提案『楽しみながら記憶力を鍛える ケーキ編』

よくお母様方に「先生はお子さんの記憶力をどのように育てましたか?」という質問を受けます。振り返るといろいろなことをしてきましたが、まず乳児期の『いないいないばぁ』で記憶の目をしっかりと出させるということが記憶のスイッチ作りになります。このことについては2023年5月1日提案『記憶力を育てるいないいないばぁ』にて記しておりますのでそちらもお読み下さい。

その次にしていたことは短期記憶を育てることや暗記、そして長期記憶へと移行し定着させるなど計算しながら取り組んできました。しかし子供に言わせると文学暗記の長文は辛かったそうです。なるべく辛くないように楽しんで行うようにしてい他つもりでしたが当の本人たちはそうは感じていなかったようです。それを受けて文学暗記方法を研究し修正しなければなりません。今回は短期記憶から長期記憶へと繋ぎあらゆる切り口へと繋げていった方法をご紹介します。

記憶は短期、中期、長期記憶がありますが一つの切り口でこれらを強化していく方法を実践していたのが、ケーキやパン、チーズ、寿司(魚)などの食べ物系です。これはなぜかというとやはり子供が喜んで覚えることやそれぞれにいろいろな種類があることで物の名前の数を多く覚えることができ、尚且つお店に行けば目にする機会が容易く手に入りお店の数も豊富だということです。スーパーやお店で視覚認知を促して写真を撮るように記憶する方法の獲得と幾つかのお店を訪れることにより同じ名前を持つものでも形や味が違っていたり、商品陳列の仕方にも違いがあるなど子供が気付くことが増え、一つの言葉を記憶するにいろいろなシチュエーションで言葉を覚えるということに特化しているからです。


ではどのように促してきたのかを簡単に列挙していきます。


1、名前を覚える

子供にどんなケーキが好きなの?と質問してみて下さい。すると多くが生クリームやチョコ、チーズケーキ、パイ、タルトなど代表的な回答をするでしょう。しかし生クリームのケーキであってもショートケーキ、フルーツケーキ、シフォンケーキ、ロールケーキなど軽く思い浮かべただけでこれだけあり、お店に並んでいるケーキを見ていているだけで視覚的に刺激されます。私はお店の方に事情を話しショーケースの写真を撮らせてもらい、帰宅後子供と写真を見ながら名前を覚えていきました。ケーキなのでカタカナやアルファベット表記ではありますが写真を見ながら名前とケーキの飾り付けた形をリンクさせて覚えるのはとても速く覚え楽しそうでもありました。




2、同じケーキ名を持っていても形が異なる

同じ名前がついているケーキでも形や大きさに限らずデコレーションなどの見た目が大きく異なることに気付くことができます。ということはこのお店の商品はこうだけど、あのお店のはここが違うなどの精査をすることができるので思考は確実に深めることができます。違いが分かるということは観察眼も日々磨きがかけられ長けると同時に味わうという点に於いてもしっかりとした考えを打ち出し始めます。そうなるといろいろなことが気になり出すので子供の探究心が爆発期を迎えます。




3、絵本や菓子本で知識を深める

子供達が図鑑に夢中になるファーストコンタクトは自分自身の知っているものがあるからです。その入り口から入り知ることがどんどん増えてくると乾いたスポンジが水をものすごい勢いで水を吸収するかの如く知識を吸収し獲得していきます。私の場合には菓子本はプロ仕様のものでレシピがしっかりと書いてあり写真が美しいもの、且つ国別になっているものや偉人や芸術家が愛したというような情報が掲載されている菓子本です。最初は写真をパラパラと捲る程度で十分だと考えていましたが、プロが撮影した写真の威力はものすごいものでお店に行った時に「あのデコレートよりもこうしたほうが美味しそうだよね。」という意見が出てくるほどでした。お菓子本ですがプロのカメラマンの撮影したもので目を肥やすということ今も活かされているように感じます。それは主人が送ってくる平面的な写真と子供たちが撮影した角度に工夫を凝らしている写真を比較してということですが、やはりカメラ的な学びはしていなくてもプロの仕事を誌面を通してでも見てきた子供達の視覚認知の違いだろうと感じています。




4、覚えたことを話させて、次のステージに上げる機会とする

これまでの1〜3までは短期・中期記憶に関するインプットになり、ここからが長期記憶に結びつけていくアウトプットと記憶の上書きを繰り返し定着していくこと、獲得した知識同士を結びつけ広げていく種蒔きのステージです。

子供自身から覚えたことや知っていることをどんどん話すチャンスを与えることが重要で子供から溢れることをしっかりと聞いて汲み取ってあげた上で、好奇心を引き出すための知識や情報を少し与えて次のステップに進めるげるようにしてあげるということです。ということは親も知識や情報を持っていなければなりませんが、たとえその知識や教養がなくても子供と共に知る学ぶ楽しむという心構えがあれば、親子で学ぶことに繋がり新たな情報や知識に対しての好奇心が芽生えてきます。このことが子供を次のステージに上げることができる重要なものなのです。子供だけに学ばせておしまいにすることはある程度での所まで進めば頭打ちになることは否めません。




5、実際に知識を実現させる

やはり子供達は机上での学びよりも実践を好みます。いざ行動を起こすとなると目は爛々と輝き楽しさや達成感を味わうことになります。そして五感をフル活用して多くのことを学んでいきます。創意工夫をしながら新たな発想をすることもあり次に繋がることも獲得しつつ、失敗からも大きな学びをし糧にする力をつけていきます。ケーキを作って初めて知ることが多く道具の扱いや材料選びなどやってみないと分からないことやいかにパティシシエという職業が計算や感覚的ものが重要で繊細さを必要とする職業であるかが認識できると思います。

何よりケーキを作る材料や工程などを実行を繰り返し同じものを作っていると分量や段取りは覚えていきますし、たとえ忘れたとしてもこの前作った時はこうだったからと思い出そうとするアウトプットを行います。このようなことを繰り返すことで長期記憶へと繋げていくことになります。

また実際にケーキを焼くことは頻繁にできませんが、遊びの中でパティシエごっこということであれば気兼ねなく容易に繰り返し行えます。ままごとの道具が揃えることが難しければ工作で作って遊ぶということも一つの方法です。我が家ではおもちゃ道具もありましたがそれでもない道具に関しては実際に使用するものを使わせていました。よって道具の扱いもあそびを繰り返すうちに上達するという相乗効果が得られました。




6、教養に結びつける

ここからは私の腕の見せ所という感じでした。菓子本を見ていると情報として世界各国の代表的ケーキがあることに気付きはじめます。するといつも作っているティラミスがイタリア、クリームブリュレやクグロフ、カヌレがフランス菓子などとそれぞれの国を意識しだすので国旗や世界地図を用いいて情報を記憶としておさえていきます。また偉人や芸術家が愛した菓子を知ることによりその人物の人となりや歴史、作品を知る方向へ導いていきました。

香港で食したエッグタルトがポルトガル発祥でヘンリー8世が愛した菓子だと伝えれば、自然と調べ出すという行動に繋がり、調べると知る機会を得て学べば学ぶほど知ることが増えるため喜びを味わいつつ、さまざまな知識の点と点を結びつけていくようになります。この域まで来ると一生ものの宝物であることは間違いありません。幼い頃からスモールステップで少しずつ様々なものを見聞きすることが長期記憶の鍛錬になります。また獲得したことはそう簡単に忘れることはありません。たとえ忘れたとしてもちょっとした情報で思い出すことができます。

先日母が最近人の名前が思い出せないことが増えて困っていると話していたのですが、実は人間は思い出せない場合にあらゆるシチュエーションを想像して思い出そうとすると答えは見つかるのです。このシュチュエーションをたくさん持つということが記憶の強化につながります。よって私は小さな子供には楽しく日常の中から多くの情報を読み解くことができる機会を多く持たせるべきだと経験から皆さんにお伝えしています。

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