提案『年齢別のお絵描き』
先週月曜の提案『お絵描きの魅力』記事を受けて今回は年齢別の特徴などを記してまいります。今週土曜日2023年9月2日の生徒さんたちの作品をご覧いただけると楽しく描いていることを実感できると思います。お絵描きも自己表現の一つですがそこに至るまでには優れた観察眼の獲得とその見たままを表現する描く力、発想力や色の表現センスなど様々な力が必要になります。そのいずれも獲得した生徒さんは1歳ごろから毎日欠かさず何かを描くことを行なってきました。彼らがどのように年齢とともに描いてきたのかを以下の内容に確認できると思います。
『継続は力なり』数年後の子供達が素敵な絵を描いていますように。
《 1歳児 》
1歳児は1日1回クレヨンを手にスケッチブックでのなぐり描きをするようにお願いしていますが、口探索が残るお子さんにクレヨンを持たせるのはどうかとのご意見も頂戴します。しかしなぐり描きには乳児から幼児にかけての自分自身の痕跡を残し楽しむという重要な発達を行う時期でもあるのです。
自分自身の体(肘関節を動かすこと)や手指を使用しその動かし方を学び、そのに痕跡として残る線や形、色の変化を認知して確認するようになります。この自分自身で起こしたなぐり描きの結果どのような体の動かし方をすれば、どのような線や形が生まれていくのかなどを繰り返し行うことでその行動を理解し思考が鍛えられるようになります。1歳児は見たものや想像したものを描くということはできず、自分自身の体の動かし方を通して痕跡を辿り、その痕跡の繰り返しで思考力のみならず注視力の土台を作ることになる重要な時期なのです。
もしクレヨンを口に入れて食べてしまうという心配があるのであれば蜜蝋タイプやお米クレヨンなどを取り入れる方法もあります。が私自身は結構手痛い方法を取り子供を逞しく育てる方法をとる傾向があり、クレヨンを食べるなら口の中で咀嚼し美味しくないと判断したら出すでしょうということで、お絵描きの前に好きな果物を口にさせ美味しいイメージを抱いたままクレヨンをかじることを数回繰り返し、クレヨンを食しない方向へ持って行きました。絵の具を使用させるにはもっと勇気が入りますのでまずはクレヨンから始めましょう。
《 2歳児 》
2歳児になると肩の関節から手指の関節までを組み合わせた動きが自在に行えるようになり、手首を大きく動かしてぐるぐると円を描くことができるようになり、線も力強く太く描くことができるようになります。
この時期の子供は自分自身が描いたものの形に違いがあることや描いたものの変化を楽しむ傾向が強く何かを上手に描こうということは本来気にしません。ただし親御さんが特定のものを上手に描いてしまうと自分自身では描けないので親に描かせようということにシフトしてしまう可能性があります。手指を動かし描いて殿しく遊ぶという経験させることに主軸を置くようにしましょう。また2歳児の後半期には色の認知が進んでくるため好きな色だけを使用して描くことや多色使用に夢中になることもあります。中には3歳児の特徴である白い部分を塗り潰すこともあります。
個人差はありますが原始反射が残る頃から通室しているお子さんは1歳半前後からこの2歳時期のこのタイミングに入る場合もあります。
《 3歳児 》
線や図形のみならず特定の絵を描くようになります。家族の顔や身近なものをどんどん描けるようになり、側から見ていても何を描いているのかがよく分かるようになるのもこの頃です。また自分自身が知っているものを画用紙の中にどんどん書き込んでいきます。
観察眼を鍛えて多くのものを集中して観る機会を増やすべき時で、その時期に働きかけをするか否かがその後の絵画表現とそれ以外のものの捉え方に影響を及ぼします。観る力のある子供とそうでない子供の差が出てくる時期にもなります。
また色に対する認知も進んでいるためにクレヨンや絵の具の色を変えて描く楽しみも味わうようになり、色を混ぜて自分のイメージする色を作ることや色混ぜの実験的なことも行います。出来上がった絵の具のチューブからその色を塗るのではなく、実際に世の中には多種多様の色があることを実感してほしいとも考えます。
《 4歳児 》
4歳になると自分自身の知っていることや体験したこと、身近な生活のことを表現するようになります。具体的なものの特徴を捉えて描くことに気づきが生まれ、工夫しながら描くことができるようになります。1日に1アイテム何でもよいので目の前のものを忠実に描こうとする取り組みを進めると、日の当たり方や影のでき方など表現するにはどうしたらよいか、どのような方法があるのかを子供自身が生み出せるように見守りが必要です。上手くなってほしいという願いで事細かに指導をしていると子供の生き生きとしたものが消え去ってしまうのでご注意ください。また絵を獲得ことに造形を加えた面白し作品を生み出す発想豊かな生徒さんも以前おられました。大人の固定概念を壊すくらいのエネルギーを持っている子供達の豊かさを大人は引き立てる側でありたいものです。
《 5歳児以上 》
想像力が豊かになるために構成しながら絵を描くことが増えてきます。遠近や描くものの大きさに正確性がなかったりもしますが、より描くことが豊かになり、描いている最中に創意工夫が生まれてくるのもこの時期で子供の素直な視点に驚かされることもあります。例えば走っている絵を描くときに全体像を捉えることよりも躍動感が溢れる動きを表現しようとしたり、ストーリー性を主題として描くこともあり、またものの見え方がより現実に近くなるため立体表現がますます花開いてくるようになります。
0コメント