絵本『かぞえてみよう』

今週は『数について』記事を書くことになっているためこの絵本を取り上げることにしました。日本画家であり絵本作家でもあった安野光雄氏の作品です。2020年のクリスマスイブの日にお亡くなりになっていますがこれからも彼の作品を目にする機会は折りに触れてあると思います。タイトル通りに数を教えようとすると大変もったいない作品なので味わう感覚で安野光雄ワールドを楽しんで下さい。

この作品はタイトル通り数える狙いですがとてもシンプルで数を教えるために使用するのではなく、絵を楽しんでいると知らず知らずのうちに数を数えていたという感覚で捉えてみてほしいと思います。0という数字で始まるこの作品は雪国を思わせる道路が続く中には何も描かれていない世界からスタートします。


「あら、なにもないのね。」という声が聞こえてきそうです。


ページは0、1、2、3と進むうちに絵に描かれている風景が冬から春へと変化しています。季節を感じるアイテムがそれおぞれ表示されている数だけ描かれています。


「もう春ね。ほら土筆が芽を出しているわ。菜の花やすみれも・・・」

そして季節もうつろい夏がやってきました。爽やかなヨーロッパの田舎町を見ているかのようでもあります。


夏から秋へとバトンを受けて街の風景が様変わりし、最初のページから建物が増えて街も賑やかになってきました。


そして冬がやってきて教会でのクリスマスのミサに参加する人々が集まってきている様子が描かれています。空をかけるトナカイが12頭・・・サンタクロースの姿は描かれていませんので子供たちは口々に


「サンタクロースは一人だから12のページには出てこないんだよ」

「じゃぁ、1って書いてるページにいるんじゃない?」

そう言って慌ててページを捲るのでした。

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