絵本『かしの木の子もりうた』

こどもの日を来週に控え子育て真っ只中に居られて忙しい親御さんのために、子育ての全体像を捉えてもらうための一冊をご紹介いたします。ロバート・マンチ氏の原作とは異なり何か心の奥底にほのかな温かみを感じるこの作品はいせひでこさんの絵と細谷亮太先生による文章の相乗効果にによるものだからでしょう。日頃の子育てのお疲れを癒してみませんか。


生まれたばかりの小さな我が子の透明感を今でも思い出させてくれる美しい水彩画、そして小児科医でも在られる細谷亮太先生の子供を日々感じて目を向けている職業だからこそ書ける子供の命の強さと月のように見守る母親の優しさを表現した文章が、優しさと切なさを授けられつつもどこか納得できる作品です。

家の中を走り回り怪獣でもいるのではないか、ここは動物園かと感じていた日々を思い起こさせてくれる場面に共感したり、そんな昼間とは打って変わって小さな寝息を立てている子供の寝顔を思い出したり、背中をトントンと一定のリズムで眠りに誘う子守唄のシーンに当時の自分が歌っていた子守唄を思い出しつつ、当時を重ね合わせるかの如く読み進めます。ふと懐かしい反面どこかしんみりとする自分がいます。何かしら事件が起こる子供の小さな頃の目まぐるしさ、子供を持って知る親のありがたみ、また親を見送って知る切なさ、こうやって人の一生が過ぎ、世代を超えて命が繋がっていくんだなと実感しつつ、多くのギフトをもらい親にしてもらったことに感謝している自分もいます。


この絵本は子供には難しい絵本と言わざるおえません。また今子育て真っ最中のお母様方にも共感できるページがあるでしょうが、この絵本の奥底に描かれている部分を感じ取ることができるのは、子育てを終え子供が成人し孫ができる私のような年齢の母親ではないでしょうか。

子育てとは本当に忙しくやるべきことが山積の時代でもありますが、次の世代を担う子供達を育てなければならない重要な責務もあります。これまで子育てを終えてきた数多の母親たちがどのように子を生み育てをしてきたのかを知ることも先を見通すために親には必要なことだと感じています。

また上手くいっている親子さんに共通するのは、親子で共感できる時間を多く持っている場合です。その共感の中でも絵本は多くの世界の扉を開けてくれるきっかけになります。読み聞かせをしていた子供達が子を設け、我が子に読み聞かせの世界を与える瞬間を夢見ながら育ててはみませんか。

絵本は子供のためのものだけではなく親もまた楽しめます。子供の頃を懐かしんで手にする作品、大人になって新ためて出会う驚きや発見の宝庫であったり、疲れた心を癒すものであったり、子供と共感できる時間を作るものや子供の問題解決のヒントになるものだったりと大人こそ絵本の純粋な世界に目を向けるべきだと思うのです。

子供の頃に読書をしなかったという親御さんには特に自分のために味わう作品を探し当てる楽しみを見つけて実践し、大いに子育てにその経験を落とし込んでほしいと考えます。

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