提案『本が好きな幼児にするために』
前週2023年10月16日『本が好きな乳児にするために』を受けて今回は幼児向けに絵本を好きにさせるための方法を提案したします。
幼児という言葉はいつからということになりますが、絵本という切り口から考えると2歳以降が幼児期に当たると考えます。幼児期は絵本のみならず絵辞典や図鑑など幅広く読むことできるようになります。しかし読むことが好きになるためには乳児期からの絵本の種蒔きがものをいいます。とはいえまだまだ絵本好きにする方法はあるものです。今回はその方法を考え実践してくださればと思います。
1、読み聞かせを絶やさない
乳児期に行っていた読み聞かせが十分であれば自力歩行が活発に行われても絵本の読み聞かせには確りと取り組むことが可能となります。しかし乳児期の読み聞かせが不十分であれば絵本から離れてしまうことは少なくありません。また乳児期に確りと読んでいても子供によっては歩行や動き回ることが好きで仕方のない場合は、絵本から離れる可能性をはらんでいます。動き回るから見てくれないと親が諦めてしまうとあっという間に絵本との距離を取ることに。このような場合であっても好きな絵本を主軸に読み聞かせを展開すれば絵本との辛うじてつながっています。中には読むということはできず好きなページを見て終わるということもあるのですが、それでも何もしないよりはいいと言えるので諦めずに絵本の世界に誘導してあげましょう。幼児期の絵本とのつながりは継続して読み聞かせを行うことが重要です。
できるだけ6歳までは様々なジャンルの作品をとことん読み聞かせにこだわって読んであげてほしいと考えます。私の希望としては小学校2年生までは読み聞かせを行う時間があっても良いかと思います。
2、映像を見る時間を減らす
これまでの経験から絵本の嫌いな子供や関心のない子供の多くは映像を好んでいるように感じ、私は絵本が好きなこと嫌いなこの間には少なからず映像を見る時間が関係していると考えています。
映像は我々が想像したり思考する前にどんどんと切り替わり一方的に情報を与えてきます。視覚重視の子供にとっては何も考えずに容易く色々なものが見えてくることに楽しさを見出すのは当然のことです。しかし絵本は読み聞かせをしてくれる人の言葉を聞き、挿絵の情報と擦り合わせながら思考し想像したりしながら内容を理解しなければなりません。絵本を読み解くその努力が映像を見る子にはつまらない楽しくないと感じているのでしょうが、実はすでに能力差が生じているのです。
映像を見る子供は物事が簡単に完結することに慣らされて自分自身で思考することは勿論のこと、言葉を知ることの楽しさや新しい言葉を耳にした時の関心や興味を抱くアンテナを張ることが極端に少なくなります。よって言葉の獲得も難しくなり語彙力のみならず思考力や想像力も育つ可能性が育たなくなっているといえます。よって映像は思考できるような良質なものを選んで見せることがとても重要だと考えます。
3、ロングセラーの作品を多く取り入れる
何十年もの間ロングセラーとして存在する絵本にはそれなりの理由と魅力があります。また時代は移り変わっても子供達の発達は根本的に変わりません。よって長い年月子供たちが好んで何度も読みたがる絵本には子供達が本能的に取り入れたいと思う内容が溢れているのです。
例えば乳児期の頃は同じフレーズが何度も繰り返される絵本を好んだり、特定の言葉の響きを楽しんだりするのに対して、幼児期は主人公に自分を重ねて作品を楽しんだり、自分自身の日常と照らし合わせて絵本の世界にどっぷりと浸かったり、自分の中の世界を空想でどんどん広げていく作品に没頭するようになります。このように子供の心身の発達とリンクしながら長年読み継がれてきた作品には子供の心を掴んで離さない魅力が溢れているのです。
4、活字を少しずつ取り入れ、言葉を調べることを経て実体験へ繋げる
絵本は勿論耳からの情報と挿絵を見て物語の想像の幅を広げることがとても重要ですが、次のステージである子供自身が一人で絵本を読むということや児童文学に繋げることも意識しなければなりません。
少しずつ活字を覚え所々絵本を読むことができるようになると楽しくなり、自分自身のペースで物語を味わうことの充足感を得ることができます。すると次に子供達に芽生えるのは『この言葉はどんな意味だろう?』と初めて耳にする言葉やこれまでに耳にしていた言葉をより知ろうと調べる意識が働くようになります。実はこの調べるという行動こそが語彙力を豊かなものにし国語力や思考力を引き上げてくれるのです。また親が認識しておかなければならないことの一つに、絵本や本を多読していれば様々な能力が伸びるという勘違い間違った認識を持っていることです。読書をしない子供より読書をした子供の方が能力は高いといえますが、実はその読書を活用して調べたり実践実行する子供の方が、ただ本を読む子供よりも格段に様々な力を獲得することができるという事実を知っておくべきだと考えます。
多くのことを知りたいという張り巡らせたアンテナで様々なことをキャッチし、自分自身の中にそのキャッチしたことを蓄積させていくように導いてあげることが重要なのです。読んで知り得たことを五感で味わう経験へと導いてあげてください。
5、一人で没頭する時間を設ける
子供は不思議なもので絵本に没頭するようになると自分の読書スタイルを生み出していきます。今日はどのジャンルを読もうかなと本棚の前に鎮座して吟味する子もいれば、読みたいシリーズ全てを抱えて一気に読み進めたり、または適当に数冊引き出してはパラパラと捲り何が読みたいのか探り探りしていたり、1冊の本のページを摘むように所々読んでは次の本に手を付けたりと読書のスタイルも様々です。我が子の場合には読む場所を転々と変えて終いには数冊の絵本を枕にして畳の上でゴロゴロとしていたり、窓辺の明かりに照らされてや深夜にスタンドの明かりだけで読むことにはまったりと色々な環境をも楽しんでいました。今では疲れた時のリフレッシュとして本を読んでいるようですが、そのようなことができるようになったのも子供の頃の読書の賜物だと思います。
6、絵本や本を制限なく与える
私の生徒さんの中には大きなリビングの一面が全て絵本や児童書、図鑑というご家庭があります。天井までの壁の高さが4メートルのその書棚は低い位置によく読む作品を配置し、小学生のお子さんたちは本棚の階段を上がりその場に設けられた小さなスペースに座り読書を楽しんでいるそうです。小さなご兄弟に邪魔されずに夢中で本を読む空間が設けられているのは、ご自宅の設計時にはすでに計画されていたとのこと。大変羨ましい環境です。
また別の方はボーナス時に子供向けの絵本を10万円分毎年購入されておられます。共働きで頻繁に図書館に通えない分納入されておられるのですがその絵本選びには面白い特徴があります。ご両親が子供の頃に読んでいた懐かしい作品、子供が興味を示さないジャンルも数冊、実体験ができる作品、旅行先に関する絵本、お子さんが欲しいと選んだ作品、好きな作家さんの作品、親子で楽しめる教養的作品です。大変興味深い購入の仕方だと思います。
ご家庭により絵本をどのように取り入れるかは自由です。ご家庭でできることを実践して欲しいと思います。
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