提案『赤ちゃん返りの対応』
第2子をご懐妊されたお母様方は上のお子さんの赤ちゃん返りをお気にされます。しかしこの赤ちゃん返りはこれまでの育ってきた環境において十分に親の愛情が伝わっていた証拠であり、子供たちからの『僕や私をちゃんと見ていてね』という心の声でもあるのです。なぜこのような赤ちゃん返りという注目願望が生まれるかというと、自分一人に注がれていた視線や声掛け行動が誕生したばかりの乳児に注がれしまい、自分自身への注目が減っていく過程で両親の気持ちが下の弟や妹に写ってしまうのではないかという不安から生じるものです。
他にも全てのお子さんが表面化する赤ちゃん返りが出るわけではありません。表面化せずに我慢している場合もあるので親の心配りが必要な場合やある特定の個性から赤ちゃん返りが出てこないこともあります。
また赤ちゃん返りはお母様の妊娠や出産以外にも環境変化による場合もあり、幼稚園や保育園への入園や進級、園のお友達との関係や園生活で苦手なことがある場合、引越し、自分自身の病気やご家族の体調不良などの原因があります。
ではどのような赤ちゃん返りがあるのか取り上げてみます。代表的なものを記しましたが環境や子供によっては以下の通りではないことや1つ当てはまるからといって赤ちゃん返りとは言えないこともあります。よくお子さんの言動に注視し複合的にいくつかの要素が絡み合うこともあるのでお子さんに寄り添いながら判断するようにしましょう。
考える赤ちゃん返りのパターン
1、これまでできていたことができないと言い出す。
2、抱っこを求めたりと甘えてくる
3、自分自身も赤ちゃんになりたがる
4、わがままを言いだしたり(ままじゃなきゃダメという)、拗ねたりする
5、見て見て、こっちきてを連呼するようになる
6、やたらトイレが近くなる
7、夜泣きをする
8、お母さんから離れたがらず常にくっついている
赤ちゃん返りへの対応を説明してまいりますが赤ちゃん返りが生じてからの対応ではなく、赤ちゃん返りが表面化しないように事前に親御さんが学習し対応し、上の子どもが不安にならないように対応していくことが望ましいと言えます。
ではお母様の対応について妊娠期と出産後の2通りに分けて記してまいります。
妊 娠 期
1、どんな時も常に大好きと伝える
お母様方が日々の忙しさで忘れがちになるのが、子供に対して「大好き、愛してる」と伝える事です。これらの言葉は子供たちの肯定感を築く礎となるものです。しっかりとあなたのことを思っているのだと常に伝え続けることが重要です。これは妊娠期だけではなく出産後も意識して伝えるようにして下さい。
2、お腹が目立ち始めたら弟や妹ができることを伝える
安定期に入りお腹が目立ち始めてきたら弟や妹ができることを簡単に伝え始めます。お腹を撫でてさすって声を掛けたり、「赤ちゃんの心音が聞こえるかな?」とお腹に耳を当てさせてみたり、エコー写真を見せて「あなたもこんなに小さかった」と会話したりと新たな命が育まれていることを教えていきましょう。
3、出産後の生活をままごとで予測させる
子供達がなぜ不安になるのか、それはある日突然ままが出産のために不在となり、帰宅してからは乳児の世話に明け暮れるということに原因があります。ならば出産前から徐々におままごとを通して下のお子さんの世話をしている様子を見せることを行うと事前学習になり、生活の変化を予測させることにつながります。またお子さんだけではなく、お母様自体も先々の生活をイメージすることが可能になるもので気づかなかった点や新たに見えてくるものがあるかもしれません。このようなおままごとを通して、産後にしっかりとおかさまの手助けをしたお子さんもいました。
4、リトルママ、リトルパパになる準備を
お腹が大きくなると上のお子供を抱っこすることも辛くなり、また子供が飛びついてくることにも注意が必要になります。今まで普通してあげていたことができなるなことも伝えなければならない時がきます。少し寂しさを感じるかもしれませんが、しっかりとしたスキンシップを図ることができる方法を伝え実践し、大きなお腹を理由に手助けしてほしい力になって欲しいとお願いしてみましょう。たとえばできる所から物を取って来てもらい褒めてあげて助かったことを愛情たっぷりに伝えて下さい。ママのために一役かっている事を誇らしく思ってもらえるように導いてあげましょう。
5、環境変化に慣らす下準備をしてみる
出産での不在に備えて一人だけがご実家に一泊することを数回繰り返して、パパと子供の時間を作ることをした方もおられましたし、おばあさまが早めにお泊まりをしながらママの不在にはおばあさまがいてくださるという環境慣れを実践された方もおられました。色々な策を講じて急激な環境変化をなるべく緩和し上のお子さんに動揺を与えないといったことを実践されたのだと思います。
出 産 後
1、乳児よりも上の子供を優先で対応する
下の子供が泣き出すとどうしても上の子供を待たせて下の子供の世話を優先しますが、実は下の子供が泣き出しても先ずは上の子供に声をかけたりスキンシップを最優先すると上の子供は不安に陥らず満足してくれます。中には先に弟や妹のところに行ってあげてという生徒さんもおられました。
2、スキンシップを十分行う
これは一般的に親の関心を自分に向けたいという赤ちゃん返り期にはスキンシップを十分測りましょうと言われています。ぎゅっと抱きしめたり、頭を撫でたり背中をさすったりなど体に触れるというスキンシップは不安な子供たちの気持ちを安心させる役割があります。下の子供を抱きながら上の子へスキンシップを図るよりも実は自分だけに向けられているスキンシップなんだと実感させることが、心を穏やかにして受け入れてくれます。抱っこしてと言われる前に抱っこしてあげるのは赤ちゃん返りが強く出てくるのを防ぐことができます。
3、できないと言ってきたことは全て受け止める
赤ちゃん返りの大きな特徴の一つがいつもできていたことが突然できないと言ってくることです。「いつもできてるのにどうしたの?」とは言ってはいけません。「そうなのできなくなったのね。じゃぁお手伝いしようかな」と言いながら少しお手伝いをしてあげるか、または「ママと一緒にできるね、やってみよう」などと受け入れてあげてください。また中には「ママがやって!」と強硬に出てくる場合には「OK」と明るく受け止めるなどして笑顔を返してあげましょう。それが長く続くようであればご相談ください。別の手を打っていきます。
4、常に優し声色で声をかける
乳児のお世話をしているとどうしても寝不足からくる疲れと共に上の子供の世話や家事と忙しくなるため余裕がなくなります。そうすると上の子供にキツく当たることもあるかと思いますが、これは親側が想定されることとして念頭に置き常に優しい言葉をかけることを決意しておかれた方が、後々優しい子供に育てる土台作りをすることになります。ご自身が一杯一杯の時にこそ親としての心意が問われるものだとお考えくださればと考えます。
5、お兄ちゃんやお姉ちゃんの凄さを乳児に話す
乳児に向かい合っている時には乳児とのスキンシップに集中したいところですが、もし上のお子さんが側にいるような時には上の子に聞こえるように乳児に向かって、お兄ちゃんやお姉ちゃんのすごいところを伝えることにより上の子供に自信を持たせるようにすることができます。すると僕は私はお手本にならなくちゃという心理が芽生えることがあり心が安定することになります。
6、親と上の子供の二人っきりの時間を作る
親も子供も煮詰まることがどのご家庭にもあると思います。そのような場合には上の子供の希望を聞いて親子で気分転換を数時間設けるようにすることをお勧めしています。もちろんその時には乳児のお子さんは誰かに託すことがベストだと言えます。
7、プロに任せてサポートしてもらう
以前の生徒さんは上のお子さんの外遊びをプロの方に任せて遊びに出掛けてもらうなどの対応をしておられました。またしたの乳児をシッターさんに1時間預け母と上の子供で公園で遊ぶなどしておられた方もおられます。おじいちゃまやおばあちゃまに預けるなどの対応でもいいかと思います。
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