提案『記憶力を育てる いない いない ばぁ』

私がこれまでに会ったことのある頭の回転がものすごく速い人の多くが記憶力がずば抜けて高いように感じています。そのような人に必ず尋ねる質問が乳児期に『いない いない ばぁ』を楽しんでいたのかどうかです。大概の人は覚えていないので親御さんに聞き取りをお願いしているのですが、後日みなさん口を揃えてものすごく親子共に楽しんでいた経験があることや1歳以降で歩き出すとカーテンやソファー、物陰に隠れて遊んでいたことや証拠写真まで提供してくださる方もおられました。その共通する調査結果が浮かび上がる度にこれは何かあるぞと感じざる得ないのです。

またご存じの方がいいと思いますが古今東西様々な国で「いない いない ばぁ」が行われています。英語圏だと「Peek−a−boo(ピーカ・ブー)」やイギリスの一部で「Bo−peep(ボー・ピープ)」、フランス語だと「Cache−cache cou−cou(カシュカシュ・クークー)」、イタリアだと「Bao−bao−cette(バオバオ・シェッテ)」、スペイン語だと「Bu–bu–settete

(ブーブー・セッテテ)というのですが、これほどまでに世界的に見ても子供をあやす言葉の音やリズムが似ていることがどうしても気になり、子供の発達と深く関係しているのではないかと前々から考えてい他のですがこの謎を日本で明らかにしてくれたのが脳科学的に子育てをご研究している一人者である久保田競氏とカヨ子さんです。

昔から行われているこの「いない いない ばぁ」は久保田氏が脳科学的観念から子供の発達との関係性を紐解いてくれるまでは、ただ単にかくれんぼ遊びの始まりとされていたように思います。乳児時からすでに予測や期待をもって待つことや親子のコミュニケーションの始まりとして取り上げられていレベルで、その見方からさらに前進し脳科学的に研究が進み実は『いない いない ばぁ』が脳の前頭前野の神経回路に複雑な刺激を送り発達を促し、何度も繰り返されることで楽しさや心地良さという快適さが記憶を司る海馬を活発にさせることや海馬が不快だと感じた場合には記憶力が低下することも同時に解明されたのです。よって如何に乳児期に快適な刺激を与えることができるかが脳にとって重要なことであり、その後の記憶力の差に繋がっているのです。そう考えると親の行動と子供が受け取ってくれる環境が整えばいつでもどこでも行えるのです。そして記憶力を高めると称する高額な教材や器具を必要とせず、親自身の手があれば行える経済的にも優しいのも嬉しい限りです。そしてこの「いない いない ばぁ」遊びには0〜1歳までと時間的制約があるので適切な時期にしっかりと行い、タイミングを逃さないことが大切であることを認識しておくか否かで子供の脳発達と記憶力の強化の分かれ道と言っても過言ではありません。

しかし0〜1歳までといってもハンドリガーが出てくる前の乳児にはあまり効果がありません。そもそもその月齢の子供たちはものをしっかりと見るという促しが必要になるため親の顔をしっかりと見つめさせ、おもちゃやガーゼなどをゆっくりと動かしものを目で追う追視を鍛えなければならないのです。その発達が整ったら全世界共通の「いない いない ばぁ」遊びに突入です。具体的な事に関してはレッスンでお伝えしていきますが、この遊びは記憶力だけが伸びる遊びではなく、以下のような効果をも期待できるので是非ともみなさんには実行していただきたいのですが、基本的に身体発達や能力を授けるために義務的に結果を得るための目的として行おうとせずに、行動の基本には我が子に対する愛情を持って楽しんでほしいと思います。そしてその先に必ず親子の絆を結ぶものとして存在させてほしい遊びの一つであることを認識して行ってほしいと切にながっています。


ではここから専門的な話を進めていきますのでお読みください。


1、熟視する力をつける

親が自分自身の顔を手や布などで覆って「いない いない 」と言えば、乳児はその様子をじっと見るようになります。見えていたはずの親の顔が突如として見えなくなるのですから子供はじっと注視します。初めて行うときには単に見えていたはずのママの顔が見えなくなったということを目の当たりにします。


2、ものの永続性に気付き、予測力が育つ

この遊びを繰り返し続けていくと生後6ヶ月以降に、ものが目の前から見えなくなってもそこにものが存在することを理解するようになります。これはものの永続性と言われる発達です。

「手や布で顔が隠され見えなくなった」

       ⇩

「でもそこにはママの顔があるはず」

       ⇩

「次の瞬間どのような顔で出てくるんだろう」

というように乳児はこの「いない いない ばぁ」でものの永続性に気付き、次にどのようなことが起こるのかを経験値をもとに予測しながら賢くなっていく発達を遂げます。教室では生後5ヶ月ごろから「いない いない ばぁ」の取組みをお母様にお願いし実践してもらっていますが、子供それぞれの発達の差があるためハンドリガードが始まったらすぐに行う場合もあります。


3、期待力が育つ

ものの永続性に気付きそれを日に何度も繰り返し、いろいろな表情でいろいろなパターンでこの「いない いない ばぁ」遊びを繰り返すことにより、次はどんな表情で現れるのだろうと期待し待つようになります。この期待力はわくわく感を募らせ海馬に大きな刺激を与えます。前述した通り海馬は記憶を司る部分で尚且つ心地よい快楽を与えれば与えるほど成長し発達していきます。この遊びの最中に声を上げて笑うようになればもうしめたもの。子供の笑顔見たさに親御さんがたくさん行ったという頭の回転の速い知人たちの証言を得ています。本当に効果が子に現れるかどうかと疑心暗鬼の方もおられるかもしれませんが、私は本能的に感じています。やるに越したことはないのではないでしょうか。


4、確認と記憶の結びつけをする

この遊びを進めると乳児は「ばぁ」と出てきた親の顔を見て「やっぱりね」と予想し顔が出てくるということを確認します。また「さっきと表情が違うぞ」「こんな表情初めて」というような不思議そうにじっと見つめたりしながら新たな刺激をもったり、その表情を記憶したりと確認と記憶を紐付けするようになります。


5、待つ事を獲得させる

「いない いない ばぁ」の掛け声を敢えて遅くしたり、「ばぁ」と出てくるタイミングをずらしたりしながらじっと待たせることを行うことで忍耐や根気の土台作りが行えるようになります。待っていたら楽しいことが起こるかもと認知させることができるのもこの遊びのメリットでもあります。子供はきっと今から楽しいことが起こるよという経験を積ませれば積ませるほど待っていられるようになります。この待つという行動の獲得は早ければ早いほど子供は育つ上で多くのものを獲得しやすくなると同時に、親の立場からすると子育てがしやすくなります。

それではまとめに入りましょう。

結論から言うと記憶力の良い子供に育てたければ、いつでもどこでも簡単に行うことができ何の道具も要らず親子が楽しそうに向き合っているだけで良い「いない いない ばぁ」をしないなんて勿体無い。そしてこの「いない いない ばぁ」は記憶力をつけるためだけのものでもなく、多くのものが獲得でいるチャンスを秘めている遊びであるということ、そして0〜1歳という期限付きの遊びであることを認識して日に何度となく繰り返してほしいと考えています。

全世界で実践されているこの遊びは俄仕立てのものではなく、先人たちが人種も国も文化も宗教も超えた人類の叡智の結集とされる遊びで、子育てにおいてはなくてはならないものであると考えています。

生後5ヶ月以降から「いない いない ばぁ」遊びを経験させた後、教室では生後11ヶ月で手続き記憶と言われる中期記憶を育てる取り組みに入りますのでそれまでに是非とも数多の「いない いない ばぁ」の実践をお願いいたします。


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