するためには語彙力を増やすことに他なりません。喜びを表現する選択肢を広げるためには親が多くの言葉を乳幼児にかけることが重要になりますが、家庭内で使用される言葉も限られる傾向があります。その点を打破するためには多くのジャンルの絵本を読み聞かせしながら語彙の選択肢を広げ、その言葉を日常会話の中に登場させ繰り返し使用することが重要です。

喜びを表現する言葉を少し考えてみましょう。例えば『嬉しい、喜ぶ』という表現を別の言葉で表現するとすれば、大喜びする・小躍りする・ウキウキする・心躍る・胸いっぱいになる・舞い上がるような気持ち・浮き足立つような嬉しさ・声が弾む・歓喜する・喜びを隠せない・胸にグッとくる・嬉しさが込み上げる・・と日本語には魅力ある言葉が数多くあります。私は子供が3歳以下の頃はボディランゲージを多く盛り込み、3歳以降はなるべく言葉を多用するように接してきました。親もこのような経験から多くのことを学ぶことができます。是非とも多くの親御さんにもこのような経験を実践していただきたいと考えます。


日本には『笑う門には福来たる』という言葉がありますが、多くの生徒さんのご家庭を見ているとこの言葉が当てはまるご家庭には常に笑いの風が吹いているように感じています。子供の些細なミスや間違いも笑いで吹き飛ばすので、子供も前向きにチャレンジしやすい環境が存在しています。何より子供の笑顔や喜びの表現が抜き出ています。何があっても起っても笑顔で乗り越える逞しさを備えているように感じています。

乳児期に於ける笑顔の獲得は生涯を左右する生き方が詰まっていると考えています。



Baby教室シオ

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