絵本『クリスマスのこねこたち』

「世界でいちばん北にある家のようふくだんすのなかで３びきのこねこがうまれました。・・・」で始まるこの作品は美しい絵の作品という定評があります。クリスマスカラーのグリーンと重厚感あふれるレッドカラーが家の中の温かみとクリスマス感を醸し出し、ダークブルーの静まり返る夜に光り輝く白銀の雪の世界が描かれていて絵を見ているだけでも満足できる作品です。

ふさふさとした毛並みのこねこたちが主人公ということもあり目線で作品を楽しむ一方で、姿が出てこないサンタクロースが世界中の子供達にプレゼントを届ける直前で慌ただしく準備しているかもと想像するのも良位かもしれません。

サンタクロースを探し回る好奇心旺盛のパールの初めての冒険が親の目線で見ると、まるで１歳児が初めて訪れる場所をおそるおそる見回して歩を進める姿と重なって見えてしまいます。また初めての白銀の世界を楽しんでいるパールの雪と同化する姿の表現はパウダースノーの世界を実体験できるような世界観が広がっています。雪遊びに興じ凍ったヒゲが溶けていくその袋の中は・・・想像の翼を広げてこの美しい絵本の世界に飛び込んでもらいたいものです。