提案『散歩で培う敷写しの重要性』
今回は私が驚きを隠せなかった事案を取り上げながら散歩について記事を記していきます。「散歩は日焼けが気になるので行っていません。」と堂々とした発言を聞いて驚いていまったのですが、その理由は日焼けをしたくないという理由でした。お母様が日焼けをしたくなかったのか、はたまたお子さんの日焼けを指しているのか分からずじまいでしたが、ショッピングセンターの中を歩かせて散歩をしていると満足されていたご様子にダブルショックを隠せませんでした。
確かに屋外での散歩となると紫外線が気になるでしょう。しかし散歩には子供の健全な心身の発達や脳の発達を促すに重要且つ必要不可欠なものであることをその方は理解していなかったのです。ですから後天的環境因子によるものでそのお子さんの発達に影響が出るのは明らかでした。結局その方とのご縁は無くその後どうなっているかはわかりませんが、そのような親子さんを増やさないためにも『散歩の重要性』についてはっきりと示さなくてはならないと感じています。
今回は散歩が子供の成長発達にどのようなメリットがあるのかを具体例を記しながら話を進めていきます。
散歩を重視していただきたいのはどの年齢にも関係することですが、特に歩くことが楽しくてしょうがないという1歳児にとっては最重視すべきことです。1歳児が歩き出すともう捕まえに行くのが大変です。屋外で転んで怪我はしないかと付かず離れずすぐに手が出せる位置にスタンバイしながら片時も目が離せない時期を過ごしていた頃が大変懐かしく思い出されますが、このハラハラドキドキのアクシデンとにこそ子供の感覚や心身と脳の発達に働きかける朱雀の宝物が詰まっているのです。
1歳児の行動を振り返ってみましょう。
例えば犬を見れば「わんわん」と指差ししながら駆け寄り、猫を見つければ距離を詰めようと追いかけ回し、蟻の存在に気づくと立ち止まり一向に動かない、蝶が飛んでいるのを見れば指差し仕切に目で追い見失うと四方を見回し探します。また花や葉、木の実が落ちていれば必ず拾って手にして離そうとしませんし、水道の蛇口を見つければ水が出ないかと触り出し、風が吹いて木々の葉が揺れ動けばその葉をを取ろうと手を伸ばし、木のムロを見つければ中を覗きその辺にあるものを手当たり次第入れて、尻餅をつけばその拍子に手に触れた砂や土いじりが始まり、入り込めそうな場所があれば覗き込んで中に入ってしまったりと様々なことを確かめ心の欲するままに行動をします。
親御さんにとってみれば先に進みたいのに何十分も同じ場所にいたり、帰りたいのに帰れない、時間の制約がある場合にはたまったものじゃないと思うこともおありでしょう。しかしこのようなことがショッピングモールなどの屋内施設では自然事象と関わることはできません。時代が移り変わっても子供の行動は普遍的であり、そこにこそ人類が長い間かけ培い育ててきた真実があるのです。
動物に興味を持ち近寄ることは関心の目が育ち始めていることを意味し、蟻などの虫を見て動かないのは観察眼が育ち始めた証、ムロの中にものを入れたり穴に自分自身が入り込んだりするのは空間認知の育ちであり、蛇口から水を出そうとすれば自分自身の経験値の立証を果たそうとしていることであり、砂や土いじりは第二の脳といわれる手指からの情報を脳に送り感覚統合を行っているのです。私がブログを書くための数十秒で思い浮かべるだけでもこれだけあるのですから、注意深く子供を観察していると様々な実験を繰り返し楽しんで発達をなし得ていることに気付かれるでしょう。整備の行き届いた屋内施設の人工物の中で過ごさせても自然界の中に存在する刺激の前に人類は太刀打ちできません。その差は歴然としています。ですから自然界での散歩をすることこそが子供のあらゆる面の発達の促しになることをまず自覚してほしいと考えます。
特に1歳児の散歩は目的地がありません。自分自身の心の赴くまま、心の求めに従って自然を満喫できるところに身を置かせることがとても重要なのです。本能で動くこの時期の子供の動きに無駄はありませんし、大人がどんなに効果的な方法を見出し子供の発達を促そうと計画しても子供の本能に勝るものはありません。そして自然界から得られるものと似たようなものを人間が作り出すには限界があり、その自然界から刺激を受け、子供自身がアクションを起こせば自然が反応をしてくれるという打てば響くという関係性は本能で生きる子供と自然の共鳴だからこそ素晴らしい結果が生まれるのです。
この仕事をしていると比較的長い時間家の中にいるお子さんと外で快活に過ごす時間を設けているお子さんの成長発達の差を感じます。後者の子供達の能力が高いことは長い講師生活の中に於いても家の中でばかり過ごすお子さんの能力と逆転したことは一度たりともありません。だから私に孫ができたら日差しの強い夏はなるべく早朝に散歩に連れ出し、どうしても日中に出かける時には日焼け対策をさせ、風の強い日にも普段とどのように違うのかを見せ、雨の日には長靴にレインコートを身に付けさせ雨を楽しむ時間を作ろうと思います。また日本には四季折々の事象もかなり多く存在しています。それらの経験が後々の子供の成長発達に必ずプラスになることを知っている以上、取り入れないということは大変もったいないことであり子供の幸せに直結するものは取り入れるべきだと考えます。
それでは具体的に獲得できることを見ていきましょう。
1、五感に刺激を与える
これまでに幾度も書いて参りましたが自然を通して子供が感じとる多くの刺激には、私たちが人工的に作り出すことができない良質なものばかりです。では五感ごとにどのようなものがあるのかを考えてみます。
視覚・・・子供の目に映るもの全てが好奇心の種です。虫がいた、花が咲いてる、犬や猫がいた、葉や枝、石などが落ちている、大きなうろこ雲に眩しい太陽など目に映るもの全てが発見なのです。
聴覚・・・虫や動物の鳴き声、風が吹き渡る音、波が打ち寄せ音、人の話し声や車の音など様々な音が聞こえてくる方向を眺め音がどこから発信されているのかを確認し、そのものが何であるのかを聞こえた音と見たものを一致させます。
触覚・・・日差しが温かいや暑い、風が冷たい心地よい生温かいなどの風を全身に受けたり、木の葉を触りつるつるとした手触りや植物の毛状突起のトライコームや葉の蜜腺から出るベタベタとした分泌液にに気づいたり、砂のざらざら砂利のじゃりじゃりや石や岩のごつごつなど外界の空間にいないと経験できない触覚があります。
嗅覚・・・木々や花、土の香り、雨や太陽の香り、川、湖、海の香り、お店の前を通り過ぎようとすればパンやケーキを焼く甘い香り、キャンプでお肉を焼く香ばしい香り、花火の火薬の香り、自然溢れる場所と人々が生活する街の香りの違いなど嗅覚の刺激もまた子供たちにとっては記憶に直結する情報です。
味覚・・・季節毎の植物になる実を味わって見るのも五感への刺激になります。私が子供の頃は祖母に花の蜜の甘さを教えてもらった記憶があり、木苺やアセロラの実、グアバにバナナ沖縄になる実を捥いで味わう醍醐味も味わうと同時に、庭から野菜やハーブを取りに行き料理をする経験することもできるでしょう。特にハーブはそれぞれがいろいろな主張をする植物なので香りを味わうことができると同時に育てる経験も促せます。
2、先を見通す力獲得
毎日通る散歩コースが決まっていれば「この道をまっすぐ行けば庭先に犬がいる家があるはずだ。」「この池を通り過ぎると間もなくお散歩が終わる。」などの先を見通す力がついてきます。予測をするということはそれまでの経験値がベースになるため記憶のアウトプットをしていることになります。先を見通す力は常にアウトプットを繰り返し、これまでと同じなのかそれとも違うのかを比較検討することも行い、また予測することも自然と学習することになります。これからの長い人生においてこの力を獲得しておくか否かではものの見方が大きく変わると考えます。
3、予測脳の獲得
経験値をもとに予測を立てることも可能になります。例えば去年の春先に池で見たおたまじゃくしの事を覚えていたら、次の年の春にもおたまじゃくしがいるのではないかと予測しながら池を覗くことができるようになります。この予測能は記憶の定着にも大きく関係してきます。予測を立てることが自由にできる子供は実証することも怠りません。もしかするとこうなるのではないか?と考え、ならばやってみようとなるわけで自然と好奇心の目が育つことになるのです。都会ではなかなかでいないことも沖縄では比較的容易に実行しようとすればできる環境にあります。日頃からいろいろな場面で予測を立ててみることから始めてみると良いでしょう。
4、注視力、注意力の獲得
散歩コースが決まっていたり何度か通ったことのある経験がある場所であれば、いつのあるものがないことやいないといった欠如に気づくことができる力がつきます。また観察対象をじっとみることで養うことで注視しながら物事を観察する注視力が育ち、注意力も育てることができます。
この注視力は鍛えないと育ちません。学習が進んでくるとケアレスミスを連発する子供はこの注視力や注意力が育っていないことに気付きます。散歩をする1歳以降からその注視力の目を育てていくのですが、学習期に入るまでの3、4年何もせずに過ごしてきたことが大変勿体ないと言えます。ミスをしないように育てるという結果主義ではなく、本来は物事の真髄を見極める力を育てるために育てる力であることを認識して散歩に励むとよいでしょう。
5、コミュニケーション力の獲得
散歩を通して多くの人との触れ合いをもちましょう。「おはようございます。こんにちは。」などの挨拶を交わすことはコミュニケーションを学ぶきっかけになります。人との触れ合いを小さな頃から行っていると人慣れをし、人の話に耳を傾けることができ物怖じもしなくなります。人との接点を持たない子供は人を信じられないといった様子で相手を見ていることがあり引っ込み思案になり消極的な方向へ進みがちです。
コミュニケーションの獲得は子供の人生には必要なものであり情報の獲得能力にも関係してきます。朗らかに過ごせるようにするためには子供自身から溢れ出る朗らかさがあれば、その子の周りには明朗快活な環境が自然と構築されます。是非とも散歩を通してすれ違う人との挨拶を実行してほしいものです。
6、親子の会話を充実させる
私も経験があるのですが散歩の時間をずらしたり、コースを変えることで新たな発見が得られるものです。そこで生まれる新たな発見や疑問を親子で育みながら楽しい時間が過ごせるように努めることもできます。これも私の経験ですがいつもと違うコースを歩いていると、たまたま庭いじりをしていた老ご父婦とのご縁が生まれ乗馬経験を子供達にさせることができ、馬について調べることに繋がりました。だから何だということになるかもしれませんが、散歩を通して日常にないものを取り入れ新たな風を吹き込むということは、おご奈が思っている以上に子供の好奇心や関心を引き出すスイッチ作りになるのです。その瞬間に関心が育っていないようであっても何処かで何かを掴む可能性をはらんでいます。それが親子の会話から生まれる可能性があるのであれば素晴らしいことではないでしょうか。
7、運動能力の向上
散歩は単に歩くということではなくいろいろな刺激を受けながら自分自身の足で歩くことが全身運動になります。脳科学から解明されていることは、散歩は平坦な道だけではなく様々な状況下を歩いたり、下を向いて何かを発見し、前を向いて歩き、そして上を向いて何か見つかるなど四方八方に視線を送り全身で楽しむ散歩を長時間行うと、脳が劇的に刺激を受け発達することやストレスフリーになることが分かっています。このことからも単に運動能力や体力の向上ばかりでは無く、子供の心身ともに多くの刺激を受けていることが明らかです。
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