絵本『文房具のやすみじかん』
明日の子育てサジェスチョン『レッジョ・エミリア教育法』を前に子供たちが日常の中で多くの発見を自主的に促すことができる種蒔き絵本として、また今回は新入学・新学期という事もあり文房具の仕組みや働きについて取り上げているこの作品をご紹介します。
絵本や児童書を数多く手掛け、世代を越えて孫やひ孫と読み繋げていってほしい作品の宝庫とも言うべき福音館出版社の作品です。持ち主がいなくなった途端何気なく使っている文房具たちのひそひそ話から物語が始まります。
「そろそろ、いいかな」
以前レッスンで読み聞かせを行うと「文房具が話すなんて変だな・・・」と言葉にする子供もいましたが、あっという間に擬人化された文房具たちの会話に引き込まれていきます。
宿題が沢山あり活躍した鉛筆は自由に落書きがしたいと呟きます。すると出番のなかったノートが自分に書いて欲しいと頼み込み、羽目を外した鉛筆の落書きにちょっと待ったといったのが消しゴム。
「ちょっと、そんなことしていいの?」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ、消しゴムさんが後で消してくれればいいんだから!」
ここから先は鉛筆くんが鉛筆とはどのようなものか、その働きや仕組みについて説明をする場面が登場します。
日常的に鉛筆をはじめとする文房具がどのように作られているのか、どのような時に使うのか、他の文房具との関係性など子供が関心を持っていればこの絵本に展開されている内容にものすごい勢いで食いつきます。一方「な〜んだ。ふ〜ん」というようなリアクションだと関心を持って対象物を見る力、対象物を観察する力や理解しようとする思考力、日常のものをある特定の視点や思考で見定める力や発見する力が育っていないかもしれません。
そのような力が無いからと嘆く必要もありません。今回取り上げたこの絵本を繰り返し読みながら日常生活の中で文房具たちに焦点を当て思考できるような種蒔きをすれば良いのです。
明日取り上げる子育てサジェスチョンは子供の自主性を伸ばす新しい教育法です。その教育法では大人が子供に指示することはなく、ヒントを何気なく子供の目にする場所に置く事もあるそうです。そのものの使用を強制するのではなく、ただただ目につくところにおいて子供自身の自主性で使用するか思考するのかを選択してもらう方法だとか。その方法を活用すると関心や興味が薄い作品は子供がよく目にする場所においておけばいいということになります。私もこの手で子育てを行ってきました。すぐに関心を示すものもあれば数年かかるものもありましたが、それでいいいんだと思います。子供が成人しあの時関心を全く示さなかったものに対して大人になって手に取る事もあるので、子供の自主性を育てるということは年月がかかる事もあるのだと解釈することも保護者の割り切りだと思います。
この作品に描かれていることの中に上記のシーンがあります。消しゴムは全てをなかったかのように消し去るものだけではなく、消すことにより光を加えることができるという新しいものの見方を示してくれています。この作品を読むことで子供たちはものの捉え方が一辺倒では無いことに気がつくでしょう。すると物を多角的に捉えようとするスイッチが作られるはずです。
『なるほど、そういう見方や考え方があるんだ』と感じることができるように子育てをすることも必要なのではないでしょうか。
まだまだこの絵本は難しい年齢のお子さんをお持ちの保護者さんも子育ての極意が詰まっている絵本の世界を福音館出版社作品から学び取ってみてはいかがでしょうか。
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